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シガアキオスタイリスト97年、まだ若く鬼のように恐ろしかった蔡社長とメッケ隊の元、ハッスル(現ライノ)でアシスタント兼なんでも屋(人殺し以外)として過ごす。99年、約 1年半という業界では伝説のスピードで独立。06年、仏のようなスタイリスト古田氏らと共にチェルシーフィルムズ創設に携わる。しかし、根っからのB型の 故、集団生活は無理だとわかり、10年、office sixsenseを立ち上げソロ活動に入る。72年7月4日生まれ。現在2児のパパ。

シックスセンス

シガアキオ
スタイリスト

97年、まだ若く鬼のように恐ろしかった蔡社長とメッケ隊の元、ハッスル(現ライノ)でアシスタント兼なんでも屋(人殺し以外)として過ごす。99年、約 1年半という業界では伝説のスピードで独立。06年、仏のようなスタイリスト古田氏らと共にチェルシーフィルムズ創設に携わる。しかし、根っからのB型の 故、集団生活は無理だとわかり、10年、office sixsenseを立ち上げソロ活動に入る。72年7月4日生まれ。現在2児のパパ。

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今朝。

2007.12.20

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 凍るような寒さのなか、仕事のためオフィスのあるビルの前まで辿り着くと、ちょうど入り口あたりの道路に何か白い物がうずくまってるのが見えた。近寄ってみるとそれは子犬ほどもある白くて大きな猫だった。おじーちゃんかおばーちゃんかかなり年を取った風体で、だからほんとは真っ白なのかもしれないがグレーにうす汚れて見えた。
全体的にはグレーでも下半身はもっとまっ黒に汚れていて、そしてその半身はあらぬ方向に折れ曲がり、口からは大量の血と肉片を吐き出していた。まだ新聞配達のバイクのエンジンがこだます早朝の国道には車の影もないが、恐らく今しがた轢かれたのか。もしそれが明らかな死骸なら見ないふりでやり過ごしたけど、思わず立ち止まったのはそいつがまだフーフーと息をしていたからだ。
そいつの傍らにしゃがみこみ、手をあててみる。とても弱いが息を吸って吐いて体が上下する。野良は本来人間に触られるのなんて嫌だろうが、ボクの顔を見て何か言いたげに口をパクパクさせるのは、、、いやボクを見てるのでなく、すでに感覚も無く意識は宙を彷徨っているだけか。どちらにしろコイツの命はもう終わりが近い。
子供の頃、うちにも猫がいた。ボクが小学校の帰りに拾ってきてしまったから猫嫌いのはずの祖母が仕方なしに面倒をみてくれた。猫嫌いとは言うものの、なんだかんだ可愛がってたし猫もいちばん懐いてたように想う。それから月日が流れ、祖母も立って歩くのがやっとになり、猫も同じようにおばーちゃんになった。ある日の晩、祖母の寝室で悲鳴があったので駆けつけると、血まみれのネズミの死骸が祖母の枕元に置かれるように転がっていた。猫はそれから行方不明となって数日後に物置のすき間で身を隠すように死んでいた。
いよいよ息を引き取ろうとする轢かれた猫の首元には切れそうな細い紐が巻いてあった。野良だとばかり思っていたが誰かに飼われてたのだろーか。だとすればあの猫みたいに恩返ししておきたい人がいただろーか。それよりもやはりシャイな生き物だから自分のこんな死に様をボクに見られてることが恥ずかしくて堪らないだろーか。そんなことを考えるうち、何処からか太極拳帰り風のおばちゃんらがやって来て、あらあら、まあまあと慣れた手つきで毛布に包んでどこかへ運んでくれた。最後に毛布の中から「ミャー」という声が聞こえたけど、それが断末魔の叫びでなく、甘えたような優しい声だったのになんか救われた気がした。

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