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Extreme対談 vol. 2 フランク・リーダー×リュウ・イタダニ(前編)

2012.03.05

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その道の最前線に立つクリエイターによる、ディープでマニアックでエキサイティング、それでいてちょっとタメになる話「Extreme対談」。第2回目となる今回は、ドイツ・ベルリンを活動の拠点にする2人が登場。ブランド〈フランク リーダー(FRANK LEDER)〉のデザイナー、フランク・リーダーと、日本人アーティスト、リュウ・イタダニ。10年来の友人同士である彼らに、今、世界中からクリエイティブが集結する街の現状を語ってもらった。

Photos_Takeshi Miyamoto
Interview & Text_Yuko Asanuma
Edit_Yohei Kawada

Extreme対談
Vol.1 渋谷慶一郎×オノセイゲン"音の最前線から"(前編) (後編)

フランク・リーダー FRANK LEDER
1974年、ドイツ・ニュルンベルグ出身。セントマーチン美術大学校MA卒業。大学院在学中にブランド〈FRANK LEDER(フランク リーダー)〉のコレクションを発表。2002年に活動拠点をベルリンへ移し、以後、ドイツの歴史とそこに住む人々の生活や自然をインスピレーションソースに洋服を作り続けている。

リュウ・イタダニ RYU ITADANI
1974年、大阪生まれ。見たモノを独自の視点で描くフリーハンドのラインと、鮮やかな色彩感覚による"City"、"Thing"、"Nature"をテーマとした作品を制作する。2007年には表参道ヒルズの「1周年記念アートワーク」を制作したほか、国内外で数多くの個展やグループ展にて作品を発表する。現在はベルリンを拠点に活動。

クリエイトすることにおいて、ベルリンは最適な街だった。

―まずは、お二人の出会いから教えて下さい。

リュウ・イタダニ(以下、リュウ:敬称略):ロンドンですね。僕は美術の勉強をしたくてロンドンに行って、フランクは既に同じ大学(ロンドン芸術大学/セントラル・セント・マーティンズ・カレッジ)のファッション・デザイン科に通う先輩だったんです。僕の日本からの知り合いとフランクが友達で、現地に行ってからその知人を通して友達になりました。アパート探しなども手伝ってもらったりして。知り合いを紹介してもらってペッカムに住むことになりました。

―ペッカムって、先日の暴動がかなり激しかった地域ですよね?

フランク・リーダー(以下、フランク:敬称略):そうそう(笑)。その後有名になってしまって、いいところだったんだけどね...。

リュウ:当時は僕も着いたばかりで、どこがいいエリアでどこが治安の悪いエリアかも分からず...。でも実際、ペッカムはいいところでしたよ。

―では、同じ大学に通っていたから出会ったというわけではなかったんですね。大学内で会うことなどもあったんですか?

フランク:確か、「Cultural Studies」の授業だけリュウの校舎に行っていたかな。大学の外で会ってばかりだった。

リュウ:二人とも食べることと飲むことが好きだったので。

フランク:あ、でも一度絵を描いてもらったことがあったよね? 僕の最初のコレクションで、服にプリントを施したことがあって、その絵を描いてもらいました。

リュウ:そうだ、フランクの顔を描いたね。

フランク:あと、モデルをしてもらったこともあった。その最初のコレクションのテーマが「友情」だったんですよ。服を楽しんで着てくれる人をモデルにしたんです。僕はいわゆる「モデル」を起用することには抵抗があって。そのときは、1週間に渡って街中でショーをやったんです。色んな友達に参加してもらって、その日の気分で本人が着たいものを選んで着てもらった。

リュウ:そうそう、2月でもの凄く寒かったんだけど、夏服を着ないといけなかった(笑)。

フランク:あはは、そうだったね!

―大学はフランクさんが先に卒業したんですよね?

フランク:修了したのは同じくらいだった気がするな。僕は2001年に卒業して、それからベルリンに来たんです。約10年前ですね。

リュウ:僕は2003年までロンドンにいたから、やっぱり先ですね。

―卒業後すぐにベルリンに移ったと。

フランク:そうですね。そのままロンドンに残るか、ドイツに戻るか考えたときに、自分で何かを始めるにはドイツの方がいいと思ったんです。服作りのクオリティという点でも、コミュニケーションの容易さという点でも、自分にとって「外国」で何かを立ち上げるのは難しいと思った。僕にとっては、人とのコミュニケーションが日々の重要な仕事の一部なんです。では、ドイツだったらどこがいいかなと考えたときに、ベルリンだったんです。その頃は、ベルリンも今ほど"熱い"街ではなかったんですが、歴史と文化がとても豊かな場所だった。そこに惹かれました。

―ベルリンは文化的な都市かもしれませんが、ファッションの街ではないですよね?

フランク:確かにベルリンは、ファッションを「売る場所」としては理想的なところとは言えません。でも、僕自身にとって、それは重要なことではなかったんです。自分が働く街で店舗も構えようとすると、売れるかどうかが重要になりますが、そうでなければあまり関係ありません。僕の場合はクリエイトすること、製造することに集中したかったので、その点では最適な街でした。きちんと作ったものを発表する場と、紹介してくれる人さえいれば、どこにいても構いません。田舎の町でだって僕の仕事はできます。僕にとって重要なのは、ドイツ国内の製造工場やそこで働く人たちにアクセスしやすいということですから。

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