#03_JACKET REQUIRED
メンズファッションの基本であるジャケットスタイルを根底に、ルールを心得たクラシックな装い、そして型破りな遊び心ある着こなしを打ち出す「ジャケット リクワイヤード(JACKET REQUIRED)」。日本上陸の以前から〈ディスパッチ〉に注目し、バッグをはじめ、ブランドのルーツであるカメラアクセサリーまでを取り扱う。その精力的なラインナップの真意とは?
寡黙なデザインではあるけれど、決して無個性ではない。

ジャケットリクワイヤード バイヤー 齊藤大祐さん
ー「ジャケット リクワイヤード」では、どういったバッグが売れていますか?
齊藤:大人のドレスクロージング、ドレスカジュアルを提案しているショップなので、お客様はビジネスパーソンが主です。洋服のラインナップはジャケットやスーツ、セットアップがメインということもあり、バッグもレザーのブリーフケースや肩掛け可能なトートといった、ビジネスユースできるタイプが強いですね。
ーそうした商品構成のなか、ナイロン素材のカジュアルバッグである〈ディスパッチ〉は異質なようにも思えます。
齊藤:最近では通勤にバックパックを使われる方が増えているのもひとつですし、そうしたビジネスパーソンの週末バッグとして提案しています。なので、オン・オフ兼用もできる「デイパック」のブラックが圧倒的に人気で、次いで休日使いの「ウエストバッグ」、女性には薄マチのバックパックである「ブックパック」が好評ですね。

ーカジュアルバッグといっても多種多様。なかでも〈ディスパッチ〉をセレクトされているのは?
齊藤:そもそも僕が好きで、個人的に愛用していたのが大きいですね。最初に知ったのは、ブランドのルーツであるカメラのストラップでした。まだ日本に上陸する以前でしたが、本国のアメリカのウェブサイトで発見して。
ーカメラのストラップも、さまざまなメーカーから発売されています。しかも当時は日本未上陸だった〈ディスパッチ〉を、わざわざ選ばれたのはなぜですか?
齊藤:趣味で写真を撮っており、普段からカメラを持ち歩くのですが、カメラメーカーのストラップはコーポレートロゴが大きく入っていて抵抗がありました。普段のファッションにもマッチする、シンプルでスタイリッシュなデザインが欲しくて辿り着いたのが〈ディスパッチ〉でした。その後にバッグの展開がスタートし、日本でも正式に販売が始まると聞き、すぐさま取り扱いを決めました。
ーバッグコレクションの第一印象はいかがでしたか?
齊藤:カメラストラップの特徴であるシンプルでギア的なデザインは、バッグでもキープコンセプト。これは「ジャケット リクワイヤード」のスタイルにもフィットすると思いました。休日だけでなく、ウィークデーのバッグとしても提案でき、ウチのセレクションに足りていなかった隙間を埋められるプロダクトでしたね。
ーバッグとしての使い勝手やクオリティはどうですか?
齊藤:とてもスッキリとした見た目に反し、構造は非常に凝っており、随所にギミックが効いています。なかでも僕はカメラが趣味ということもあり、とくに気に入っているのが「カメラ リュックパック」です。カメラ本体やレンズ、周辺機材などを保護しながら収納できるカメラポーチが標準装備されているのが最大の特徴で、これはリュックから取り出して単体で持ち歩くこともできます。

齊藤:さらにトップのフラップを開けて主室にアクセスできるだけでなく、側面のファスナーからもカメラポーチを出し入れしたり、正面のジッパーを開けるとわざわざバッグから取り出すことなく、ダイレクトにカメラポーチの内部までアクセスできる。
カメラメーカーでも思いつかないような、気の利いた仕様ですよね。当然〈ディスパッチ〉のデザイナーもカメラをやっており、都市やアウトドア、さまざまなフィールドでカメラを扱う人間ならではの専門知識と経験が活かされた設計だと実感できます。それでいて、やはりファッションシーンに身を置かれているデザイナーなので、ビジュアル面にも妥協がない。
実用性は大前提ですが、僕らのようにファッションの視点からツールやモノを選ぶ人間も満足できるんです。また付属のカメラポーチを抜き取ってしまえば、カメラを持ち歩かない日のデイリーユースや1泊旅行にも活躍します。そうした多様な使い方ができるので、カメラに関心のない方にもオススメしたいですね。

ーこうした痒いところに手が届いた作り込みは、すべてのプロダクトに一貫していますね。
齊藤:さらに素材やパーツにもグッときます。「デイパック」などに用いられているのは、1680デニールもの強靭なバリスティックナイロンなので、ガシガシとラフに使えます。地面におろして荷物を出し入れしたり、電車を待つホームで足元にガサッと置いたり、デリケートに扱う必要がないのは何かとストレスがありません。エレガントなレザーバッグでは、そうはいきませんから。ほかにも軍用規格のミルスペックに準拠したタフなストラップであったり、日常生活にはオーバークオリティなのですが、そういうものに憧れやロマン、安心感を憶えるのも男のモノ選びの面白さだと思います。
こうした頑強でハイスペックなパーツを使用すると、ミリタリーであったり骨太なデザインになりがちですが、あくまで都会的に落とし込まれているのが、ほかのバッグメーカーにはない特徴です。そこにもデザイナーのセンスを感じますね。
1~3泊程度の旅行バッグである「ウィークエンダー」も実用性に富みます。ボストンバッグのメインジッパーは直線に配されるのが一般的。だけどこちらは大きなコの字型になっているので、内部が一望でき、かさばる荷物やガーメントケースなどの出し入れもスムーズに行えます。実際に愛用すると、なるほど!と納得するディテールが多いですね。

ーお店で〈ディスパッチ〉を購入されているのは、ビジネスパーソンが大半ですか?
齊藤:それが意外と幅広く、「ジャケット リクワイヤード」の顧客だけでなく、ウチのオンラインショップを見て、店頭まで足を運んでくださるストリート系の若年層も少なくありません。
ーそうした若い世代は〈ディスパッチ〉のどこに惹かれているのだと思いますか?
齊藤:よく耳にするのは「どのブランドかわからないのがよい」という声です。ひと目でわかるアイコニックなデザインや、わかりやすくロゴが施されたバッグは、良くも悪くも “ このブランドを持っています!” という主張が強い。それをモノ選びの拠りどころとするのも方法ですが、抵抗がある層も思いのほか多い。とくにファッション感度の高い人たちほど、こうしたアノニマスなプロダクトを好まれる傾向がありますし、その需要に応える存在となっているのは確かです。
それでいてファスナー使いやストラップの配置などにオリジナリティがあり、どこにでもあるような平凡なモノとも違う。ですから、僕自身も使っていて「どこの?」と聞かれることも少なくありません。つまり、多くは語らない寡黙でミニマルなデザインではありますが、決して無個性ではないんです。
ーどんなコーディネートに合わせるのがオススメですか?
齊藤:カジュアルな服装はもちろん、品の良いニット&スラックスといったキレイめな着こなしに合わせるのが「ジャケット リクワイヤード」の提案です。ブラックであればジャケパンスタイルやセットアップ、スーツにも難なくマッチしますし、コーディネートのハズシとしてカモフラージュ柄を挿すのもお洒落だと思います。
ともすると子供っぽい印象を受ける迷彩柄ですが、〈ディスパッチ〉のカモフラージュはダークトーンでまとめられており、どこかシックな雰囲気。そこはかとなく都会的なムードを漂わせる大人の迷彩だと思います。これくらいコントラストが抑えられていると、さりげないアクセントになりながらもカジュアルすぎず、幅広い着こなしに合わせやすい。主張しすぎないところはカモフラージュにおいても健在です。

レミ レリーフのブルゾン ¥39,800+TAX、インコテックスのパンツ ¥33,500+TAX/ジャケット リクワイヤード 表参道店
ー迷彩柄は好きな方が多い一方で、どう合わせたら良いのかわからないという方もいらっしゃいます。
齊藤:洋服全体をダークトーンに抑えるだけでも、すんなり取り入れられますよ。また今日のMA-1のように、迷彩を構成する1色を洋服のどこかで拾うのも、まとまり感を演出できる有効手段です。当然、汎用性ではブラックに敵いませんが、やはりファッションなので、これくらいの遊び心があったほうが楽しいですよね。

前:カメラ リストストラップ ¥5,300+TAX
左:ウィークエンダー W55.9×H35.6×D22.9cm(28L) ¥28,000+TAX
右:カメラ リュックパック W32×H46×D20cm(23L) ¥49,000+TAX
ジャケット リクワイヤード 表参道店
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