Styling 02 揃えるべきは、色味よりも階調。トーンonトーンのレイヤード。


〈ケンイチ〉ダウンジャケット ¥68,000+TAX(サカス ピーアール / 03-6447-2762)、〈ウェルダー〉コート ¥110,000+TAX(ウェルダー / info@wellder.jp)、→ 〈アールエムギャング〉スウェット/¥32,000+TAX(アイリィ / 03-5925-8326)、〈グラフペーパー フレームワーク〉シャツ ¥18,000+TAX(グラフペーパー フレームワーク / graphpaperframework.com)、〈ウェルダー〉パンツ ¥36,000+TAX(ウェルダー / Info@wellder.jp)
難易度が高めな同系色のコート&カーゴパンツに、インナーのシャツやダウンジャケットでペールピンクを挿した意外性のある色合わせ。かなりワイドなパンツのチョイスや、アウター同士のレイヤードなど、遊び心たっぷり。

ー なるほど。もうひとつはどういうコーディネートでしょう?
ラムダ:ワイドなカーゴパンツにトレンチコートで、カーキonカーキっていう組み合わせ。ちょっと難しい色合わせに見えると思うけど、ピンクや白っていう補色的な色を挿すことでスタイリングとして成立させていきたいなと。
ー 特に軍ものを想起させる色とかアイテムは、使い方を間違えると危険ですよね。
ラムダ:だよね。その中でもカーキ×カーキってすごく難しくて、白を挿したり、カーキ自体を玉虫色がかった素材で取り入れたりとか、色々してみてもどうしてもケンカしちゃう。だから、補色関係にあるピンクを、階調を合わせて取り入れることでミリタリー的じゃない、ピースで可愛らしいデイリースタイルにできるんじゃないかっていうところを見せたかったんだよね。それを、 足元の「990」のグレーでハズすっていう。だからこのスタイリングは色が鍵なんだけど、カラーonカラーっていうよりは階調、つまりトーンonトーンっていうのがテーマかな。

ー 言われてみると階調が近くてあまりコントラストはキツくないですよね。モノクロ写真だったら、ほとんど同色になりそうな。
ラムダ:あんまり見ない色合わせでしょ?でも、例えばインドのストールとか、バティック柄にはこういう配色が結構あるんだよね。
ー また意外なところからのインスパイアですね!
ラムダ:日本のとあるブランドにはカラーピッカーっていう職種があるそうなんだけど、その人たちってひたすら世界中を旅してるんだって。それで、大地の色、草原の色、夕日の色とかのグラデーションを切り取ったりして、デザイナーさんに今シーズンはこういうカラーパレットでどうですか? っていう提案をしてるみたいで。自然界で生まれる色とかってなかなか思いつかないからね。パントーンを見比べて組み合わせてても、何億通りっていう組み合わせがあるわけだし。

ー それは素敵な仕事ですね。ラムダさんご自身は印象的だった色彩ってどんなものがあるんですか?
ラムダ:それ言い出したらキリが無くて、変なのもいっぱいあるよ。箱根に行った時に捕って割った瞬間の牡蠣とか。
ー 牡蠣ですか⁉︎
ラムダ:そう。真っ黒なのに殻割った瞬間、中から生々しいオレンジ色が出てくるんだよ。それってスゴくない?
ー それ、牡蠣じゃなくてウニじゃ……。
ラムダ:あ、ウニだ(笑)。
ー (笑)。でもこのスタイリング、一見中性的にも見えそうな上品なトーンですけど、その分キャップの味が利いてますよね。

ラムダ:この〈ステューシー〉のキャップは俺が中学生の頃に買ったヤツだから、もうボロボロ。個人的に、こういうスタイルでシューレースとかトレーナーとかが真っ白っていうだけだと浮いちゃう気がするの。でも、自分とともに経年劣化してきたようなこんなアイテムが入るだけで、着こなしを自分のものに持っていける気がしていて。このキャップを最後に加えたことで、スタイリングを完全にえいいちのものに落とし込めてると思ってます。
ー 確かに、そういうパーソナリティとリアルさとの関係は細かすぎてなかなか雑誌じゃ伝えにくいですよね。
ラムダ:そうなんだよね。着せられちゃってるのって、やっぱりダサいじゃん。それならいっそ、毎日同じ格好をしてる人の方がよっぽどカッコいいと思う。そういう風に、着こなしだけじゃなくて自分のスタイルをつくっていくことが大事だよね。そう言えばえいいちっていま何歳?
モデル中村:21です。
ラムダ:あ、じゃあ全然キャップの方が年上だ。もう24歳くらいだもん、このキャップ(笑)。
