02 写真家が捉える人とものと風景への眼差し。
PROFILE

福島県生まれ。桑沢デザイン研究所在学中にプライベートで撮りためた写真で、2014年キヤノン写真新世紀優秀賞(佐内正史選)に選出。以後、さまざまなメディアで活動中。写真集刊行や作品展示など精力的に活動する。
instagram@yoko.kusano
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福島県生まれ。桑沢デザイン研究所在学中にプライベートで撮りためた写真で、2014年キヤノン写真新世紀優秀賞(佐内正史選)に選出。以後、さまざまなメディアで活動中。写真集刊行や作品展示など精力的に活動する。
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被写体がさりげなく収まる場所で撮りたい。


ー 今日は、撮影と写真セレクトに同行させてもらいました。両者のモードは違いますか?
草野: 違いますね。撮影は私の場合、決め込んで撮るというより偶然その場所にいて撮ることが多い。光をセットして撮るのではなくて、自然の光を利用します。街で撮っているときは、条件反射で撮っているというか。なので、あ、撮ろうと思ったときに撮れるコンパクトカメラをよく使います。
ー セレクトのほうは、どうですか?
草野: セレクトはパソコンや紙でするんですが、セレクトは写真を反復して何度も見る中で、その写真を撮っていたときに見ていた景色と近いものを選びます。答え合わせというわけでもないですけど、撮っていたときにどこに向かおうとしていたか、を思い出す作業でもありますね。あと、セレクトとは違うんですが、写真集の構成を考えて何度も並び替えていると、どこかでその並びの正しさがバラバラになる。けど、やっぱりここだよな、ともう一度着地する瞬間があるんです。
ー 色々と撮ったあとで、セレクトするときに意味に気づいたりすることもありますか?
草野: ありますね。フィルムで撮っているのも、偶然が含まれやすい気がしているから。例えば流れで3枚写真を撮ったときに、ピントが合っている写真2枚の間にピントがぶれている写真が撮れていた場合、その1枚がその時間を表現している気がします。そんなところも面白いですね。


ー 撮影する場所へのこだわりはありますか?
草野: 何だろうなあ……、その場にさりげなく被写体が収まっているのが好きなんです。被写体次第なので路地も大通りも好き。その被写体がいても不自然でない場所ということを考えます。もちろんフェイクとはわかってはいるんですけど。
ー 偶然の力も合わせて撮るということですが、撮れなかったこととかも?
草野: 撮れないというか、何も撮りたくないことはあります。コロナの最初の頃は、仕事もないし、予定もなくて。そのときしか制作できないことも本当はあったんだろうけど、そんな気も起きず。だから、何も撮らなくてもいいかなと思ってました。

ー カメラ機材へのこだわりはありますか?
草野: そうですね。コンパクトカメラはたくさん持ってます。あと、10月の展示では、110(ワンテン)フィルムを使って撮影しました。スパイカメラと呼ばれていて、音もせず、粒子が粗くて、解像度が低い写真が撮れるんです。いまは、眼に映る写真や映像が高解像度ですよね。どうしたってインスタもNetflixも見てしまう。私は粗いものを見て、そこから何かを想像するのが好きだなと思って、110フィルムを選びました。

ー よく着る服があれば教えてください。
草野: 古着が多いですね。循環している気がするし、これを昔誰かが着ていたんだと想像したりもします。
ー 今回着ている〈無印良品〉の軽量ダウンはいかがでしょう?
草野: 今年の1月と3月に、長いこと秋田に滞在していたんですが、寒かった。そのときは友達にダウンを借りてました。今回着てみたら軽くて暖かいし、私はフィルムをポケットに入れるので、ポケットが深くて落ちないのもいいなと思いました。これで2,990円? 安いですね。あとは、東京だとお店とか室内は暑いじゃないですか。こんなインナーダウンとか着て、室内で脱ぐというのがいい。暖かい肌着とか着ていくと、室内ですぐに汗をかくので嫌ですね。

ー ニットはどうでしょう?
草野: ざっくりした感じで可愛かったです。今日は半袖の上に着たんですが、チクチクしなくて気持ちよかった。あとは、今日みたいにスラックスで合わせると綺麗めになるし、ジーンズだとカジュアルになるので、いつでも着れそう。
ー 確かに合わせるアイテムは選ばないですね。
草野: ダウンのような機能ものや、ニットのような暖かいものであれば、私が持っている古着とかにも合いそうです。〈無印良品〉の雑貨もそうですけど、どこか特定のデザインやスタイルにならないのは、〈無印良品〉らしさなのかなと思いますね。

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