「来年はローキックを鍛えたい」
ー お蕎麦、どうぞ召し上がってください。
ところで、年越し蕎麦って江戸時代から続く習慣らしいんですけど、蕎麦はぷつりと切れやすいじゃないですか。それにならって、その年の苦労や嫌なこと・辛かったことも翌年に持ち越さずにばっさり切り落としたい、というのが由来だそうなんです。
吉田:普通の食べ物よりは切れにくいですけどね(笑)。
ー 昔の蕎麦は、もっと切れやすかったんですかね。1年を振り返って、特にばっさり切り落としたい思い出や出来事はありますか?
吉田:そうですね、飲みの席で知り合いの更に知り合いの、10個下くらいの人に殴られたってことですかね……。
ー えー! どういう状況ですか……。
吉田:その日は女の子もいる飲み会だったんですけど、そのひとと僕とで女の子の取り合いみたいになって。僕の態度が気に入らなかったのか、同じテーブルでそいつとふたりきりになったとたん、急にあっちがイライラしはじめて。突然「帰んないんっスか?」ってつっかかってきたんです。「帰らないよ、自分のペースで帰るから」って適当に答えたら、「帰れよオラア!」って机をガーンって蹴って、馬乗りになられて……。
ー 大変だ……。

吉田:さすがに「気分悪いから帰るわ」って言って外に出たんですけど、だれか止めにきてくれるかなと期待して、そのあとしばらく店の前でタバコを吸ってました。そしたら彼が出てきて「オツカレーッス!」みたいな。「なんだ!?」と思うじゃないですか。でもまあ、そこは一旦大人になって「はいはい、じゃあね」と返したら、「俺が『お疲れ』って言ってのにその反応はおかしいだろ!」みたいな感じで再びキレて……。取っ組み合いになって殴られて、僕がチョークスリーパーを仕掛ける暇もなく、またみんなが止めに入ってきてくれました。
ー それは災難でしたね。
吉田:止めに入ってくれた人には一応、「俺、格闘技やってるんだけど我慢したわ」って言っておきましたけど。
ー (笑)。
吉田:けど実際にはチョークスリーパーをかける勇気は出ないですね。ジムでも相手を絞め落としたことないし、もし喧嘩でそんな技を使ったらみんなめちゃめちゃ引くだろうなって。だから来年はローキックを鍛えたいと思ってんすよね(笑)。みんな引かないし、キックをあててから相手が「待てー!」みたいな感じで歩けなくなってるのって、めっちゃ勝った感じするじゃないですか(笑)。実用性では、ローキックが最強だなって。いやでも、正直その飲み会の後一週間くらいは思い出すたびに辛かったですね……。
