PROFILE

1977年生まれ、東京都出身。「ビームス」で販売員を務めたのち、編集業やヴィンテージウェアのバイイングを経験し、スタイリスト白山春久氏に師事。32歳の独立以降の活躍ぶりは、ファッション好きなら周知の通り。現在は自身のブランド、〈R.M ギャング(R.M GANG)〉にてデザインも行っている。
YouTube:高橋ラムダ
Instagram:@tkhslmd
第1回目のお題はニューバランス“990v5”。
雑誌では伝えきれない名作スニーカーの側面にフォーカス!
ー 遂にラムダさんの新連載がスタートしたワケですが、改めてはじまった経緯を聞いても良いですか?
高橋ラムダ(以下ラムダ):そうだね。どうやってこの企画がはじまったかと言うと、今日もそこにいてくれてるけど、ぼくの〈R.Mギャング〉を預けている「アウンPR」をやってる名村がビームス時代の後輩で、彼が『フイナム』をつないでくれたのがきっかけ。もともと編集長のコム(小牟田)さんと、編集のボブ(石井)は昔から仲良くしてくれてた方々なんだけど、そこで改めて「じゃあこういう企画をやってみよう」ってことになって。
ー ラムダさんが個人で動画チャンネルをはじめた理由は前回のインタビューで伺いましたけど、そちらとは趣もまた違いますね。
ラムダ:はい。スタジオの装いも新たに。〈ホーボー〉のデザイナーのヒデ(朝倉秀樹さん)に相談したら協力してくれて、このセットができました。ありがたいよね。

ー ですね。他にも普段の「デリバリースタイリング」と変わる部分があったら教えてください。
ラムダ:いまがまさにそうだけど、いつもはぼくがひとりで話してるところを、ここでは(ライターの)今野くんに入ってもらってトークセッションみたいな形で進めていくのも大きな違いかな。
ー 確かに見え方も変わりそうですね。早速ですが、記念すべき初回の内容についてご説明をお願いします。
ラムダ:一発目のお題は〈ニューバランス〉の「990v5」。個人的にも最近また〈ニューバランス〉をよく履いていて、実際にランニングしたりしてるので、ちょうど良いなって。

New balance 990 V5 ¥28,000+TAX(ニューバランス ジャパンお客様相談室)
「990」のオリジナルモデルの発売は1982年。4年間という長い時間を費やして、革新的なランニングシューズとして登場した。その後も復刻の度に改良が重ねられていて、この“v5”がその最新形。足を包み込むスリップラスティング製法による抜群のフィット感と安定感、クッショニングの良さから“1000点満点中990点”を標榜する名作であり、〈ニューバランス〉切っての人気モデルのひとつ。
ー 先ほど仰っていましたけど、ラムダさんの〈ニューバランス〉原体験は「576」だったんですね。
ラムダ:そうそう。94、95年くらいかな。紫色の表革のをフリーマーケットで買ったんだよね。当時は〈パタゴニア〉の「ダスパーカ」に合わせるのが王道のスタイリングだったりして。その格好が、当時の自分にとっては最強だったんだよなぁ(笑)。
ー ラムダ少年の青春を垣間見た気がします(笑)。
ラムダ:18歳くらいだったからね(笑)。その後は〈ニューバランス〉に〈リーバイスレッド〉を合わせたりするようになって。「ビームス ジャパン」のオープニングスタッフとして働きはじめた時にちょうどそんな格好をしてた記憶があります。〈コンバース〉の「オールスター」とか〈ヴァンズ〉の「エラ」と並んで、〈ニューバランス〉の「1300」とか「576」もみんな1足は持ってて当たり前の定番っていうムードがあの頃からあった気がする。「ビームス」の先輩たちが本当に自由に〈ニューバランス〉を履いてるのを見て、「そう来るか……!」 といつも思ってたよ。

ー そこから時間が経って、いまこの「990v5」を見た感想を教えてください。
ラムダ:見た目もいいけど、まずはなんと言ってもメイドインUSA。みんな大好きですよね?(笑)。何なんだろうね、この魅力って。いつまで経っても憧れるこの感じ。ぼくが古着屋さん上がりだっていうのもあるんだろうけど、響き自体が良いもんね。ボブも古着屋出身だしわかるでしょ?
フイナム編集石井:めちゃくちゃわかります。いまだにその感覚が抜けてないのが面白いですよね。
ラムダ:〈ラルフ ローレン〉とかを古着で探してても、他の国のだと「5000円以上出すのはなぁ……」とかってなりがちなところが、メイドインUSAだと「1万円出しても良いかな」みたいな気持ちにさせてくれる力があるよね(笑)。この「990v5」だって決して安くはないでしょ?
アウンPR名村:3万800円です。税込で。
ラムダ:そうだよね。いまはメゾンのスニーカーも増えてきたから、5万円、6万円するものもザラにあるけど、アスレチックブランドのインラインとしては値が張る方だと思う。でも、ハンドメイドされていてすごく丁寧につくられているのがわかるし、ステッチの表情とかもすごく愛着が湧くよね。

ー 確かに。表情と質感の良さは〈ニューバランス〉好きに特に刺さってるポイントかもしれませんね。それでラムダさんがどんなスタイリングを組むのか楽しみです。
ラムダ:せっかく動画だし、普段雑誌なんかでは見られないようなスタイリングを提案できたらなと自分の中では思ってて。
ー 具体的にはどんな部分が普段の雑誌とは違ってきそうなんですか?
ラムダ:雑誌だと、やっぱり〈ニューバランス〉のパフォーマンスに焦点を当てることが多いと思うのね。“この歩行性能を最大限に味わおう!” みたいな。でも、ぼくが今回見せていきたいのは〈ニューバランス〉のファッションとしての魅力。だから、シューレースの結び方とかタンの出し方もそんな考え方で決めました。〈ニューバランス〉がめちゃくちゃ機能的で快適なのはみんな知ってると思うけど、それをどう落とし込んだらファッションとしてクールに見えるのか、それを第1回目の“for HOUYHNHNM”では伝えたくて。

ー その上でふたつのルック組んでくださったワケですが、1体ずつ簡単にご紹介いただけますか?
ラムダ:まず最初のは〈77サーカ〉の杢のスウェットに、〈トムウッド〉のブルーデニムを穿いて、その上にCPOジャケットっていう組み合わせ。