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ラベルを貼りたがる世の中へピンを打て!謎多きSKWAT、その裏側。

ラベルを貼りたがる世の中へピンを打て!
謎多きSKWAT、その裏側。

最初は原宿のクリーニング店だった一軒家で1,000円均一のアートブックを販売する場所として。2箇所目は「シボネ青山」の移転前の空きスペースに期間限定のカフェとして。そして現在は、青山の商業ビルの2階に「トゥエルブブックス」、1階に〈ルメール〉、地下に “PARK” と名付けたフリースペースを展開中。場所や規模、業態などに縛られないこの「SKWAT」とは一体何なのか。世の中に蔓延する “わかりやすさ” へのカウンターとも受け取れる、このプロジェクトに関わる3人に集まってもらいました。

何かをつくるという自分の行動によって、自分が見えてくる。

ー 牧口さんはその辺りを言語化できるのは、写真家だから何でしょうかね。写真って現像された写真を見た時に、なぜ自分がシャッターを押したのか分かるときもありますよね。

牧口: 写真だけじゃなくて、ものをつくること自体が自分の行動によって自分が見えてくるっていうサイクルがあるじゃないですか。目の前に対して目的をガチガチに持っちゃうと、自覚している自分しか現れないんですけど、目の前に対して無目的でいることで、もっと遠くにある目的が返ってくる瞬間っていうのがあるんですね。2人がやってることはそれだと思うんですよ。分からなさを自分のなかに用意しておくというか。そうする方が本当の目的に辿り着ける可能性がある。

何かの理由で何かをするってことは2人はもうやりたくないんじゃないですか。「SKWAT」をコンセプトでガチガチに固めて自分たちで自覚するよりも、分からなさとして放置しておいて、そこに可能性がどんどん入ってくることを楽しんでる。だから、「SKWAT」が何かっていうことを決めないほうが良い。

濱中: いままでで実際に形になったものからでしか分からない。「SKWAT」はアートブックショップをつくる場所ではないんですよ。本と関係無いプロジェクトでも常にコミュケーションを取りますし、自分の考えとか思いとかもみんなで共有します。自分も一緒につくってる気持ちではいるので。それって簡単であり難しかったりするのかなって時折思うけど。

中村: ぼくたちの共通項って、○○になりたいという理由で何かをやっているんではないところです。例えば、アーティストになることが目的なのか、それとも、とにかく表現したいことをひとつずつ具現化すること自体が目的なのか、というそれらの思考の差は大きい。アートブックショップをつくりたいのではなく、アートブックがあるからそれをコンテンツとして使っている。

牧口: 自分の行動によって分からなさが返ってきた時に楽しいっていうサイクルがあるじゃないですか。多分、それですよね。分かっている範囲でやることは、すでに書いてある線を二重でなぞるようなことなので、絶対につまらないですよね。

中村: だけど、そこまでに時間は掛かったけどね。自分もそうでしたけど、みんな何かになりたいフェーズって必ずあるじゃないですか。それがやっと一周して、自分の衝動を信じられるようになって、アウトプットしてみたら、いまのこの状況になっていることだと思います。

牧口: 手放すことができてきたって感じじゃないですか。手放すと、考えても分からない自分が返ってくるみたいなものじゃないですか。だから、「SKWAT」を見て反応してくれた人によって、何かが返ってきて、それによって2人は自分というものをより自覚するんですよね。それが「SKWAT」なんじゃないかって。

ー この青山でのサイクルが終わった後の次の場所とか、「オリンピック」の後の数年後を見据えて活動されていることってあるんですか?

中村: いくつもあります。ぼくたちがこのタイミングでこういうことをできてるのは、衝動だけじゃできない。衝動と、計算できる部分の両方を持ち合わせていて、そこを上手く切り変えられるからこそだと思います。

濱中: 何年後にこうなってとか、ぼくは具体的にあるわけではないんですけど、この「SKWAT」の活動がまだ数ヵ月でも可能性が広がっているのを実感できている。数値化できるわけでもないですし、スケジュールが見えるわけでもないですけど、漠然と自分のなかで自信だけはありますね。

計算しなくても結構なスピードで走っている感はあるので、ポイントポイントである程度仲間に軌道修正してもらいながら、自分たちが信じている方向にトップスピードで進んでも変な大事故にならないっていう自信はあるんです。それが5年以上続くような活動になるかもしれないし、一生の活動になるかもしれないポテンシャルもありますし。

名前が「SKWAT」じゃなくなっても、精神性が続いていくような活動もあり得ます。今回の活動で、「トゥエルブブックス」だけじゃなくて、自分個人の人生として考えることもアップデートされている実感がある。アートブックの仕事をどこかのタイミングで止めることもあるかもしれないし、たとえ止めたとしてもいま見据えていることは、ずっと続いていくんじゃないかなと。

牧口: 二人は一貫して変わらないんで、経済活動という視点以外で見てもらえると、「SKWAT」の輪郭が見えてくるのかなと。二人が関わっている限りは何かしら一貫したものになるのは間違いないはずなので。

INFORMATION

SKWAT / twelvebooks, LEMAIRE, PARK

期間:〜2021年3月31日(予定)
営業:12:00〜19:00(月曜定休)
住所:東京都港区南青山5-3-2
www.skwat.site

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