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男たちはなぜ、フランク・リーダーを愛したのか。
Why did men love Frank Leder?

男たちはなぜ、フランク・リーダーを愛したのか。

フランク・リーダーが日本に紹介されて15年が経った。6月、デザイナー本人が来日したタイミングで、エージェントの「マッハゴーゴー」は秋冬の新作をずらりと揃えてショールームを開放した。プレスの三浦理恵子さんは「〈フランク リーダー〉は口コミで一人、二人とファンが広がっていったブランドです。カスタマーやショップスタッフがデザイナーとじっくり膝を付き合わせることのできるこのようなイベントが、このブランドにはふさわしいと予てから考えていました」と話す。アットホームな空気に包まれたこのイベントの模様をリポートする。

  • Photo_Kota Yagi
  • Text_Kei Takegawa
  • Edit_Ryo Muramatsu

着るほどに馴染む、チクチク、ゴワゴワの肌触り。 石原太郎さん(学生)

「ドイツに留学することになって、せっかくなのでアトリエにお邪魔しました。アポなしだったのでフランクはちょっと驚いた顔をしたけれど、服を見せてほしいって言ったらどうぞどうぞって。今日着ているのはそのときに買ったシャツです。アメリカのお店の別注で、日本には入っていないよって耳元で囁かれた(笑)。その人柄にいっぺんで惚れました。ものづくりはもちろん申し分がない。チクチク、ゴワゴワのファブリックが馴染んでいくプロセスは堪らないものがあります。すべて地元でつくっているというのもいい。ぼくが発注しないと潰れちゃう工場ばかりなんだって教えてくれました。このあとぼくは大学院に進む予定です。インターンで働かせてもらいたいといったら、二つ返事でした」

飛行機代を出すからサインをもらってきれくれと頼まれました。 岡崎昌弘さん(SLOW&STEADY代表)

「店を立ち上げて7年。〈フランク リーダー〉が扱いたくて独立したといっても過言ではありません。一言でいえば、格好をつけていない格好よさがある。ドイツへの愛が生む骨太なものづくりはもちろんですが、羽織ったときがまた、格好いい。見せるためではなく、着るためのパターンだと思います。お店は徳島にあります。今日明日はスタッフに任せて、駆けつけました。この水筒はお客さんのもの。フランクに会いに行くと話したら、『飛行機代は出すからこいつにサインをもらって来てくれ』と託されたんです(笑)」

自己紹介は決まってフランクへの愛から。 永田岳さん(英語教員)
ビジネスならこんなに重たい服はつくらない(笑) 河上尚哉さん(マンホール代表)

「毎シーズン6〜7着は買ってきましたから、トータルでは50着を下らないんじゃないでしょうか。特に服に詳しいわけではありませんが、ここまでハマったブランドは他にはありません。普段は英語の教員をしています。フランクの服はカチッと見えて、それでいて肩肘張っていないところがいい。この仕事はホワイトボードで手が真っ黒になりますが、汚れても気兼ねなく裾で拭けますしね(笑)。新学期の自己紹介では、『ぼくの好きなブランドはフランク・リーダーです』と言って、フランクと一緒に撮った写真を見せるのがお約束です」(写真左、永田さん)

「前職(1LDK)からの付き合いです。つなぎやコートを別注して作って頂きました。〈フランク リーダー〉には10年前に買った服もまた着たいと思わせる普遍性がある。決してトレンドを無視しているわけではないけれど、根っこに揺るぎない信念があるからでしょう。大体、ビジネスを第一に考えているならこんなに重たい服はつくりません。今シーズンのおすすめはローデンのパンツ。ぼくはワンサイズ上を洗濯して穿きたい。おそらく縮むけれど、それが味になる。あとはカーディガン。ジップはあえて開け放して、ベルトを締めて格好をつけたいですね。8月には青山に念願の店をオープンします。〈フランク リーダー〉を取り揃えてお待ちしております」(写真右、河上さん)

着込んで完成するなんて、
初体験でした 今村高嶺さん(アーチ販売員)

「『アーチ』(札幌のセレクトショップ。昨年4月、浅草橋に東京店をオープン)に転職してその存在を知りました。頑固過ぎる生地にのけぞりました(笑)。先輩から『この服は着込んでいってはじめて100パーセント、120パーセントになるんだよ』って言われて虜になりました。まだ数着しか持っていないけれど、週に数回は袖を通します。今日着ているシャツは墨染めのリネン。臆せず洗濯しているので早くもいい具合でエイジングが進んでいます。今日はワーカーっぽいスタイルを意識して、40年代のアメリカのオーバーオールと合わせました」

キャラメルマンと
いわれています(笑) 坂本大樹さん(猿田彦珈琲スタッフ)

「20代前半はそれこそいろんな格好をしましたが、気づけばワードローブはアースカラー一色に。職場ではキャラメルマンといわれています(笑)。流行りに関係なく、いつでも着られる、という方向に好みがシフトしていったその帰結です。なかでも毎シーズンのように新作を迎え入れているのが、〈フランク リーダー〉。フランクって、あざとさがないんです。ナチュラルな思いがかたちになっているんでしょうね。ただ、ちゃんとはしているから、小汚くならない。そのさじ加減が絶妙です」

INFORMATION

マッハ55リミテッド

電話:03-5413-5530
www.mach55.com
www.frank-leder.com

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