ヘアメイク、〈SHiON〉デザイナー
アーティストYOSHIやブランドルックを手がける「LIM」所属のヘアメイクアーティスト。2020年にはパリファッションウィークでコレクションを発表した〈マメ(Mame Kurogouchi)〉のヘアチームにも参加。さらにはモデルやDJとしても活躍中。今秋には自身のブランド〈シオン(SHiON)〉をローンチした。
Instagram:@ohta_seiya
ー ヘアメイクを志したきっかけは何だったんですか?
中学の時に、〈コム デ ギャルソン〉や〈アンダーカバー〉のヘッドピースをつくっている加茂克也さんに衝撃を受けてからですね。最初はコレクションのヘアスタイルばかり目で追ってたんですけど、そこからファッションにも興味が湧いて。子どもの頃から美術が好きで、ずっと絵を描いてたんですけど、そこで美容とアートが結びついた感じですね。
ー ヘアメイクのやりがいは?
自分の理想とするスタイルとクライアントから求められているものが違うこともあるので、それをバランスよく表現するのがヘアメイクの仕事だと思っていて。それが難しくもあり、追求する楽しさだと思います。「おまかせで」って僕らしさを求められることもあって、そういうオーダーが苦手っていう方もいるんですけど、僕は逆にやる気が出ますね。
ー ヘアメイクは絵を描く感覚に近かったりしますか?
ありますね。デザインを起こす時もスケッチを描いたりします。
ー どんなファッションが好きですか?
ジャンルは問わず、いつもラフな感じが多くて、ほとんど毎日スニーカーを履いてます。スニーカーはいろんなデザインのものを履くんですけど、なんだかんだ90年代っぽいのが好きですね。ハイテク感があったり、ソールがボリューミーなやつ。
ー 今回エアフォース1を選んだ理由は?
エアフォース1はずっと履きたいと思っていて、定番の良さというか、どんな服にでも合う、一足は必ず持っておきたいスニーカーでした。それとこないだの現場で、僕以外みんなエアフォース1だったんですよ(笑)。年齢もバラバラだったんですけど、世代を超えて愛されるってカッコいいなって思いました。
ー 太田さんにとってスニーカーはどんな存在ですか?
主役ですね。持論なんですけど、頭と足元さえハマッていれば、パンツとトップスはシンプルでもいいんじゃないかなって思うんですよね。なのでヘアスタイルとシューズ選びはかなりこだわってる方だと思います。
ー 今年9月には自身のブランド〈シオン〉を立ち上げられました。以前から服づくりに挑戦したい気持ちはあったんですか?
ありました、自分の欲しいデザインがつくれたらと何度思ったことかってぐらいに。最初に「服をつくってみませんか?」と話をいただいたときは、ヘアメイクのキャリアをスタートしたばかりだったので、まだ先だなって思ってたんですけど。ブランドをやってから思ったのは、ビジュアルをつくるにしても実験的なヘアメイクができるし、自分にとってもいい経験ができているなってことです。
ー 〈シオン〉は、どんなコンセプトでつくられているんですか?
グチャグチャな世界観を表現したくて。なんでかって言うと、僕自身もそうなんですけど、バックボーンに捉われ過ぎているような気がしていて、この服だったらこう合わせるっていう方程式が出来上がっているような。その感覚をちょっとでも持っている自分が気持ち悪くて、もっと自由に着ていいんじゃないか、ってことでカオスな雰囲気にしたんです。例えばパーカーにフリンジが付いているアイテムがあるんですけど、ストリートなアイテムにフリンジを付けることでバグらせるような感じが表現できたんじゃないかなって思ってます。
ー クラシックスやオールドスクールから影響を受けてるものはありますか?
僕は三兄弟の末っ子なんですけど、小さい頃からお下がりを着ていたので、古いものが好きみたいな価値観が潜在的に刷り込まれているかもしれないですね。昔、親が着ていた90年代の服も気にせず着ていたので、新しいのも古いのも違和感なく取り入れていた感覚はあります。
それとリサイクルショップが好きでなんですよ。おしゃれな古着屋とは違って、編集されず無造作に置かれてたりするじゃないですか。その中で目に止まったものから、ヘアメイクのヒントをもらったりすることがあるんです。実際にアメリカのおもちゃのブロックを使ったこともあって。クラシックとはまた違うかもしれないけど、過去のものから影響を受けることは多いですね。
長きにわたって愛されるバスケットボールシューズのオリジナルモデルに、新鮮なテイストを加えた一足。クリーンな印象のホワイトとシルバーのコンビネーションが、クラシックながらフューチャリスティックなイメージも残す。