いい商品をつくることも大事だが、履く人の幸せも追求したい。
ー 長く履き込まれた靴はかっこいいと思うんですが、その持ち主もやはりスタイルのある人が多いですか?
太田:みなさんもれなくめちゃくちゃかっこいいスタイルを持っていますね。仕事で履いていて汚れたり、その靴が好きで毎日のように履いているから深みのある味が出ていたり。とにかくかっこよく経年変化していて、それに愛着があるから買い換えたくないっていう人がほとんどです。それがスタイルですよね。おしゃれに見せようという意味ではなく、気づいたらかっこよくなっていたという感じ。そういう方々は本当に魅力的だと思います。

ー それが「OUT OF FASION」であり、同時にサステナブルであるということですね。
太田:その通りです。先ほども話していたカスタムは、自身のスタイルがあってこそ、それを貫きたいがためのカスタムということ。ぼくはそうしたスタイルや想いを尊重したくて、この仕事をしています。ただ単に目立ちたくて「人と違うものがいい」とか「おしゃれになりたい」っていうんじゃなくて、その人の中で築き上げてきたものがあるからこそスタイルが生まれるんじゃないかとぼくは思います。だからぼく自身も修理をお受けする際は、そうしたストーリーをできる限り読み解こうと努力しているんです。スイートスポットはかなり狭くて限られたものになりますが、十人十色の物語があるからこそ、そこに魅力を感じるんです。
ー お客さんが〈レッドウィング〉の靴を修理に出したいときはどうしたらいいですか?
太田:オフィシャルサイトでも記載があるのですが、〈レッド・ウィング〉の直営店もしくは取扱店にお持ちいただくか、「レッド・ウィング・ジャパン」に直送いただければご対応します。
ー 太田さんに診てもらうには「レッド・ウィング・ジャパン」に直送するのがいいですか?

太田:そうですね。申し込み用紙に可能な限り要望をご記入いただければ、ぼくのほうでそちらをチェックして、修理内容とお見積もりのご連絡をします。これまでは純正に戻すことだけをしてきましたが、これからはある程度カスタマイズにも対応したいと思っています。それによってもっとお客さまにとって愛着のある一足に生まれ変わらせることができたらうれしいです。
ー そうしたカスタマイズにも対応してくれる企業は珍しいですよね。
太田:そう思います。〈レッド・ウィング〉はそうした要望にも応えられるフレキシブルな会社なんです。いい商品をつくることも大事ですが、履く人の幸せも追求したい。お客さまの要望に応えるにはフェイス・トゥ・フェイスがいちばんだと思うので、今後は直営店などで修理・カスタムのイベントも開催できたらいいですね。