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F/CE.が考えるサスティナブルとの付き合い方と、社会に対する会社の在り方。
Think About The Future By F/CE.

F/CE.が考えるサスティナブルとの付き合い方と、社会に対する会社の在り方。

〈エフシーイー(F/CE.)〉が今シーズン打ち出すのは、日本の繊維メーカー商社「帝人フロンティア(TEIJINFRONTIER)」が開発した、使用済みペットボトルをリサイクルして生まれたポリエステル繊維「エコペット」を採用したニットウェアライン。これらはファッション性の高いデザインに加え、軽量性や耐久性や保温性などの高機能を備えつつ、オマケに生産背景はサスティナブル。デザイナーである山根さん・春山さん夫妻へのインタビューを通して、サスティナブルとは? そして〈エフシーイー〉のモノづくりにおけるスタンスや、これからの会社の在り方について伺ってきました。

PROFILE

山根敏史
OPEN YOUR EYES INC.代表、F/CE.ディレクター

1997年からデザイナーとしてのキャリアを積み、2010年に自身の会社「オープンユアアイズ(OPEN YOUR EYES INC.)」を設立。アパレルブランド〈エフシーイー(F/CE.)〉と、同ブランドが並ぶショップ「ルート(ROOT)」、デンマークのアウトドアブランド〈ノルディスク(NORDISK)〉の世界初のコンセプトショップを運営。その他にもいくつかのグローバルブランドのディレクションやデザインを務める。インストバンド「toe」のベーシストでもある。


春山麻美
F/CE.デザイナー

セレクトショップ「チャオパニック(CIAOPANIC)」の企画バイヤー、ウィメンズPRを歴任したのちに退職。2013年より〈フィクチュール(FICOUTURE)〉※現〈エフ シーイー(F/CE.)〉のウィメンズデザイナーを務める。また2児を育てる良き母でもある。

どうせならサスティナブルな方を。それ位の感覚でイイと思うんです。

ー 昨今、サスティナブルが一過性のファッショントレンドのように扱われ、その言葉のみが先行して肝心のファッション性や服の魅力が後回しになっているものも少なくありません。その点、〈エフシーイー(F/CE.)〉はかねてから、当たり前のように高い意識を持ってモノづくりをしていました。お二人はサスティナブルって、どのように捉えていますか?

春山: まずサスティナブルという言葉自体、あんまり使いたくないっていうのはあります。

山根: もはや言葉自体が一人歩きして、トレンド化され過ぎていて売り上げを取るためのキーワードになってしまっている、このファッション界全体の状況もあまりイイことではないと思っています。

春山: そもそも、どんなモノだって大量生産して販売していたら、サスティナブルじゃないよねって(苦笑)。

ー リサイクル素材を使った製品も、以前より見かけるようになったとはいえ、やはり日本ではまだ浸透していないように感じます。

山根: リサイクル素材は天然・合繊問わず、糸自体を紡績する技術やそれを加工する高い技術が不可欠で、工程数が増えてしまうためコスト面でも割高になってしまうし、それでいて大量にロットを積まなければいけないなど、いろんな問題をクリアしなきゃならないので、思いついても形にすることは容易じゃないっていうのはあります。そしてサスティナブルの定義もものすごく幅が広いと認識しています。

ー そんななかで誕生したのが、日本の繊維メーカー商社「帝人フロンティア(TEIJINFRONTIER)」によって開発された「エコペット」を使用したウエア群というわけですね。そもそも「エコペット」とは?

山根: 使用済みのペットボトルを細かくペレット状にし、溶かして綿状にしてから紡ぎ出したリサイクル糸のことです。こういった技術自体はいまや結構スタンダードなものになっていますが、ただ「帝人フロンティア」が他と違うのは、その糸自体の加工技術が世界トップレベルであるという点。今回使用している糸は嵩高性・伸縮性を持たせる加工をしているため非常に軽く、速乾・吸湿性も兼ね備え温もりを感じる表現をしていながら、他の素材を混紡せずともストレッチ性を備えているという、まさに痒いところに手が届く素材です。

ー いいとこづくめですね。でもなぜ、アイテムとしてニットを選んだんですか?

春山: 元々、好きだっていうのもありますが、機能性を持たせようと考えるとどうしても主役はアウターになりがち。なので、それ以外のアイテムやインナーにも「機能性を持たせてみてはどうだろうか?」と企画したシリーズの第一弾がニットでした。奇しくもステイホーム期間で部屋着の需要が高まったところに合致したようで、メディアの方々からの評判も上々。まだあまり認知されていませんが、「帝人フロンティア」的にも自信はあるようでしたね。展示会でも社長さんがすごく推していました(笑)。そもそもポリエステル素材のニットで、軽くて洗えるモノを作りたいと考えていたところだったので、すぐに連絡しました。

山根: 最初に見た際にすごく感動したのを覚えています。アイテムを作る際にぼくらがまず考えるのが、“街使いが出来るか”と“耐久性を有するか”。この〈エフシーイー〉のDNAに刻み込まれている2つの要素を表現できるというのが大きかったですね。しかも国内メーカーだから、近い距離感とスピード感でモノづくりが進められる。服づくりには縫製と成形という2種類の方法があるんですが、せっかくだから縫製ではできないことをしようということで、メチャメチャ軽くて暖かく、洗濯機で丸洗いも可能なニットラインをスタートさせました。

使用済みのペットボトルが綿状になるまでは3ステップ。ここからさらに糸として紡がれていく。

ー 「帝人フロンティア」サイドも意外な提案で驚いたでしょうね。

山根: 普通は、コレでニットをつくろうなんて考えないですよね(笑)。ニットってやっぱり冬に着ることが多いので、絶対的に暖かさは必要じゃないですか。ぼく自身、ウールやカシミアのニットは好きですけど、自分たちのブランドがつくるモノだったら実用的でテクニカルな要素や、それに基づく解釈もあった方がいいなと。ニットを編んでいる糸がどうやってつくられているかまで、しっかりお客さんに説明できた方が自分たちらしさも出せますしね。しかも暖かくてイージーケアならなおさら。そして触っていただければ分かるのが、このドライタッチ。撥水性もありますし、ペットボトルという素材由来の質感・機能性に魅かれました。

春山: 速乾性もすごいですよ。洗濯機で洗って脱水した時点で、ほぼ乾いていますからね。ただ「エコペットなんですよ」とお客さんに言っても、その素晴らしさを伝えることはできないじゃないですか。でも、パッと見て「このニット可愛い!」と感じていただいた上で、生産背景や優れた機能性について話せば、その魅力もちゃんと伝わると思うんです。

ー では、各アイテムについても教えてください。

TECH WHOLEGARMENT KNIT ¥24,000+TAX

ホールガーメント製法によって誕生した無縫製のクルーネックニット。肘や脇をリブ編みにすることで伸縮性を持たせつつ、立体的なパターニングを実現。背面の一部分はメッシュ編みなので通気性に優れ、夏以外の3シーズンで使える1枚。この他にブラックも展開。

山根: まずはメンズ展開のクルーネックです。これは〈島精機〉が独自開発した、世界初のホールガーメント横編機によって作られた無縫製のニットウェア。肌に触れてもストレスが無いことから、よくアウトドアメーカーがベースウェアで使用されていることでも知られています。こちらは2021年SSシーズンのアイテムなので、背面の一部をメッシュ編みにしつつ、肘や脇部分をリブ編みにして立体的に仕上げました。

LIGHT KNIT LAYERING USED LIKE TOPS 各¥21,000+TAX

半袖Tシャツと長袖のサーマルをレイヤードしたかの様なデザインのニットトップス。それぞれの編み地に変化を付けることで異素材感を演出しつつも、着心地はストレスフリー。こちらも加工によって古着の様な風合いに。使い勝手のよい4カラー展開で好評販売中。

ー ほかの2つはすでに発売中のアイテムですね。まずこちらはユニセックス展開。一見すると重ね着しているように見えますが…。

春山: 男性は機能面を気にしますが、女性は何より見た目から。であればプレーンなモノよりも、デザインを効かせてあげた方がいいかなと考えました。このレイヤード風のトップスは、重ね着風のカットソーをつくりたいというところからスタートしています。長袖のサーマル部分と半袖のTシャツ部分をまったく同じ色で探すのって、本来はすごく難しいのですが、「エコペット」なら編み地を変えるだけでレイヤードが表現できるのでは? と思って試してみたら理想的な仕上がりに。で、最後に洗いをかけて古着っぽく褪色した風合いを出しています。

LIGHT KNIT USED LIKE CARDIGAN 各¥26,000+TAX

表情豊かな、アラン編みのポリエステルニットカーディガン。フロントの合わせをボタンではなく、取り外しのしやすいマグネットタイプのバックルで留めるのが特徴。さらに製品加工によって古着の様な風合いに仕上げている。また見た目に反して、驚くほどに軽量。

ー もう一方はウィメンズのアイテム。アラン編みのカーディガンです。

春山: ウチっぽく、ドイツ製の着脱容易なマグネットタイプのバックルを装着してみました。例えばオンラインストアでは写真でしか判断できないので、メッチャ重たそうと思われるかもしれませんが、実際に着ていただいたらメチャクチャ軽くて驚かれるはず。こうやって3種類のアイテムを並べると、すべて同じ糸を使っているとは思えないくらい、編み方で印象が変わりますよね。展示会でもスタイリストさんやバイヤーさんの反応もすごく良かったですし。今日もこのカーディガンを着ているんですが、サンプル段階ではこんなにすぐ乾くとは思わなかったので、すでに手元に届いている皆さんも、これには驚かれているんじゃないですかね。

INFORMATION

ROOT

住所:東京都渋谷区猿楽町4-5 J&Hビル1F
電話:03-6452-5867

■素材問い合わせ先

帝人フロンティア株式会社

「エコペット」ブランドサイト

ecopet.info

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