希少価値だけでは計れない魅力がレギュラーTシャツにはある。
ー レギュラーTシャツ談義、なかなか興味深いお話でした。価値のないものに価値を見出すというのはなかなか難しいものだと思いますが、これらはどこで買い付けるんですか?
中野:ぼくのところはアメリカ在住の外国人ディーラー2名と日本人ディーラーの計3名の方にお願いして集めてもらってます。ただこの辺りのTシャツって、ヴィンテージのようなわかりやすい価値基準がないので、ディーラーに頼んでもなかなか伝わらないんですよね。微妙なニュアンスの加減やセンスの問題がありますから。「こういうTシャツが欲しいんだ」ってはじめてディーラーに伝えたときは、「こいつ何言ってんだ?」って感じでした(笑)。実際、集めてきてもらったものでもピックできるのは10分の1くらいですね。
ー 話を聞いてても、フォントの書体や版数、印刷技法など、いわゆるの古着をピックする基準とは違いますよね。その辺りを意識するようなったのはいつ頃ですか?
畠中:このふたりは昔から手刷りでオリジナルのTシャツをつくっていたから、そこからなんじゃない?
izmt:19歳の頃からですね。当時はシルクスクリーンの版が高くて、プリント工場に頼めなかったから、自分で刷るようになりました。それから版のことなどを気にするようになった感じですね。
ー 古着のひとつの価値基準として面白い観点です。こういったレギュラーTシャツは今後価値が上がると思いますか?
中野:すでに一部では価値が付きはじめています。例えば2000年以降のものでも、Googleやamazon、WINDOWSといったテクノロジー系の企業モノは人気で高騰してますし、アメリカの現地ディーラーからも物が集まりにくくなっている。ただ一方で、レストランなどのスーベニアTはバイイングセンスがないとできないものだと思うので、価値として定義付けるのは難しいかなと思います。
ー お客さんの反応はどうでしょう。
中野:お店でもこのあたりを昔から並べてますが、ぼくらみたいな観点で見ているわけではありませんが純粋にものとして面白さを感じて買っていただいています。
ー 改めて、レギュラーTシャツの魅力をお聞かせください。
畠中:普段「ウェーバー」で扱っている高価なものでなくても、自分なりの解釈やストーリーを勝手につくって妄想しながら楽しむのがレギュラーTシャツの魅力だと思います。それに価値があるものが高いというわけではありませんしね。今回紹介したTシャツは、まだスポットが当たっていなかっただけで、ものの価値=価格ではないんですよね。
中野:世の中にはいろんなデザイナーやアイデアマンがいて、それこそプリンターの種類も豊富にあって。有名ではなくても格好良いものはたくさんあるんですよね。希少価値だけでは計れない魅力が、レギュラーTシャツ選びの楽しいところな気がします。
izmt:ふたりが全部言ってくれたから、ぼくからはもう無いかな(笑)。レギュラーTシャツは楽しい、それだけです。
ー 今回のお話を聞いて、ヴィンテージとはまた違ったレギュラーTシャツの魅力に気付くことができました。少し視点を変えながら見ることで、新しい価値を見出すことができる、そんな奥深きレギュラーTシャツにフォーカスしたイベント「ドレギュラーTシャツ展」が6月5日(金)から3日間、「ドゥージョー(dojoe)」にて開催されます。ここで紹介したTシャツ以外にも3者が厳選した良質なレギュラーTシャツがたくさん並ぶそうなので、ぜひ足を運んでみてください!
ドレギュラーをイメージしたイベント限定のオリジナルTシャツ。


ドレギュラーTシャツ展
イベントTシャツ ¥3,500+TAX
6月5日(金)より開催される「ドレギュラーTシャツ展」で限定販売されるイベントオリジナルTシャツ。フロントの“YOLO”は“YOU ONLY LIVE ONCE”の略で、“人生は一度きりだから好きなことやろう”という意味。これを近年価格が高騰しているYALEのカレッジフォントでプリントしています。バックにはイラスト入り。グラフィックを手掛けたのは「アノラック」のizmt氏で、良い感じのレギュラー具合を狙ったとのこと。確かに、何回か洗ったらその辺に転がってそうなレギュラーTシャツのような顔になりそう。だが、それがいいんです!