これからのファッションは、感情に訴えるストーリーテリングが重要になってくる。
ー そんな最中、世界を襲った新型コロナウイルスの猛威。ファッション業界も例外ではなく、甚大な被害を被っていますが、世界中を飛び回りながら仕事をしているYOONさんにはどのような影響がありましたか?
YOON:全く身動きがとれなくなってしまったので、実務への影響はやはり大きいですね。いつ海外に行けるようになるかも分からないですし、コロナ禍でなければもっと楽しいことができていたのに…。ただ、いまこの瞬間も状況は変わっているから落ち込んでいてもしょうがないし、予定通りに進めば9月に発表できる大きなコラボレーションがあって、いつものようにベストな環境とメンバーで形にすることはできなくとも、限られた条件のなかでベストを尽くすことだけを考えています。

ー 緊急事態宣言中はどのように過ごされていたんですか?
YOON:なんだかんだ忙しくて、毎日仕事をしていました。リズムだけは崩したくなかったので、いつも同じ時間に起きて同じ量の仕事をこなし、同じ時間に寝ることを心がけていましたね。あと、これまでのやり方が通用しない分、物事をよりフレキシブルに考えられるようになった気がします。そういう意味では、私にとってはマイナスなことだけではなかったのかな。
ー YOONさんのなかで、ファッションやクリエイティブに対する考え方で何か変化があれば教えてください。
YOON:三ヶ月後がどうなっていくかわからないから、あまり先のことは考えていません。確実なのは、みんなが精神的に疲れているということ。だから、お客様の立場で考えたときに、その人たちが何を必要としているか、どうしたら楽しんでもらえるかを形にしていきたいですね。
ー ファッションに求められる役割も、これを機に変わりそうな気がします。来たるポストコロナ時代にYOONさん、ひいては〈アンブッシュ®︎〉に求められるものは何だと思いますか?
YOON:正直、コロナ禍の前から変化はあったと思うんです。一回着てインスタグラムにアップしたら終わりという風潮は今後も続くだろうから、安価で手に入るファストファッションに対する需要は変わらないだろうし、逆にハイブランドは彼らにしかない価値がある。いちばん大変なのは、中間のブランドだと個人的には考えています。これからはただかっこいい、かわいいだけではなく、身に着けたいという気持ち、感情に訴えるようなストーリーテリングが余計必要になってくるだろうから、そういう面を意識しながら、服以外のコンテンツも通してお客様たちとこれまで以上にパーソナルに繋がっていきたいです。