サクラ。 - シックスセンス（シガ アキオ）

　さて、角井エリさんという女性の話。いまから何年くらいか前に偶然知りあった。

　しかし、偶然といったって人の出会いなんてみんな偶然みたいなもんで、たとえばクラブで声をかけたとか、合コンにいたとか、友達の友達だったとか、そーゆーのももちろんそうなんだが、人生にはアンビリバボーな出会いというのが幾つかあって、たぶんその類いである。

　たとえば海に小瓶を流してそれをたまたま拾った人だとか、もう天文学的確率の。さらに、そのピンポイントのファーストコンタクトから、会話を交わし、互いを知り、友人と呼べる仲になるまでの確率となると、それこそもう宇宙的レベル。

　その超偶然に知り合った女も、平成の明日のジョーと同じくらい熱い友達だ。よくある「男女間に友情は成立するか」なんて問いにも、ボクは即答で「あると思います」と吟じます。それは三人姉妹、二人の祖母、そして母という、圧倒的多数の女系家族で育ってきた環境も関係するかもしれない。

　んなこたぁともかく、知り合った当時のボクは荒んでいた。それをスーパー偶然に出会った女は女っぽく慰めるでなく、酒を飲みながら「おい、がんばれ」って肩を叩いてくれた。そーゆー男付き合いにはそーとー救われた。だからその女も男どもと同じくらいのボクの愛すべき友なのだ。

そんな愛すべき友二人が晴れ舞台で肩を並べて座っている。新郎と新婦となって。その光景はまるで当り前のように会場の華やかな景色に溶け込んでいるが、ボクにとっては、マジ、ありえねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーってくらい不思議空間。もう、天文学的確率は宇宙レベルだしその上まで行っちゃってわけわかんないくらい、おもろすぎ。

　巨大アーケード商店街のある武蔵小山に住む男と、坂道の多い横浜のとある町に住む女の、たぶんスクランブルすることなかったはずの恋は、たまたま集まった横浜のカラオケボックス「パセラ」にてディープインパクト。

　ただ、きっかけを作ったボクを仲人とか言うけれど、そーゆーのはやめてもらいたい。だって天文学的確率の偶然でも、結婚するほどの縁ならそれはもう必然だもの。ボクでなくとも、どこかで必ずディープインパクトしたと思います。

　そんな想いをですね、酔っぱらったスピーチでは１ミリも伝えられなかったので、ここで伝えてみます。他のみんなの言葉も最高だったな。

　さらに、その日２月２２日は実はボクの第二子の出産予定日であり、会場にいるあいだ中、携帯電話を握ったまま落ち着かなかった。でも、そこはさすがボクの子、空気を読んで次の日の２３日に出てきてくれた。

　また一人家族が増え、新しい記念日が増えた。今度は待望の女の子。名前は｢小桜｣と書いてさくらと名づけました。｢男はつらいよ｣の、ダメ兄を支えるやさしい妹であって欲しいと願います。