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武田篤典ライター67年大阪生まれ・京都育ち・藤沢住まい。『R25』インタビューとか『スマートモテリーマン講座』とかを書いています。このブログは、かつて『ポパイ』『ハナコウエスト』誌に連載していたコラムのリメイク。街で見かけた赤の他人から勝手にいろいろ学んでいきます。

見知らぬあなた

武田篤典
ライター
67年大阪生まれ・京都育ち・藤沢住まい。『R25』インタビューとか『スマートモテリーマン講座』とかを書いています。このブログは、かつて『ポパイ』『ハナコウエスト』誌に連載していたコラムのリメイク。街で見かけた赤の他人から勝手にいろいろ学んでいきます。

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ムーミンについて考えた(後編)

2012.05.09

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 さて、ムーミン実写化会議である。

 会議ったって、勝手に考えて、思いつくたび報告するだけだ。

 報告ったって、妻に「なーなー、オダギリジョーは?」って声をかけるだけだ。


 が、それでも会議にはルールがある。


1.実在の俳優を使って、作品の世界観をきちんと創りだすこと


2.キャラクターにビジュアルが似ていることは、絶対ではない。


3.CGとかかぶりものには頼らない。作品によってはコスプレもしない。


4.製作資金を集めてこられそうな座組みにすること。


 キャスティングの根本は1。彼がどんな人物なのかというところから考える。

 ......って普通ですけどね。

 たとえばムーミンなら、前回ちょっと考えかけたような感じでアプローチ。いかにムーミンだからといって、「カバっぽい」とか「太ってる」という点を中心に考える必要はないと思うのだ。

 画面にその役者が登場して、「似てる」と思わせて損はないけれど、それはいわば「出落ち」じゃないだろうかと。最初の「似てる似てる」感にはすぐに慣れる。われわれの観客には、暗闇の中でそのキャラクターと2時間付きあい、エンドクレジットが流れるときに「あー、ムーミン観たね」と納得してもらいたいのだ。「カバっぽい」「太ってる」に着目するのは、あくまでもキャラクターを満たしたうえでの話。


『君はいい人、チャーリー・ブラウン』というブロードウェイ・ミュージカルがあって、それはキャラクターをみんなフツーのオッサンとオバハンが、何の言い訳もせずに演じるのだ。スヌーピーももちろんオッサン(オバハンの場合もある)。何年か前に日本版が上演されたとき、チャーリー・ブラウンは小堺一機、スヌーピーを市村正親が演じていた。ちなみにこれはマニラ版。チャーリー・ブラウンもスヌーピーもフィリピンのオッサンがやっている。もっとわかりやすく言うならば、ドコモのCMで渡辺謙がスマホを、布袋寅泰がタブレットを演じてるみたいな感覚か。


 それに加えて、実現可能な座組かどうかもも考慮したい。対外的には、スポンサーがお金を出したくなる(劇場版ムーミン製作委員会が結成される)ような魅力的なキャスティングか。逆に豪華すぎて製作費が破綻しないか。内部的には俳優同士の折り合いはよいか。「あいつが主演ならおれは出ない」みたいな関係性もきっとあるだろうし、売り出し中の若手が強制的にセット販売されることだってあるだろう。そこは、そこそこ抑えたうえで、でもやはり「力の論理」には与したくない。もうこれ以上、邦画の実写化市場に「誰得実写化」を生み出すわけにはいかない。われわれが目指すのは、みんなが幸せになる『ムーミン』なのだ! 


......まあ、アホです。どれだけ熱く語ろうが「ない話」ですからね。でも、たぶん日本語間違っていますが、乗りかかった船。というわけで、おれの考えた『ムーミン劇場版』実写化のキャスティング。


ムーミン:濱田岳

ムーミン.jpg


青年らしいナイーブな感じが高評価。失敗して家を飛び出したり、スナフキンに諌められたり、ノンノン相手にもじもじしたりするのが似合う。グレーのパーカなど着ていただいて、それでもうムーミンということにしたい。カトリさんの名も挙がった。彼ならなんの気負いもなくムーミンを演じるだろう。「主人公のムーミン役を演じることになりました、カトリです」という記者発表が目に浮かぶが、それはちょっとな。




ムーミンパパ:西田敏行 

パパ.jpg

すわりがよい。いいキャラクターにいい俳優。単純に観たい。おっとりしていながらも包容力があって、物知りなのだが、ストリートで身につけた知恵というムードもあって。学者然としたパパよりも、ややワルな方向に踏み出したパパが観たい。暗闇で目が光るみたいな。「実はコワい西田敏行」みたいな部分が出るとうれしい。鴻上尚史でもいいな。


ムーミンママ:大竹しのぶ

ママ.jpg

意外とママ、キャラが立っていない。優しくて柔らかくて出しゃばらない昭和のお母さんタイプ。割烹着系の女優さんだ。「ふた昔前なら京塚昌子」で意見が一致した。 市毛良枝とか竹下景子とか本上まなみとか山口智子もリストアップされたが、母性になにがしかのプラスαが出てしまいそうな気がする。ここは大竹さんの女優力で、あえて"なんの変哲もないママ"を演じてもらうことに期待するのだ。


スニフ:佐藤隆太

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臆病だけど、己の欲望には忠実。物事をよく考えずに突っ走る。『ルーキーズ』的な熱血・純朴の一方で、彼は奥底に"実は打算的なんじゃないの"感をチラ見せすることができる。あとなんとなく、茶色くて細長い感じが似合う。モノマネじゃないとかエラソーに言いながら、結構見た目重視になってきているか? 同じ事務所の佐々木蔵之介でもいいかも。


スナフキン:オダギリジョー

スナフキン.jpg

映画 『パッチギ!』のメンターっぽい役に引っ張られてるキライはあるけど......たぶん衣装にすごくこだわってくれるはずだ。帽子とマントは、 自前できてくれるかもしれない。ヒッピー的観点から言うならば、浅野忠信もよい。その場合、ギターの弾き語りというよりレイブっぽい仕上がりにな りそう。おさびし山でフェスが行われ、谷の住人たちが踊り狂う。キムラさんが手を挙げられるかもしれないが、それを呑むと主演:スナフキンの『劇場版スナフキン』になりかねないので注意。


ミィ:吉高由里子

ミィ.jpg

ギロリと した眼力のミィと、淡白な吉高さんとではビジュアル的にはむしろ真逆。だが、斜に構えて物事を見る佇まいと、「余計な一言を言いそう感」はハマるはずだ。油断するとヤグチさんが「芸能界一のムーミン通を自己申告しつつ」がぶり寄ってくるかもしれないが、そこは華麗にスルーしたい。

※この役はCGで。吉高さんをひざ丈ぐらいのサイズに加工するのだ。


ノンノン:綾瀬はるか

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平気で他人の生命を危機にさらしたりするド天然。最凶のお嬢さまである。徹底的に無防備になれて、行き過ぎた天然を狂気の域まで至らしめることができるのはたぶん この人だけだ。九十九里から広尾まで、一緒にロケバスで旅した(旅とは言わんか)おれが言うのだから間違いない。好きだ!


じゃこうねずみ:松尾スズキ

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世の中を諦めてる感。物語の中に異物として登場するので、『あさま山荘』ばりの"芝居しない感"でいてほしい。あと、このキャラだけちょっと劇画タッチ。質感も似ている。ていうか松尾ちゃんならば、パパもスニフもスナフキンもできそうだけど。


ヘムレンさん:浅野和之

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神経症っぽい感じで演じてほしい。顔が似ている。


ニョロニョロ:伊勢谷友介 

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おれが子どものころに感じていたムーミンにおける「ザラッとした感じ」を今回、一手に担ってもらう。とはいえ、減量したりフォルムを近づけてもらう必要はない。伊勢谷さんは白いスーツでニヒルに微笑んでくれるだけで可。われわれはニョロニョロを無表情な植物的なものとして見ているが、実は涼し気な笑みをたたえてこちらを見ているのかもしれないのだ。

※この役もCGで。小さくなってもらい、無数に増殖してもらう。


 幸いにして、西田敏行も大竹しのぶも松尾スズキも浅野和之もいることだし(おらんおらん)、舞台版でもいいかもしれない。......と、ここまで書いて『カエルの王女さま』をいうドラマを観、ノンノン役に大島優子という線を思いつく。濱田岳と並んだとき、一層ハマるかもしれない。


このおれが言うのだ。ていうか。




..................みなさま、


まったくもって長々と、


ほんとにすみませんでした。








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