きっかけはいつだってふとしたこと。
旅のはじまり。鹿児島へ。
「ジャンボリー行かないの?」
数年前から、夏の時期になると合言葉のように交わされるフレーズ。「行ったことないなあ」。存在は知っていたが自分にとって縁遠いものだと思っていたのが正直なはなし。いわゆる“フェス”と言われるものにどうにもカラダが向いてこなかったから。
ただ「グッドネイバーズジャンボリー」においては「今年はあの人が出るよ!」とか「今回行かないともう聴けないんじゃないか」みたいな“どこぞの誰が出るから行こう”みたいな話をする人は誰もいなくて、“行ったか行ってないか”の話にしかならないし、「ジャンボリー」という音の響きに軽い引っかかりを覚える程度ではあった。
今年の春先、ひょんなことで鹿児島にあたらしい友人ができた。
「ジャンボリーは来ないの?」
行動が起きるきっかけなんてそんなふとしたことで訪れるものだ。旅先にいるあたらしい友人の顔を思い浮かべてみたら、なんだか鹿児島が近くなったような気がした。再訪する楽しみってのも旅する楽しさのひとつだろう。
曇り空で少し肌寒かった東京の羽田空港から鹿児島空港へ。フライトはざっくり1時間半。鹿児島は、しっかりと夏の熱気に包まれていた。そこからシャトルバスで1時間、鹿児島中央駅へ。宿に荷物を預け、レンタカーを借りて「グッドネイバーズジャンボリー」に向かうことにした。本番は8月20日。僕らが到着したのは前日の19日。今日は「前夜祭」があるのだそうだ。
鹿児島市内から車を走らせ、指宿スカイラインに乗る。スカイランという名の通り、山の上を走る高速道路だ。曲がりくねる幅広の道を空の方へ。いくつかの山を越えたら今度は下り道。料金所を通過すると広大な畑とまっすぐな道がつづく。窓を開け放ち、懐かしい匂いに包まれながら森の中へ。夏の蒼、力づよい木々に囲まれた山道をぐねぐねと走っているとそれは突然あらわれる。「かわなべ森の学校」、グッドネイバーズジャンボリーの会場だ。こんなところに学校が? こんなところで? 僕らの想像を軽やかに超えた、深い深い森の中にそこはあった。