PROFILE
1989年生まれ、東京都出身。自転車屋でのアルバイトをきっかけに、古いマウンテンバイクやロードバイクを収集し始める。2022年、幡ヶ谷に「WOOD VILLAGE CYCLES」をオープン。ヴィンテージのマウンテンバイクをメインに取り扱う。今年2月、祐天寺に「PATH BACKYARD」をオープン。そちらはピストバイクを中心としたラインナップで、展示などを開催するイベントスペースも併設している。
自転車をきっかけに広がる繋がり。
―「WOOD VILLAGE CYCLES」は、ヴィンテージのマウンテンバイクを中心に取り扱っていますが、なぜそれをメインにしたんですか?
木村: お店を始めたばかりのころは、いろんな古い自転車を取り扱っていたんですよ。でも、マウンテンバイクを組むことが多くなっていって。需要に応えていたら、マウンテンバイクがメインになったんですよね。でも、最近は新品のフレームの取り扱いも始めました。
―マウンテンバイクの需要が増えた理由を、どのように考えていますか?
木村: 街乗りでは、細いタイヤより太いタイヤのほうが安心という風潮になって、需要が増えていったんだと思います。あと、カラーリング。特にヴィンテージは、特徴的な配色が多いから人気なんです。
―もともと好きだったものが、トレンドと合致したと。おすすめは、どんな自転車ですか?
木村: オーバースペックではなく、自分の身の丈に合ったスペックをおすすめしています。予算はそれなりにかかりますけど、大枚をはたかずとも自由に楽しめる一台を提案していまして。なんでもいいわけじゃなくて、ちゃんとこだわりたい。かっこいい自転車に乗りたい。けど、ハイスペックで高級なパーツは必要ない。そんなひとにぴったりです。ぼく自身、それが1番落ち着きますし。
―そもそも、自転車のどんなところに魅了されたんですか?
木村: クルマやバイクと比べると圧倒的にパーツ数が少ないし、カスタマイズの幅が広くて自由度も高いところがおもしろく感じました。自分でいちから組み立てられて、パーツの単価も安くて。プラモデルと言うか、ラジコンのような感覚に近いです。そして実用的だからこそ、のめり込みました。
―実用的であるがゆえ、幅広いひとが自転車を趣味にしていますよね。
木村: そうですね。いろんな職業のひと、自転車以外に別の趣味を持っているひとなど、たくさんのお客さんや自転車好きと知り合って、お店が変化していっている感覚があります。お客さんと一緒になにかをつくったり、どこかへ出かけたりする機会も増えましたからね。もし自転車屋をやっていなかったら、人生のなかで出会うひとの数は圧倒的に少なかったと思う。自転車を介したひととの繋がりで、知識や趣味が広がりました。