Talk About BAYFLOW Men’s らしさを残しながら、モダンな要素を如何にプラスするか。
PROFILE

「大阪モード学園」を卒業後、アパレル企業に就職してパタンナーとして活躍。2012年に「アダストリア」に入社し、〈ニコアンド〉を経て、14年に〈ベイフロー〉の立ち上げに参画。現在は同ブランドのメンズディレクターとしてブランドの躍進に貢献している。
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「川村都スタイリストスクール」を卒業後、五十嵐孝智氏に師事し、2011年に独立。雑誌や広告を中心に活動し、モードとカジュアルを巧みに融合させた、洗練されたスタイリングを数多く手がけている。
Instagram:@masaakiida
ー今年9月にリニューアルを果たした〈ベイフロー〉ですが、改めてどんなところが新しくなったのか、そのポイントを教えてください。
Fukuda: これまでの〈ベイフロー〉は、サーフカルチャーを感じさせるショアカジュアルを提案していました。今回のリニューアルではそうしたイメージを継承しつつ、もっと幅を広げていきたいと思ったんです。街と自然を行き来するライフスタイルをイメージしながら、そうした生活の中で着られる都会的な服や、きれいめなアイテムを加えています。
Ida: 〈ベイフロー〉らしさを残しつつも、モダンなテイストが加わった印象をぼくは受けました。そして、そのバランス感もすごく巧みで。スタイリングを組んでいてシーンを想定しやすかったので、今回提案したコーディネートも悩むことがなかったですね。
Fukuda: もともと古着やヴィンテージといったテイストを得意とするブランドなんです。なので、そこからあまりにも遠ざかってしまうと既存のお客さまが戸惑ってしまう。従来の〈ベイフロー〉らしさを残しながら、モダンな要素を如何にプラスするかという部分にはかなりこだわりました。
Ida: いままでも大人っぽさはあったけど、また違ったシーンでの大人っぽさが加わったようなイメージです。古着っぽさだけじゃなくて、そうした背景を持ったひとが、都会のいろんなところに出かけていけるような幅広さというか。シーンや人物像が浮かびやすかったですね。
ーそうした印象を具体的にどんなところに感じましたか?
Ida: 例えば、ネルシャツに合わせたスエットパンツがありますよね。シルエットがすごくきれいで、これなら街中でも穿きやすそうだなって思ったんです。もちろんリラックスしたいときにも穿けるし、これならシーンを横断できるなって。
ーモデルを務めたTENDREさんにも似合ってましたね。
Ida: 似合うだろうなっていう確証はありました。スエットパンツに限らず、全体的にシルエットやデザインがモダンになっていたので。
Fukuda: シルエットはかなりこだわってますね。例えば、オーバーサイズのシルエットにするにしても、大きすぎると子どもっぽくなってしまう。だから大人の余裕を感じさせるサイジングを心がけて、ディテールもそれに合わせて足し引きしています。
Ida: ディテールもそうですよね。エコレザーのジャケットに合わせたコーデュロイパンツはカッティングが立体的になっていて、そうしたデザインのニュアンスがさりげなく盛り込まれているところにも、新しいムードを感じます。
Fukuda: 大人のひとっていろんなブランドを見られているじゃないですか。だからさりげなくそうした要素を加えて、気づいてもらえたら嬉しいなって思ったんです。
Ida: モダンな要素を加える作業はどのブランドもやる手法なんだけど、やっぱり〈ベイフロー〉らしいヴィンテージのテイストをきちんと残しているところに魅力を感じるんです。立体的なシルエットをコーデュロイで表現したりとか、フード付きのシャツもネル素材を使って、アメカジテイストがどこかにあるじゃないですか。
Fukuda: それは本当に意識しましたね。モダンにしたいけど、らしさは絶対に消しちゃいけない。既存のお客さまが「これならチャレンジしてみよう」とか、新しいお客さまも「こんな服が〈ベイフロー〉にあったんだ」と驚いてもらえるようなデザインを意識しました。
ーお客さまのことを常に考えていたんですね。
Fukuda: そうですね。自分たちのエゴをとおすのは簡単なこと。それよりもお客さまに買って喜んでもらうのが〈ベイフロー〉が優先すべきミッションなんです。
ー井田さん的に気に入っているスタイリングはありますか?
Ida: コーデュロイのシャツジャケットのスタイリングはお気に入りです。グレーのニットやペインターパンツを合わせたオーセンティックなコーディネートなんですけど、実際にTENDREさんが袖を通すことによって、アイテムの魅力に立体感が加わったような気がするんです。やっぱりそれって、デザインがいいからなんですよね。素材感であったり、シルエット、それに加工など、いろんな要素が組み合わさって生み出されると思うんです。アイテムひとつひとつに魅力があるんだけど、スタイリングによって相乗効果を生み出したような気がして、ハマった感覚がありました。
Fukuda: ぼくもあのコーディネート好きですね。井田さんがおっしゃるように、どのアイテムもオーセンティックだし、従来の〈ベイフロー〉にもあるアイテムなんですよ。だけどスタイリングによって、その延長線上にある新しさがしっかりと伝わってきました。
あとはブラウンのセットアップのコーディネートもぼくは好きです。きれい目なアイテムの中にあえてチェックのシャツを合わせたミックススタイルも〈ベイフロー〉で打ち出したいと思っていたので。
Ida: ぼく自身もきれいなものに古着を合わせたりして、そうした着こなしが個人的に気になっているというのもあるし、ファッショントレンドを追いかけていても、そうした流れを感じるんです。今回の〈ベイフロー〉の服は、ひとつひとつのアイテムにモダンなポイントがきちんとあるから、ミックスしやすかったですね。手狭にならないのが本当にいいなと思いました。
ーまだリニューアルしたばかりですが、〈ベイフロー〉を今後どのように成長させていきたいですか?
Fukuda: お客さまに喜びを届けるブランドでありたいというのが基本としてありますね。そうした中で、もっともっと多くのひとに〈ベイフロー〉の魅力を知っていただきたい。まだぼくたちのことを知らないという方にも、今回のリニューアルをとおしてリーチしたいですし、いろんな方々に「カッコいい!」と満足してもらえるデザインをこれからもつくり続けていきたいです。
Ida: 今回スタイリングをさせてもらって、すごく丁寧につくられているなと思ったんです。ただ単にいまっぽさを加えるだけじゃなくて、きちんとお客さんのことをイメージしながら、理想を持ってデザインされているんだなっていうことが分かりました。そうした服をこれからもたくさん生み出して欲しいですね。