Case01_Hidetaka Akudo(STANDARD CARIFORNIA) スノーボードで得た最高の体験は「スナップT」と共に。

阿久戸秀高
(STANDARD CALIFORNIA プロデューサー)
1967年生まれ、八王子出身。大学卒業後にオーストラリアへ遊学。帰国後はスノーボード用品を取り扱う会社に勤務し、退職後に自身の会社を設立。2003年より恵比寿にてショップ「STANDARD CALIFORNIA」をスタート。サーフィンやスノーボードなど、さまざまなアクティビティに精通している。
ー 阿久戸さんがはじめて〈パタゴニア〉に触れたのはいつのことですか?
阿久戸:小学生の頃にボーイスカウトをやっていて、そこで使う道具を買う指定のアウトドアショップが地元にあったんです。そのお店のオーナーがとにかくおもしろい人で、高校生になっても遊びに行ったりしていて。〈パタゴニア〉の取り扱いこそなかったんですけど、アウトドアはずっと身近にありました。はじめて〈パタゴニア〉のアイテムを買ったのは大学生になってから。ファッションにも興味が出てきてこともあって、お金貯めてやっと買うことができました。
ー ずっと憧れのブランドだったんですね。
阿久戸:そうですね。当時は取り扱いをしているお店も少なかったですし。
ー どんなところに〈パタゴニア〉の魅力を感じますか?

阿久戸:アウトドア用品を街で着る人が増えて、いろいろなアウトドアブランドがそれに合わせてタウンユースのアイテムを続々とリリースしていますよね。一方で〈パタゴニア〉はそこに目を向けていないというか、あくまでも機能であったり、環境であったり、自分たちのやるべきことを本意にして製品をつくりつづけているところに潔さを感じます。
ー 本質を貫いていると。
阿久戸:そうですね。ベンチュラ(ロサンゼルスからクルマで約1時間半ほど海沿いを北に行った場所)の本社には保育園があったりして、そこで働く人たちや関わる人たちのことも考えていますよね。そういうところもさすがだなと思います。むしろそれが本来あるべき姿なのかもしれませんが、実際にやるとなると簡単なことではないはずです。シンプルにすごいな、と。
ー そうした〈パタゴニア〉の理念はご自身に影響を与えていますか?
阿久戸:同じフリースジャケットであっても、やはりリサイクルのほうを選びたいなという気持ちはあります。ぼく自身、サーフィンやスノーボードを通して自然と対峙する機会が多いので、フィールドが汚れているとやっぱり気になるんです。ただ、週末に仲間がビーチクリーンをしていても、仕事で参加できなかったりするので、その代わり、自分の家の前に川が流れているので、時間があるときにそこでゴミ拾いをやったりとか、できることを少しづつやっていますね。
ー 今日お持ちいただいた「スナップT」はいつ頃購入されたんですか?

阿久戸:90年代半ば、まだ20代の頃だったと思います。当時、スノーボード用品を扱う会社で働いていて、インポートを中心に扱っていたんですけど、母体がカー用品の会社ということもあってオートキャンプ用品とかも一緒に扱っていて。ぼくはスノーボードも好きだし、キャンプも好きでちょうどよかったんですけど、年に数回、仕事でサンフランシスコやLAへ行くことがあって、その自由時間に買ったのがこの「スナップT」です。
サンフランシスコのベイエリアにある〈パタゴニア〉のお店がすごく好きで。振り返ってみると、当時はいい意味ですごく荒削りなお店だったなという印象です(笑)。ゴールデンゲートブリッジの下にサーフポイントがあるんですけど、そこで波がチューブを巻いている写真がすごく大きく引き伸ばして飾ってあって。それを見た瞬間に「あ、この店かっこいいな」って単純に感じてしまうほど説得力があったんです。
ー いまでこそ「スナップT」は定番的なアイテムとして認知されていますが、当時はどんな立ち居位置のアイテムだったんですか?

阿久戸:ぼくはあまり定番かどうかにこだわりはありませんでした。大学生の頃からアウトドアショップでバイトをしていて、フリースはあくまでインナーとして着るものという考え方だったんです。だからこれを買ったのもスノーボードジャケットのインナーとして着るために買いました。スノーボードメーカーが出すフリースって、サイズや素材感があまりなじまなかったんですよ。でも、「スナップT」はプルオーバーなのでインナーで着ても邪魔にならないし、それが自分にとっては良かったんです。だからスノーボードへ行くときはしょっちゅう着ていて、そのときに感じた最高の想いは一緒に体験していますね。
ー いまでもこれらのアイテムは着用されますか?
阿久戸:もちろんです。ちょっと外出するときに着たりだとか、同じ素材のパンツも持っているので、キャンプや海へ行くときに上下で着たりもしています。変わらない強さというか、安心感がありますよね。いつかまた買い足しても着ることができますし。

ー 〈パタゴニア〉に今後期待することはありますか?
阿久戸:いつも期待していることをしてくれているので、とくにこれといってはないんですけど(笑)。さっきの話と矛盾するかもしれないですが、強いて挙げるならばもっと街で着られるアイテムが増えたらうれしいです。もちろん機能や環境という裏付けは守りながら。きちんと〈パタゴニア〉らしさを守りながら、ファッションにも寄り添ったアイテムが増えたら言うことないですね。