PROFILE

1987年生まれ、山梨県出身。原宿のアパレルショップで働いた後、2013年に「ブルーラグ」に入社。現在は同社の看板メカニックとして従事する。信条は「乗る人の相棒になるようにつくりたい」とのこと。自身も大の自転車好きで所有台数は7台。どれもお気に入りだが、1番を強いて挙げるなら〈サーリー〉の「STEAM ROLLER」だとか。
スポーツバイクをデチューンして乗りやすくした“エブリデーバイク”がおすすめ。



ー コロナショック以降、自転車に乗り始めた人が多いのではないかと思っているのですが。
金子:毎年5月頃から自転車需要が高まるのですが、例年にも増してオーダーが入っていますね。通勤や通学のために公共交通機関の代わりとして自転車を欲しがる人はもちろん、三密を避けつつ身体を動かせる趣味のひとつとして注目が高まっているようですね。特に「ブルーラグ」では趣味性も大事にしているので、せっかく自転車を買うなら細部までこだわった1台が欲しいお客さんが足を運んでくれているようです。
ー 大手メーカーの完成車ではなく、〈サーリー〉や〈ヴェロ オレン ジ〉などインディペンデント系のフレームメーカーを中心に取り扱っているのも「ブルーラグ」の特徴だと思います。
金子:ぼくらのお店では完成車の販売は1割から2割程度で、お客様のニーズをうかがいながらフレームやパーツを選んで組むケースがほとんどです。ひとくちに自転車と言っても、とにかく速く走りたいという人もいれば、気軽にゆったりと乗れる自転車が欲しいとい う人もいますし、自転車に乗るときにどんな服を着るかも重要です。そのため、基本的に大手メーカーの完成車ではなく、自由に組み上げられるインディペンデント系のフレームをお勧めしています。

「ブルーラグ」で扱うフレームの中でも、取り分け高い人気を誇る〈サーリー〉。

カリフォルニア州サンノゼで高品質なパーツを製造する〈フィルウッド〉のハブも充実の品揃え。こだわり派の方に是非。

同じくアメリカのコンポーネントメーカー〈トムソン〉のステム。ほかにもシートポストやハンドルなどが揃う。
ー フレームから組み上げるというと「速くて華奢な自転車しかないのでは?」や「すごく高額な自転車しか売ってないのでは?」など、敷居が高いイメージもあるのですが….。
金子:大手メーカーの完成車はよく出来ているのですが、ぼくらが扱 っているメーカーのフレームはとにかく速度重視のものからゆったりと乗れるもの、パーツの取り付けによって機能を拡張できるものまで、様々なモデルがラインナップされています。そのため、ひとりひとりのニーズに合わせた個性豊かな車両を作ることが可能なんです。だいたい一台組み上げると20万円から30万円前後が中心の価格帯ですね。
ー 自転車で30万円と聞くと高いように思いますが、フルカスタムのオーダーだと思えば納得できる価格帯なのかもしれませんね。
金子:バイクや車を一台カスタムするよりも、ずっと安く済むのは間違い ないですね。そして、パーツを変えるだけで、見た目はもちろん乗り 味も大きく変わるのが自転車です。ファッションのコーディネイト を考えるような感覚で自転車を作り上げる過程も楽しんでもらいたいと思っていますし、自分のライフスタイルに合わせた一台が出来 上がれば、億劫なはずの移動そのものが楽しくなるし、自転車が単なる道具ではなく相棒になる感覚が獲れますね(笑)

ハンドルポジションがゆったりとしているプロムナードハンドルは、ゆっくりと街をクルージングするのにちょうど良い。

カバンや荷物を積むのに重宝するキャリアは、普段使いの街乗り自転車の必須アイテム。これひとつで利便性がぐっと高まる。

レザーサドルの王道〈ブルックス〉は、定番の「B-17」をはじめ様々な種類を揃える。
クラシカルかつ高級感のある見た目を演出。
ー コロナ禍や道路事情も考慮すると、いまの東京で暮らすのに最適な自転車とはどんなものでしょうか?
金子: ぼくらはエブリデーバイクと呼んでいるんですが、スポーティなフレームにプロムナード系のハンドルをつけて前のめりになりすぎないポジション設定にしたり、タイヤも細過ぎない物を選んで安定感と乗り心地を優先し、前カゴやリアキャリアなどをつけて荷物を載せられ るようにした車両をおすすめしています。
ー 確かにそれだけでもだいぶ印象が変わりますよね。街乗り仕様と言いますか。
金子:そうですね。いわゆるなスポーツで乗られる自転車のセッティングだと普段使 いするにはスパルタンでしんどいこともありますので、それをある意味でデチューンさせてマイルドに乗りやすくする方向に組む感じ ですね。それから、ロードバイクだとスタンドをつけない人が多いですが、デイリーユースを考えるとスタンドは必要です。いまはセンタースタンドなど目立たない位置に取り付けられるものもあるので、普段から気兼ねなく乗りたいお客さんにはスタンドをつけることをおすすめしています。
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