人工タンパク質素材を配合。これまでのセーターと何が違う?
ー この「The Sweater」の素材は、ウール70%に、人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を30%配合しているとのこと。ただ、率直に言うと、人工タンパク質素材が使われていることは、言われなければわかりません。


「The Sweater」に使用されている人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」は、山形県鶴岡市に本拠を置くバイオベンチャー企業、スパイバー(Spiber)が開発。植物由来の糖類を主原料とし、微生物を活用した発酵プロセスによりつくられる。主原料に石油由来の原料を使用しないため、マイクロプラスチック問題をはじめとするアパレル産業が抱える課題の解決につながる次世代素材として注目されている。
新井: 人工タンパク質素材という革新的な素材を使用しながら、これまでのウールのセーターと比べて品質面で違いがないことは、この「The Sweater」の重要なポイントでもあります。セーターというもの自体、誕生から約1000年、ほとんどそのかたちを変えていません。今回の「The Sweater」の開発において、人工タンパク質を配合しながらセーターとしての品質を担保するため、適正な配合を求めて試行錯誤を繰り返しました。
ー 「The Sweater」の値段は税込8万8000円。かなり高価ですが、その理由は?

新井: たしかに、セーター1枚の値段としては高価ですが、人工タンパク質素材を使用したセーターという、メッセージ性が強く、まったく新しいものを世の中に発表することこそが大事だと考えています。