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草彅洋平(東京ピストル)株式会社東京ピストル代表取締役1976年東京生まれ。あらゆるネタに対応、きわめて高い打率で人の会話に出塁することからついたあだ名は「トークのイチロー」。インテリア会社である株式会社イデー退社後、2006年株式会社東京ピストルを設立。ブランディングからプロモーション、紙からWEB媒体まで幅広く手がけるクリエイティブカンパニーの代表として、広告から書籍まで幅広く企画立案等を手がける次世代型編集者として活躍中。www.tokyopistol.com/

トークのイチロー就活日誌

草彅洋平(東京ピストル)
株式会社東京ピストル代表取締役
1976年東京生まれ。あらゆるネタに対応、きわめて高い打率で人の会話に出塁することからついたあだ名は「トークのイチロー」。インテリア会社である株式会社イデー退社後、2006年株式会社東京ピストルを設立。ブランディングからプロモーション、紙からWEB媒体まで幅広く手がけるクリエイティブカンパニーの代表として、広告から書籍まで幅広く企画立案等を手がける次世代型編集者として活躍中。
www.tokyopistol.com/

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年上を上手に使うこと

2012.02.24

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昨日は忙しい東京ピストルの助っ人として、多摩美の学生のときに知り合った馬渡くんが来てくれました。

IMG_7154.JPGのサムネイル画像

 

馬渡くんはグラフィックデザイナー志望。とはいえ東京ピストルが多摩美術大学の造形表現学部のWebサイト上で学生と一緒に制作している記事でマニアックな取材記事を書いてくれたり、「なかなか器用で優秀な学生だなあ〜!」という印象を持っていました。

 

そんな馬渡くんに数年ぶりに会ったのですが、なんだかすっかり弱っています。

聞けばグラフィックデザイン会社への就活がうまくいかず、卒業後10ヶ月近くブラブラしているのだとか。

いまは建設現場などでバイトをして生活しているのだそうです。

 

「昔は活発そうだったのに目が死んでるね...」と僕。

「就職したいですねえ〜」と馬渡くん。

 

「もったいない!」と思った僕は、就職をした方がいろいろ学べて良いこと、まだ若い(27歳)うちに動かなければこれから先デザイナーとしては終わってしまうこと、グラフィックデザインという職業に固執しないこと、そしてグラフィックデザインの世界はなかなか厳しいだろう、といった内容の話をしました。

(本当は東京ピストルで採用してあげたいのですが、いまデザイナーの人数がパンパンなので採用できないのであります...

 

「グラフィックデザインは諦めて、IT会社のデザイナーとして入ったほうが良いと思うよ。あとWebデザインとかね」

「エディトリアルはダメですかねえ?」

「ダメだよ。どんどん売上が減少しているし、業界としては若い人に推薦しないね。会社次第では30代になったとき、きっと苦しくなると思うよ」

「うーん、でも好きなんですよねえ...

 

馬渡くんはどうしてもエディトリアルをやりたい、といった感じ。

この気持ち、分かるなあ。若い時、妙に自分の思いに固執しちゃうんだよね。

 

「毎月の定期的なお金がないと、年をとるごとに落ち込んでくるよ。お金がないと飲みにもいけないし、友人と比べて自己嫌悪に陥ったりするようになる。だから精神的に安定するために、自分の希望と関係なしにでも、まずは働くことが大切だと思うよ。働いてみると、意外と自分が同年代と比べて仕事ができなかったりといったことも分かるし、新しい出会いや経験ばかりだよ。それが大事なんだと思うなあ。お金を普通に稼いで、仕事もできるようになると、それなりに自信がつくんだよ。まずは自信をつけることが男として大切なんだろうね。それとグラフィックデザインを本当にやりたければ、行った会社がグラフィックデザインと関係ない会社であっても社内で提案したりとか、外部に発注する側でがんばるとか、定時であがって僕の会社に来て手伝ったりとか、趣味で何か作たりとか、いろいろやり方があると思うよ。いまは会社もゆるいから、何でもできると思うなあ」

 

そんな話をしているうちに、最近学生の就職相談がやたらめったら多いのを思い出しました。

多いんですよ! FACEBOOKで申請が来て、知っている人かと思えばそうじゃなくて、就活の営業だったり相談が無数。そしてなぜか学生と飲んでいると、就活相談になるケースが多いんです。もはや学生就活コンサルティングが生業にできる、と思うぐらい。

恐らくですが、IT業界と理系の勢いと違って、デザインや編集などの文系の力が弱っているからなんでしょうね。

いろいろ迷ってもっとも文系的な僕のところに相談がくる訳です。

 

学生たちを見て思うのは「年上を上手に使うといい」ということですかね。

例えば25歳くらいの起業家の人たちを見ていると、同い年ばかりで年上の人を入れない会社が多いです。

理由を聞いてみると「年上は緊張してしまうし、高そうだし、恐れ多いので...」といった、シンプルな内容なんですね。

でもビジネスとしては完全に間違いです。

やはり年上の経験値、コネクションや行動力はスゴイものがあります。
またプロジェクトが面白ければ、お金もそんなに求めていない人が多いのです。

若い起業家が最もやるべきことは同年代だけを集めるだけでなく、年上や地位の高い人を活用することなんですが、これが意外とスッとできる人が日本には少ない気がします。

 

というわけで、いつか若い子が僕を雇う日を夢見て待っているのですが、

馬渡くんに「馬渡くんを就職させるから僕を雇わない?」と尋ねたら「考えておきます」と断られました。

 

寂しいですねえ...