世代や性別を超えて、いろんな方々に届けられるように意識した。

ー 今回のコレクションは「自分が着たい」と思えるものづくりをされているというお話でしたが、ゴローさんの“いまの気分”をもっと深掘りしたいです。
新井:ゴローさんって、むかしからスタイル変わってないですよね。ぼくにとってはそれがいちばんおしゃれで、見習うことばかりなんですけど。

中津川:細かな部分での変化はあるかもしれませんが、基本的なスタイルは変わってないかもしれません。もちろん、そのときそのときで「これはムードじゃないな」という服は着ないですね。たとえばいまだったら、パワーがある服はあまり着たくないんです。グラフィックが強かったり、ハイプな服は、アイテムに引っ張られてしまうので着ません。それよりも、なんでもない服を好きなサイズ感で着るのがいまのムードですね。
だから今回のコレクションも、あんまり盛ってないんですよ(笑)。テクニカルなギミックとかもないですし。でも、単純に気軽に着られる、うんちく無しで手に取ってもらえるキャッチーなものにしたかったんです。
新井:今回は「ミンナノ」という看板を使ってないじゃないですか。それってすごく大きかったと思うんです。普段「ミンナノ」とコラボレートすると、ほぼゴローさんのファンの方々がお店に来て商品を買ってくださっていたんですけど、このコレクションはそうじゃない方にもアプローチできる服だと思うんです。従来だったら「ビームスT 原宿」のみの絞った展開にしていましたが、今回は、4月16日(金)の「ビームス 原宿」での発売を皮切りに、4月23日(金)「ビームス 熊本」とオンラインショップと幅広く販売するので、かなり気合入ってますよね。先ほどゴローさんが「今回は挑戦だった」と話してましたけど、「ビームス」としても結構挑戦なんです。
中津川:「ミンナノ」のお客さんにダイレクトにリーチできないのは多少不安ではありますけど、その制約から外れて、自由度が増した感覚はありますね。お店の名前を冠したコラボレートだと、どうしても自分たちのお客さんを意識せざるを得ないですが、今回は世代や性別を超えて、いろんな方々に届けられるように意識しました。ぼくのことなんて知らなくて、ただ単にアイテムが魅力的だから手に取ったというお客さんがいたら本当にうれしいことですね。

ー 今回のコレクション、おふたりならどう着こなしますか?
新井:ぼくはクラシックなものが好きなんですけど、それだけじゃ物足りなくて、どこかにクセをだしたくて。そういうときのこのパンツが気になりました。総柄ってそれだけでクセがあるから、こういうアイテムを差し込むことで人とはちがう着こなしができるかなって。
中津川:ぼくはとにかくデカく着たいです(笑)。全身今回のアイテムでまとめるのもいいですけど、新井さんのように一点だけ取り入れるのもいいですよね。それこそルールとか気にせずに。一点だけでもきちんと主張のある服だと思うので。

新井:主張はあるけど、合わせにくくはないのが不思議です。なので、なんの心配もいらないと思います。しかもこれが〈コスビー〉だというのがおもしろい。スポーツブランドってバッティングを気にしちゃう人も多いと思うんですけど、これならいい意味でのハズしになると思うんです。
中津川:たしかにそれは一理あるかもしれないですね。ぼくも含めブランドのミックスを嫌がる人もいますが、そういう意味で〈コスビー〉は縛りがない。どこかにひとつ取り入れて「なにそれ?」って言われるのもいいし、ぼくらと同年代の人たちが「なんで〈コスビー〉着てんの?」っておもしろがってくれたりするのも楽しいですよね。個人的には「ビームス」のスタッフの方々がこれをどう着こなしてくれるのか楽しみです。

新井:ぼくらのように〈コスビー〉を知ってる世代も、そうじゃない人たちも、「これおもしろいね」って言ってもらえると思ったから、今回取り扱いたいと思ったんです。なおかつそれをゴローさんが手がけているところも含めて、いろんな景色が見えちゃったんですよ。
中津川:これが伝説的なブランドだったらファンも多いでしょうし、賛否両論出てくると思うんですけど(笑)、今回はシンプルにいい方向へ持っていけたと思います。デザインしていてすごく楽しかったですし、反応がすごく楽しみですね。
新井:そうですね。ぼくもかなり楽しみです。

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