テニスシューズというルーツがあるからジャージっぽい見た目の生地に。
ー 今回の企画はこの別注「スタンスミス」に合う服をつくるということでしたが、スニーカーを起点にものづくりをするというのが珍しいですよね。
金子:たしかにあまり聞いたことがない。
南:でも、おしゃれは足元からって言いますからね。


〈Graphpaper × L’echoppe × ÉDIFICE〉シャツ ¥28,000+TAX、パンツ ¥28,000+TAX
※ブラックは11月1日オープンの「渋谷スクランブルスクエア」にてリリース予定。
山本:はじめはこのシューズに合うパンツをつくりたいという話をさせてもらったんです。
南:とはいえ、うちのラインナップから選んでそれをちょっといじるだけではおもしろくない。その辺は色々相談しながらどうアレンジしていくかを話し合いました。あとはどうせならセットアップでやりましょうよって提案させてもらって。
ー それはどうしてなんですか?
南:ぼくが単純にセットアップが好きなんです。それにせっかくつくるなら靴も含めてワンコーディネートできたほうがいいかなと。そうすると店頭での見え方や、お客さんの認知も変わってくるでしょうし。
ー なるほど。アイテムの選定などはどのように決めていったんですか?
南:色々とぼくが提案するなかで、最終的にこのアイテムに落ち着きました。このセットアップはもともとうちのお店の制服としてつくったものなんです。さっきも話しましたけど、オープン当初に「スタンスミス」を展開していて、それと合わせて着るのがいいな、なんてイメージがもとからあって。だから本当に話は早かったですね。話し合いながら「いいね、いいね」なんて言いながらスムーズに終わりました。

金子:このスタイルがハマるだろうというのは、そのとき全員見えましたよね(笑)。「スタンスミス」はテニスシューズというルーツがある。つまりスポーツウェアに合わせて履かれていたんですよね。だからジャージとかそういうアイテムとも相性がいいんじゃないかと思って、今回のセットアップの提案とすごく親和性を感じたんです。現代的なジャージのセットアップじゃないですけど、この生地に関してもちょっとジャージっぽい見た目をしていると思うんです。むかし〈アディダス〉にウールっぽい素材のジャージがあったような気がして。その懐かしさを感じるアイテムになりました。
南:〈ベンデイビス〉のワークシャツがあるじゃないですか。ぼくのなかではあれを整えてきれいにした感覚です。本来なら脇のスラッシュポケットとかないんだけど、あったらいいだろうということで入れて。
ー スポーツとワーク。どちらにも共通するのはユニフォーム的な面構えですよね。それを上品にアレンジしていると。
南:普通ならハリのあるコットンとかでつくったりするんだけど、上下ともきれいにしちゃうのがこのスタンスミスに合うかなと。あくまで主役はこっちなので。
ー 生地はすぐに決まったんですか?

ウール100%の上質な生地を採用。柔らかくて肌触りがよく、着たときに出るドレープも美しい。
南:結構な数の生地を見ました。最初はウールじゃないほうがいいんじゃないかっていう話をしていて。さっき金子さんが話してたように、本来はスポーツアイテムだからウールの面をした化繊をチョイスするのもいいんじゃないかっていう話もあったり。でも、それってどうしてもウソっぽくなるというか、偽物っぽくなっちゃうと思ったのでやめたんです。
山本:この生地は本当にいいですよね。
金子:とはいえ、ウールに抵抗がある人もまだまだ少なくなくて。やっぱりコットンがいちばんっていう人が大半なんです。でも、これは素肌で着てもチクチクしなくていいですよね。それにウールって実は天然の機能素材だったりするので、どんどん着て欲しいなって思うんです。
南:最近はアウトドア界隈でも化繊が一掃されて、ウールが正解ってなってますよね。ぼくも個人的にはウール イズ ベストっていう気分になってます。