右。 - シックスセンス（シガ アキオ）

　昨晩、とあるブランドをやっている後輩がウチにやってきた。理由はボクがふだん使っているＣＤプリント機能が付いた複合コピー機を借りにきたのだ。なんでも今度の展示会で配るノベルティー用のＣＤやＤＶＤにするそうだ。しかし、その数１５０枚である。デザイン画をＣＤ一枚にプリントするのに約３０秒前後、入れ替えの作業を考えれば早くて一分はかかる。いくら高性能な複合機であろうと所詮、家庭用だからそんなもんだ。なもんで、始めから大変な作業になるであろう事は予測できた。だから彼らにお鍋や酒まで用意しちゃって、自分で言うのもなんだが、やさすぅぃー先輩だ。そこんとこ４６４５。
なんだかんだ途中プリンターの調子が悪くなったりで、作業が終わったのは朝の５時。夜１０時頃から始めたから７時間くらいかかったのか。結局、その作業に朝まで付き合った、つーか付き合わざるをえないちゅーの。ウチだから。まあ、自分たちで手間かけて作るって大切な事だよね。お疲れさま。

meanのRYO。
そーいえば、この間もまた別のブランドをやってる後輩に依頼されて、新宿まで取材を受けに行った。連絡を受けた場所に着いてみると、そこは普通の沖縄料理屋だった。驚いたのはすでに店が営業中であったこと。つまり一般のお客さんもいる中で機材をセットして撮影をした。もちろん個室でもなければ囲いもない。ちょうど中目黒の大樽の二階を想像してもらえればよい。あーいった大広間で。
そこで取材ってちょっと恥ずかしいけど一応、無事に終わった。じゃーこのまま飲みますかってな雰囲気になり、その前にとトイレに立った。すると戻ってくると何やら撮影スタッフと客のオッサンらがもめている。まあまあと間に割って入ったが、今度はそのオッサンはボクに突っかかってきた。一瞬、年甲斐もなくキレそーになったが、スタッフのなだめでその場は収めた。ただ、ボクには理由が分からなかった。いったい何だったのか。
落ち着いて理由を聞いてみると、向こうの言い分はこうだった。撮影が終わったと同時に店内で沖縄民謡のライブパフォーマンスが始まった。馴染みの客はその三線に合わせ皆立ち上がり踊った。馴染みの客と言ってもボクら意外ほぼ全員だ。どうやらそれがこの店のいつもの風景らしく、だから文句があったんだ。確かにボクらは冷めた顔して座ったままだった。でもお客さん達は撮影の間、気遣って大人しくしてくれたに違いない。素直に悪いな、と思った。本当ならその礼に一緒に盛り上がるのがスジだと感じた。だからそのオッサン達の席にボクは改めて詫びに向かった。
「もうしわけありませんでした」
そう言うボクにテーブルに居た全員が怪訝そうな顔をした。「でも酒の席だし楽しく飲みましょーよ」そう言うと皆もっと怪訝な顔になったが、さっきボクの胸ぐらを掴んだオッサンが「じゃ、これ飲め」ってグラスを差し出した。オッサンと杯を交わした。そこで初めてみんなの顔が和らいだ。
それから注がれるまま泡盛を何杯かイッキ飲みしたんだけど、ふと気が付くと作業服風の格好をしたそのオッサン以外はスーツを着てキチンとした身なりをしている。しかも初老といった雰囲気の方も中には何人かいて、その人らに対するオッサンの気の使いようがハンパじゃない。まるで親分に対するような。
「アンタは沖縄というものをどう考えるね」
その白髪で初老の紳士にこう質問された時、すべて悟った。この人らは堅気じゃない。聞くとやはりrightなアイデンティティーを掲げる某政治団体の方々だった。大日本帝国である。君が代である。けれども酔った勢いも手伝い、臆することなく持論を展開するボクが面白かったようで、そのまま全員、ゴールデン街のバーへと連行、いやご招待して頂いた。これでもノーギャラの仕事である。やっぱしやさすぅぃー先輩だ。そこんとこ４６２９。