CLOSE
FEATURE
ラベルを貼りたがる世の中へピンを打て!謎多きSKWAT、その裏側。

ラベルを貼りたがる世の中へピンを打て!
謎多きSKWAT、その裏側。

最初は原宿のクリーニング店だった一軒家で1,000円均一のアートブックを販売する場所として。2箇所目は「シボネ青山」の移転前の空きスペースに期間限定のカフェとして。そして現在は、青山の商業ビルの2階に「トゥエルブブックス」、1階に〈ルメール〉、地下に “PARK” と名付けたフリースペースを展開中。場所や規模、業態などに縛られないこの「SKWAT」とは一体何なのか。世の中に蔓延する “わかりやすさ” へのカウンターとも受け取れる、このプロジェクトに関わる3人に集まってもらいました。

PROFILE

中村圭佑
ダイケイ・ミルズ代表

1983年生まれ。静岡・浜松出身。2009年、24歳で仲間たちと裏原宿にフリースペース「バカント」を設立。11年にデザイン・設計事務所「ダイケイ・ミルズ」を立ち上げ、「シボネ青山」「6(ROKU)」「エイベックス」「アルテック 東京ストア」など、ショップやオフィスをはじめ、さまざまな空間デザインを手掛ける。
daikeimills.com

PROFILE

濱中敦史
トゥエルブブックス代表

1984年生まれ、三重出身。パリに留学後、「バカント」に途中から加入。2010年に「トゥエルブブックス」を設立し、海外出版社の国内代理店としてアートブックを中心に書籍の流通やプロモーションなどに携わる他、作家の展覧会企画や来日イベントなど数多くのプロジェクトも手掛ける。
twelve-books.com

PROFILE

牧口英樹
アーティスト

1985年生まれ、北海道出身。2009年、多摩美術大学卒業。11年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。写真を中心に、ドローイング、文章などさまざまな形で制作を行う。
hidekimakiguchi.com

おかしなやつだな、からスタートした関係。

ー まずはみなさんの関係性についてお伺いします。中村さんと濱中さんは、原宿の「バカント(VACANT)」時代を経て、これで2度目のタッグになりますよね。では、牧口さんとはどのような関係になるんですか?

左から右へ順に、描いたという牧口さんのドローイング作品。一枚目は写真を元に、2枚目は1枚目の自作を参考に、70%ぐらいの感覚でコピーしていく。コルビュジエを描いているが、有名無名は関係ない。

中村: 「SKWAT」との直接的な関わりで言えば、階段途中に飾ってあるドローイングが彼の作品です。けど、もともと彼が芸大の院生だった10年前から知り合いで、濱中とぼくを含めた数人が当時運営していたスペース「バカント」の立ち上げ時のオープニングイベントに、彼はお金を払わずカメラマンと称して…。

牧口: いや、払ったよ(笑)。「バカント」が立ち上がった時の一番最初のイベントだよね。

中村: 〈アンダーカバー〉のジョニオ(高橋盾)さんによるドールメイキングのパフォーマンスに、自作音具「オプトロン」を使ったサウンド・パフォーマンスをされる伊東篤宏さんと、ホーメイなどの自らの声や身体をプラットフォームに表現活動されている山川冬樹さんの美しいパフォーマンスが加わった、ジャンルをクロスオーバーした特別なイベントでした。

牧口: 俺は予約してお金払って、その日のメインイベントだった高橋盾さんのドールメイキングを待っていたんです。2階が会場だったんですけど、みんなまずは1階で待たされていて。開演したら目の前で見たいから、みんな率先して2階に上がっていたんですが、はじまったのは盾さんの前座のバンド。その前座の終了後に「準備があるから、お客さんは1階にはけて下さい」とアナウンスがあって、みんな1階に降りたんですが、その時に俺は2階に残ったままで。そうしたら本当に関係者だけになってしまって…。「やばい」と思ったんだけど、その時にたまたま一眼レフを持ってたんで、とっさに関係者を装って記録撮影しようと。

その時に撮った素材を使って学校で作品をつくろうと思ったんですが、よくよく考えると盾さんが写ってるし、作品にならないなと思って。それでなぜかよく分からないけど、「バカント」に連絡したんですね。これを「バカント」に置いてほしいって。そのメールに応えてくれたのが、ケイ(中村)だったんですよね。

中村: 違う違う。メールじゃなくて、いきなり来たんですよ。「この写真は、ぼくが所有するべきものじゃありません、あなたが持っていて下さい」って。で、変なやつが来たなって、断ったんですよ。それが出会い。

ー その時は面白い奴が来たなって思われたんですか?

中村: いや、その時はほんとにおかしなやつだなって思いましたよ(笑)。だって「ぼくが持っていてもしょうがないので置いて下さい」「ぼくも理由が分かりません。だけどそうあるべきだと思います」みたいなことを言うんですよ。それからちょっと間が空いて、彼が自分の撮影した作品を持ってきたんですけど、その作品がすごい良くて。

ー 牧口さんは、「SKWAT」に…。

中村: 彼は入ってはいないんです。入るとかではなくて、「SKWAT」っていうのは概念みたいなもので、コアメンバーは、(エドストローム)淑子さん(エドストロームオフィス代表)と濱ちゃんとぼくっていう3者です。その周りには同じ思想を持った人がいて、時折一緒に何かをしたりすることもあります。

牧口: 話だけは、去年から聞いてました。

中村: 彼には何かあるときに、「こういうこと考えてるけど、どう思う?」って相談する数少ない人なんです。彼は正直に言いすぎるから、ほんと恐ろしいんですけど…。「お前はでかい壁にぶち当たって進めなくなるから気をつけろ」とか。彼はいちアーティストとして、ギャラリーに所属している写真家なんですが、特殊な関係性ですね。ぼくらみんな彼のことが大好きで、お互いリスペクトがあるんです。彼のファンなんですよ。彼のクリエイションを信じてるし、彼からの意見を求めているっていうのがあって。「SKWAT」に関わっているというより、人生に関わっているって感じ。

INFORMATION

SKWAT / twelvebooks, LEMAIRE, PARK

期間:〜2021年3月31日(予定)
営業:12:00〜19:00(月曜定休)
住所:東京都港区南青山5-3-2
www.skwat.site

このエントリーをはてなブックマークに追加