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廃墟。
2007.01.09
来年の春には長崎の軍艦島が一般公開されるそうである。ここは長崎県長崎市に属する正式には端島(はしま)という小さな島だ。南北480m、東西160m。海岸線をぐるり僅か1.2Kmしかない。明治時代から石炭の採掘場として栄え、1960年代に最盛期を迎えた。
驚くことにこのちっぽけな島に人口約5千人が住んでいたという。5千人の労働力をまかなえる資源、その人々が暮らせる近代的集合住宅、そして学校、店舗、病院、寺院、映画館、理髪店等、島内だけで完結した都市機能を備えていた。さらに生活水は長崎からの海底水道(!)だ。
日本初の鉄筋高層アパートには各棟をつなぐ複雑に入り組む地下廊があり、売店もあるその通路は雨でも傘を差さず島内を行き来できたのだとか。まさに天空の城ラピュタとかマチュピチュみたいな縮尺された理想都市。ところが、エネルギーは石炭から石油の時代になり衰退しついに1974年に無人島となる。
そんな完全廃墟と化したこの島をいきなり一般公開とは。これまで倒壊の恐れから立ち入り禁止だったものを地方行政の町おこし目的で整備する。心配なのは一体どの様な整備が行われるのか。確かに世界遺産への登録運動も行われる程の注目スポットである。けれどもこれは「廃墟」という文化遺産であり、そうでなくなっては意味が無い。そこはお役人さんのさじ加減次第。間違ってもみやげ屋など作らないで欲しい。軍艦島まんじゅうとか、いらないので。
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