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FEATURE
あれから11年。BEAUTIFUL LOSERSがいまに残すもの。
SPECIAL INTERVIEW FOR AARON ROSE

あれから11年。BEAUTIFUL LOSERSがいまに残すもの。

「全てはここから始まった」。これは、当時ニューヨークのロウワーイーストサイドにあった「アレッジドギャラリー(Alleged Gallery)」に所属していたアーティストの一人でもあるバリー・マッギーが語った言葉。名もなきアーティストたちの表現の場であったその場所は1992年に開かれ、2001年に突如閉鎖。しかし後に奇跡のムーブメントと呼ばれた「ビューティフル・ルーザーズ(BEAUTIFUL LOSERS)」という巡回展へと発展した。その後も書籍や映像作品、回顧展として後世に紡がれていった軌跡は、今なお世界各地で確かに残されている。あれから11年が経ち、今だに言語化ができぬまま神格化されていく「ビューティフル・ルーザーズ」という現象。「ビューティフル・ルーザーズ」とは一体何だったのか。その首謀者であり、稀代のキュレーターであるアーロン・ローズの言葉から改めて解き明かしたい。

  • Photo_Shin Hamada
  • Interview & Text_Yuho Nomura
  • Translate_Saya Nomura
  • Edit_Yosuke Ishii

©︎Ryan McGinley

©︎Cheryl Dunn

©︎Michele Lockwood

©︎Michele Lockwood

©︎Ivory Serra

©︎Ivory Serra

©︎Adam Wallacavage

©︎Joshua Wildman

©︎Aaron Rose

©︎Ivory Serra

©︎VARIOUS ARTISTS

このインタビューを行った2019年8月2日は、奇しくも「アレッジドギャラリー」に多大なる影響を受けてスタートした代々木上原の「12ギャラリー」が15年の歴史に幕を下ろした日でもある。そしてそれぞれのギャラリーを主宰するアーロン・ローズと平野太呂との出会いをきっかけに、写真家として作家活動を続ける濱田晋が今回の撮影を担当した。それは決して偶然の巡り合わせではなく、共鳴する者たちが必然としてその場に引き寄せられたようにも思える。そう、あの頃の「アレッジドギャラリー」のように。はじまりがあるものには、いつか終わりがある。しかしそこに確かな意志があれば、次のランナーへとそのバトンは繋がれていく。だからこそアーロン・ローズが抱く真摯なるアートへの想いは、様々な形となって次の時代へと語り継がれていくのだろう。

PROFILE

アーロン・ローズ
キュレーター・編集者

1969年生まれ。アメリカ・オレゴン州ポートランド出身。80年後半より映画『KIDS』の舞台にもなったワシントン・スクエア・パークに集っていたスケーターたちと共にスケートボードに没頭。その後、1992年にいまほど活気のなかったロウワーイーストサイドに400ドルの家賃で空き家を借り、“ギャラリーのような場所”を意味する「アレッジドギャラリー」をオープン。マーク・ゴンザレスやバリー・マッギー、マイク・ミルズ、ハーモニー・コリン、トーマス・キャンベル、マーガレット・キルガレン、エド・テンプルトン、ジェフ・マクフェドリッジ、マニー・マークなど各分野で現在世界的に活躍するアーティストを数多くの輩出。その後2002年に惜しまれつつ閉鎖した「アレッジドギャラリー」での活動の集大成となる展覧会「ビューティフル・ルーザーズ」をキュレーション。アメリカはニューヨークを皮切りに日本を含む世界6カ国を巡回した。また現在は、親交の深いブランド〈RVCA〉のアーティスト支援の一環でもある「Artist Network Program」で様々な企画やフリーペーパーの制作を行う。キュレーターとしてはもちろん、編集者、アーティスト、映画監督などマルチな才能を発揮するクリエイターとしても知られる。

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