Director’s note by 伊賀大介
ー前回に引き続き、伊賀さんには総監督兼スタイリストとして参加していただきました。まず、今回のムービーについて簡単にご説明いただけますか?
Iga: 前回はストーリーっぽくて、ライブハウスの生っぽい雰囲気活かしで撮ったんで、逆に今回は“抜け”がいいほうがいいなと。だから自然光の入るシンプルなスタジオで、ムービーディレクターの神藤くんらしいグラフィカルな画に振りました。ただ、トリートメントしすぎると面白くないから、上からクロスが落ちてきたり、青い壁がスライドしてきて背景が変わったり、そういうアナログ感も残しながら出来上がったのが今回のムービーですね。
ー出演者は長岡亮介さんと黒木華さんをメインに、戌井昭人さんにもまたまたラストシーンに登場いただきました。このキャスティングにはどんな意図があったのでしょうか?
Iga: 〈マーガレット・ハウエル〉は服は袖をちょっと出したり、ニットを少し捲ったりするだけで、そのひと自身の個性が滲み出てくる。そういう意味でも、ただ単に人気者だからっていう理由だけでキャスティングするんじゃなくて、ちゃんと雰囲気もあるひとに着てもらいたいなと。それで、服がなじむ浮ちゃん(長岡さん)と華ちゃんにお願いしました。
ー仰る通り、お二人とも私服かと思ってしまうほどリアルでした。
Iga: たとえば、バキバキのハイファッションだと着ていて緊張感が生まれるじゃないですか。だけど〈マーガレット・ハウエル〉って日常にある服だから、メイクもそこまでつくり込まなくていいし、下手したらファンデーションを塗らなくても成立しちゃう。“素のまま”でいられる服だし、着心地がそのまま表情に影響する服だと思います。最後に登場する戌井さんがすごく自然に似合ってるのも、そういうことっていうか。
ー今回のムービーの見どころはどんなところにありますか?
Iga: 前回とまったく違う作品になったところかな。だけど、扱っているのは同じブランドの服ってところで、〈マーガレット・ハウエル〉のまた違った一面を見てもらえれば。
ー前回の作品と見比べると、おもしろさが際立ちそうですね。
Iga: また次があったら、それはそれで全然ちがうものになると思います。『ゴッドファーザー PART1』の結婚パーティーのシーンあるじゃないですか。庭でやってるやつ。もしやるとしたら、ああいう感じで撮りたいですね。老若男女、たくさんのひとを集めて、飯食って飲んで踊るみたいな。みんなで楽しんでるところを撮れば、それだけで成立する。そうやってなんでもやれちゃう感じがやっぱりすごいですよね、〈マーガレット・ハウエル〉は。
PROFILE
バンド「ペトロールズ」のギタリスト/ボーカリスト。ソロ活動や、他アーティストのレコーディング・ライブへの参加、楽曲提供、プロデュースなども行う。音楽制作やライブ活動のほか、映像作品への出演も行っている。
Instagram:@nagaokaryosuke
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近年は映画『せかいのおきく』(2023)や『アイミタガイ』(2024)で主演を務める。舞台では松尾スズキ作・演出『ふくすけ 2024
-歌舞伎町黙示録-』(2024)、加藤拓也作・演出『ここが海』(2025)に出演。映画・ドラマ・舞台など、さまざまなフィールドで活動を続けている。
Instagram:@haru_kuroki_official
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『ジョゼと虎と魚たち』で自身として初の映画衣装を担当。直近では映画『8番出口』『ラストシーン』、舞台『雨の傍聴席、おんなは裸足…』『私を探さないで』『ここが海』にスタイリストとして参加。
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