変化は常にしていかないといけない。
ー話は変わりますが、最近お子さんが生まれたと聞きました。早速いろいろと変化はありましたか?
TENDRE: 本当に変化しかないですね(笑)。いま生きているのは自分の人生でもあるんですけど、それを誰かのために尽くしたい。お互いに助け合っていくチームの仲間が増えたという感覚ですね。家族みんなで喜び合える瞬間が増えたのは本当に尊いことだなって感じています。
ー音楽活動にも変化はありますか?
TENDRE: 言葉の解釈がすごく変わってくるというか、たとえば「愛してる」って歌詞を入れるにしても、そのニュアンスに変化はあります。自分が書く曲は、自分だけのものではなくて、誰かの曲でもあってほしい。自分が思うことを織り交ぜながら、「こういうことを思っているけど、どうかな?」っていう感覚があるというか。
ー気持ちをただ伝えるだけではなくて、投げかけながらコミュニケーションをするような感覚…。
TENDRE: そうですね。そうやって曲を書くときに、子どもの存在があると、訴え方が変わってくるんです。子どもが生まれてきた瞬間って本当にエネルギッシュで、自分自身もすごく感動したし、たくさんの感情が生まれました。そのエネルギーを芸術的なものや、音に変換していく作業は本当に楽しいです。ちょうど制作期間中の出来事だったので、より素直につくろうっていう方向に気が向きました。
ー言葉のニュアンスが変わるというのは、もっと柔らかくなるような感覚ですか?
TENDRE: すごく抽象的なことなので言葉にするのが難しいんですけど、音楽家ってやっぱり見られる仕事だし、いろんなひとが抱く印象の中で音を奏でている感覚があるんです。それがひとつ自分の中で仮面が取れたような気がして、もっと自分らしく音楽をつくってもいいんじゃないかって思うようになりました。
ー生き方が定まったというか、そういう感覚ですか?
TENDRE: そう言えたらカッコいいんですけどね(笑)。でも10年後にはまた違う感覚が生まれていると思うし、いまはとにかく目の前の幸せを大事にしたいし、起こっていることに対して真摯に向き合っていくだけです。
ー制作中の出来事だったと先ほど話されていましたけど、生まれてくる作品に何か変化が感じ取れるかもしれないということですよね。
TENDRE: やっぱり変化は常にしないといけない。同じものをつくり続けるたくましさもありますけど、もっとできることを増やしていきたいじゃないですか。歳を重ねるごとにそれが増えていくはずだし、お金で買えるようなものではなくて、経験でしか得られないものが絶対にあると思っているので。そこに実直に向き合っていけば、きっとカッコいいお爺ちゃんになれると信じてがんばってます(笑)。
Finally, what are your goals for the future?
TENDRE: やっぱりみんなでより大きなステージを企んで、いい思い出をたくさんつくっていきたいですね。そして、作品をつくり続けることかなと。いま音楽ってすごくサイクルが早くて、その流れに飲まれると気づかないうちに大事な感覚を失うかもしれない。そこに対して戦っている表現者はとても多いんです。だから、自分が「いま一番鮮度が高い」と思える表現をリアルタイムで出していきたい。20年、30年経ってもちゃんと立っていたいと思える曲をつくり続けることが、自分にとって一番真っ直ぐな活動だと思ってます。