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FEATURE
関西デザイナーが語り合う、ローカルで服をつくるということ。
From Osaka to all over Japan

関西デザイナーが語り合う、
ローカルで服をつくるということ。

現在のファッションシーンで確かな存在感を放つ〈アタ〉、〈ワンダーランド〉、〈ラジャブルック〉。ルーツもスタイルも異なる3ブランドの共通点は、西の都・“大阪”が拠点ということ。今回は各ブランドのデザイナーをお招きし、大阪ならではの魅力や服づくりに対する矜持を語ってもらいました。彼らの言葉から手繰るローカルブランドの大いなる可能性とは。

  • Photo_Masao Inoue(TRYOUT)
  • Text_Shinsuke Sakakima(TRYOUT)
  • Edit_Shun Koda

ローカルから発信する
春夏の新作。

ー 本日は20年春夏のアイテム持ってきてもらいました。ざっと並べて、それぞれのアイテムについて教えていただければと思います。

〈wonderland〉ファティーグジャケット ¥34,000+TAX、
〈COMFORTABLE REASON〉×〈wonderland〉シニアハット ¥7,800+TAX

川崎:直営店の「ノットワンダーストア」でも取り扱ってる〈コンフォータブルリーズン(COMFORTABLE REASON)〉に別注したハットです。形はインラインと同じなんですが、生地とカラーの組み合わせは変更しています。

牛田:バケットハットっぽいけど、上品な雰囲気ですね。シャツと相性良さそう。

森:柄の落とし込み方が遊び心効いていて〈ワンダーランド〉っぽいですね。。

川崎:次はファティーグジャケット。古着屋でおなじみのアイテムですが、探すとなかなか丁度いいサイズのものがなくて。それならと自分で着たいワイドな身幅のものをつくりました。シルエットを変えられるようウエストの内側にはドローコードが付いているので絞っても着てもらえます。

森:ゆったりとしたいいバランスですね。生地はバックサテンですか?

川崎:そうです。やっぱりガシガシ着れた方がいいと思って。着込んでいくとよりネップ感が出てきます。

森:〈ワンダーランド〉はありそうでなかったところを突いてきますよね。なのに違和感がない。緊張しますが、次は僕たちの〈アタ〉を見てもらいましょうか。

〈ATHA〉マキシコート ¥69,000+TAX、
スエードギャザーパンツ ¥31,500+TAX

齋藤:〈アタ〉は基本ワンサイズ展開で、男女問わず着用できることが特徴です。特に大阪は古着文化が根付いているから顕著なのか、最近はサイズにこだわらず、好きな服を好きなように着る人が増えてるのかなという印象で。

ー 街を歩いていても自分なりのサイジングを意識している人が多いですね。

森:そうですよね。それは僕たちの服も同じで、人それぞれの着こなしを楽しんでほしいと思ってつくっています。このコートも背の高い人がジャストサイズで着てもいいし、小柄な女性が袖をまくって着ても可愛いだろうなと思ってつくってます。

川崎:〈アタ〉のすごいところは着る人によって表情が変わるところですよね。このチェックなんかも男性が着るとシックに、女性が着ると可愛げのある雰囲気になりそうですよね。

齋藤:そうなってほしい一着ですね。このスエードパンツなんかは、サイズが大きくてもドローコードでギュッと絞って穿いてもハマるようなフォルムに設計しています。

牛田:かなり太いですよね?

齋藤:かなり太いです。なので見るだけじゃなくて、ぜひ一回穿いてみてほしい。これも華奢な人が穿いてもおもしろいシルエットになるんです。

〈rajabrooke〉手ぬぐい ¥2,800+TAX、
ハット ¥7,000+TAX

牛田:僕は東南アジアに10年以上住んでいたことがあって、そのルーツを生かして色々つくったりしてます。服も作ってますが地味なものばかりなので、今日はパッと見て現地のエッセンスを感じられる新作の小物を持ってきました。

森:ひと目見ても、〈ラジャブルック〉のアイテムってわかるのがいい。

川崎:手ぬぐいはブランドの顔的な存在ですよね。

牛田:ありがとうございます。手ぬぐいの柄の元ネタは“バティック”と呼ばれる布なんですが、現地ではイスラム美術様式で植物系の柄が豊富なんです。その柄を日本の伝統的な手ぬぐいに落とし込んだらおもしろいかなと思ったのが最初で。

森:なるほど、違和感を狙ったわけなんや。この帽子も変わってる!

牛田:このキャップは“クフィ”というお祈りをするときに被る帽子が元ネタなんです。形はそれに近いんですが、それをテック系の伸縮素材にしてアジャスターを付けたりと、これも違和感を狙ってみました。

ー アイテムとしての完成度の高さもそうですが、〈ラジャブルック〉を通して東南アジアの空気感を楽しめるのがいいですよね。

牛田:そこは僕が掘り起こしていきたいところなんですよ。ただ、そのまま世界やローカルの要素を持ち込むのではなく、それを変換して新しいものにする作業というか。そうやってじっくりゆっくり考える時間が、東京にいてもなかなかなくて、大阪みたいなローカルという環境だからこそかなと。それがローカルでものづくりをしている人たちの役割なんだと思います。

齋藤:それは強く思いますね。外からじゃ見えないことはたくさんあるので、その土地で生活する人たちが声を大きく発信していかないとですね。

森:結構アツく語ったけど、来年あたり誰か東京に拠点移さへんよな? 「うわ、あいつ行ったで!」みたいなん、やめよな(笑)。

INFORMATION

rajabrooke

Instagram @rajabrooke_asia

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