“服を着るフィールドは全てアウトドア”というコンセプトで、長年クリエイションを続けてきた〈ホワイトマウンテニアリング〉が、また違った目線で作った「リポーズウェア」には、強固なリアリティが宿っています。
「僕は普段は『ワードローブ』のアイテムを着ることが多かったんですが、この『リポーズウェア』は自分が着たいものを作ったという側面もあります。こうしたタイムリーなものづくりというのが、今後求められていくんだろうと思っています。というのも、自分のなかでいまものづくりに対するマインドが変わってきているんです。前回(2020AW)パリで発表したショーがすごく評判が良くて、自分でも納得のいく仕上がりでした。そこで一息ついてみたら、また違う世界が見えてきたんです。改めて自分目線でのものづくりがしていきたいなと」

LOGO PRINTED LONG SLEEVES T-SHIRT ¥13,000+TAX
情報量が多い、これまでの〈ホワイトマウンテニアリング〉とは違う視点。ショーで服を見せるうえで必要になってくる、インパクトを重視していたクリエイションとは別軸の考え方。こうしたシンプルでそぎ落としていくミニマルな思考に至ったのには、イタリアの雄〈ラルディー二〉とのコラボレーション(LARDINI BY YOSUKE AIZAWA)が大きく作用しているといいます。
「2014年くらいに〈モンクレー〉とものづくりをしていたときは、とにかくインパクトを出そうという考えのもと、自分にしかできないものづくりを追求していました。あれから6年が経って、いま〈ラルディーニ〉とやっている共同作業は自分の考え、デザイン哲学を落とし込んだうえで、自分でも着るような服をつくっている。そのものづくりのやりかたがすごく心地よかったんです」

LOGO PRINTED T-SHIRT ¥8,000+TAX
いいなと思ったものをすぐに形にするフットワークの軽さ。先日紹介したポンチョなどのアイテムも、自身が積極的に音楽フェスに足を運ぶようになって生まれたコレクションだという。今後もこうしたスピンオフコレクションは続いていくことでしょう。
ファッションと政治は、ある意味密接な関係があるといったのは誰だったか。政治というと少し回りくどいかもしれませんが、その時々の世相、時流によって求められるのが変わってくるというのは至極当たり前のこと。刻一刻と変わりゆく世界に目を向けながら、どれだけ自身を裏切らない真摯なコレクションを発表し続けられるか。そこがデザイナーの腕の見せ所なのでしょう。
イタリアや中国とものづくりする機会が多いゆえ、かなり早い段階でコロナ禍がもたらすだろう状況に思いを巡らせていたという相澤さん。いち早く動いた結果がこの「リポーズウェア」です。取材のなかでは、今後の新しい構想についての話がいくつも飛び出しました。
何度目かの思考のアップデートの真っ最中である〈ホワイトマウンテニアリング〉。しばらくは目が離せなそうです。
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