第三講 藤原 裕
「往年のパタゴニア配色に注目」
90y & 91y PATAGONIA LIGHTWEIGHT REVERSIBLE WINDBREAKER
藤原ぼくのひとつめは〈パタゴニア〉の「ライトウェイト リバーシブル ウインドブレーカ」というモデルです。ピンク × イエローの方が’90年、グリーン × パープルの方が’91年のもの。春先になると、ここ数年は〈ザ ノース フェイス〉のシェルを着る機会が多かったんですが、〈パタゴニア〉もずっと好きなブランドでしたし、久々にプルオーバーを着たいなと。
阿部グリーンの方はまだしもピンクの方はユタカくんは着ないでしょ?
藤原着ますって(笑)。確かに周りから「こんな色着る?」ってよく突っ込まれますけど(笑)。個人的にはこの上にデニムを羽織る感じでミドルレイヤーとして使っています。カラバリも結構あって、中でも派手な発色なものだけをちょっと集めてみようかなと。
藤原いや、まあ趣味で(笑)。この企画で〈パタゴニア〉のMARSを以前クリくんが紹介したと思うんですが(古着サミット4を参照)、その辺りはお任せして、ぼくはより往年の〈パタゴニア〉らしい配色のインラインにも注目したました。
藤原そうですね。まだ数千円レベルで買えます。2つも、もともとウチに入荷してきて、ずっと売れずに残っていたものだったんですが、何か急に気になって。
山田この2つは90年製と91年製だよね。よくよく考えたら30年も前のものってことでしょ。そうなると全然出てこないだろうね。
阿部まあ、このモデル自体がいままで一度としてフォーカスされたことがないと思うから、この企画を機会に(相場が)上がっちゃうんじゃないですか(笑)?
山田確かに80年代後半の「フェザーウェイト シェル プルオーバー」とかだったら一時的にちょくちょく見かけた気がするけど、このモデルはあまり気にして見てこなかったなあ。
今野これはリバーシブルっていうのがまたいいですよね。
栗原ですね、生地も劣化しないですし。山田さんも言っていた「フェザーウェイト シェル プルオーバー」とかだったら、どうしても裏地のコーティングが剥離して着づらくなっちゃいますけど、このモデルはその心配がないですもんね。
阿部よく見るとカラーステッチとかも凝ってて良いね。
栗原何か「アクアギア」(ナイキが’80年代後半から一時期展開していたマリンアクティビティライン)っぽい感じもあるよね。
今野確かに。「アクアギア」っぽいね。しかも胸ポケに収納できるパッカブルモデルみたいだし、春先には便利かもね。
「ちょうど良い着丈と、襟のダブルステッチが好み」
藤原2つめもナイロン繋がりで〈リーバイス〉の70sナイロンジャケットを。前回のチャックトグルの別注対談の際、クリくんが着ていたモデルと同じ型です。ぼくもずっと自分サイズを探していたものだったので。じつはまったく同じ素材でサードタイプもあるんですが、そっちは丈が短くあまり着やすいものではないんですよね。
藤原そうみたいね。この2色以外にも赤とオレンジがあるみたい。
栗原品番は「606-57-1918」。年代も違うから関係ないけどスーパースリムと同じ品番なんだね。
藤原ファッション向けにつくったものだと思うよ。先程の〈パタゴニア〉と同様に、いまぐらいの時期にちょうど良いですし、襟のステッチがダブルってところが個人的な好みでもあって。
阿部ホントだ、ダブルなんだね。これは実際に着てるの?
藤原はい。サードタイプは着づらいんですが、このシャツタイプは丈もジャストで使いやすいので。
今野この生地もいいよね。いまつくったらなかなか高価になると思いますよ。結構手間が掛かりそうな生地ですよね。
山田価格はともかく、探したところでもう出てこないでしょ。ユタカはいつごろ手に入れたの?
藤原確か3、4年くらい前だったと思います。そのときはタブやポケットのアーキュエイトカットなど、〈リーバイス〉ならではのディテールに惹かれて探していたにも関わらず、いずれは着たいなくらいの感じだったのですが。
山田まあ、70ドルだったら仕入れるかな。だってユタカが倍で買い取ってくれるんでしょ?
「80年代までの501®変わり種Tシャツがおもしろい」
80s LEVI’S 501® PRINTED T-SHIRT
藤原3つめも同じく〈リーバイス〉ネタで。オフィシャルの変わり種「501®」Tシャツです。
阿部指で“501”の数字をつくっているフォトTは面白いね。
山田これってオレがユタカにお土産で買ってきたやつだよね。
藤原いや、違いますよ。あれもめちゃくちゃ嬉しかったですけど、如何せんボロッボロだったじゃないですか(笑)。
藤原ただ、モチーフとしてはとても気に入っていたので探してて、ようやくまともなやつをようやく見つけたんですよ。
藤原そうですね。90年代頭って可能性もありますが、だいたいそれくらいかと。この時代の〈リーバイス〉オフィシャルって、この〈ヘインズ〉ボディを使ったものが多いので、ボディの年代から推測しても、おそらくそれぐらいの年代だと思うんですよね。
山田背面には「The Buttons Shall Set You Free」ってあるね。はい、クリどういう意味?
栗原「ボタン、501があなたを自由にする」みたいな感じですかね。
阿部大喜利ですか(笑)?そもそもこの辺りのプリントTもあまり出てこないものなの?
栗原ぼくも何回かは見たことあるけど、そんなにしょっちゅう見る感じのものではないですね。
藤原うーん、これも趣味の領域ですかね。90年代に差し掛かるとボディも〈リーバイス〉社製のものに変遷していくので、この辺りの年代にはまだあまり知られていない変わり種もあるんじゃないかと、いろいろ探している段階です。
山田その指のプリントはオレも着たいな。そういえば、このネイビーボディのTシャツもオレが仕入れたものじゃない?
阿部あれだけの数を毎月のように仕入れていても、自分がピックしたものってやっぱり覚えてるものなんですね?
山田やっぱり訂正。オレもほとんど忘れてるわ(笑)。
藤原だいたいこれ(ネイビーボディ)も山田さんが買い付けてきたものじゃないですしね(笑)。
「国内で確認されている個体は4着。セカンドのTバック」
50s LEVI’S 507XX “T-BACK”
藤原最後は〈リーバイス〉の「507XX」、Tバックです。存在自体は10数年前から知ってはいたのですが、最近ようやく納得のいく個体を手に入れました。
山田セカンドのTバックなんてほとんど見ないよね。こんなのどこで手に入れるの?
今野フラップポケットに付けてるバッジも何気にスゴイやつだよね。確か20年代頃のもので、前に数百ドルで売られているのを見かけたことがあって。カバーオールの綴りがKから始まってるんですよ。
藤原「507XX」では、サイズ42以上50までが脇下に剥ぎを足して縫い合わせた2本ステッチになっていて、サイズ52からがTバックに以降すると現段階では推測しています。
藤原この個体は実寸が52あるので、おそらく元表記が54かと。とある先輩が所有している個体は実寸が50なので、元表記は52と推測しています。ただ、当時のカタログを見る限り、「507XX」のサイズバリエーションは50までしか記されていないので、それ以上のサイズはスペシャルオーダー的に作られたものかもしれません。タグへの表記も「507XXE」(EはExtraの略)ではなく、「507XXEEE」となっているので。
藤原また、国内ではぼくの個体を含め、現時点では3着しか確認していませんが、先日4枚目と思われる個体が某オークションサイトに出品されて一部で話題になりましたよね。
阿部ヤバイよね。これはファースト(506XX)のTバックよりも少ないものなんですか?
山田圧倒的に少ないね。でも、かたちは悪いけどね(笑)。
藤原この間、「506XX」のサイズ56って個体が発見されて、「フェイクα」でも同じくサイズ50のデッドストックを販売したので、どこまでバリエーションがあるのか知りたいと、いまなおリサーチしている段階です。