ここでは先ほどの対談でも話題にあがった〈AG スポルディング&ブロス〉の名作たちを紹介していきます。ボクシンググローブポケットや変形の袖リブ、リブ編みで切り替えたショルダーヨークなど、その機能美溢れるデザイン&ディテールに〈AG スポルディング&ブロス〉の魅力が集約されます。百聞は一見に如かず、滅多にお目にかかれないスペシャルヴィンテージたちをとくとご覧あれ!
30’S BOXING GLOVE POCKET PARKA

通称ボクシンググローブポケットと呼ばれる独特なポケットが付いたダブルフェイスのパーカ。カタログにはサイドラインパーカと表記されていた。このポケットはハンドウォーマー機能だけでなく、インナーにもアクセスできるスリットも併設されている。実は20年代から原型があり、ポケットがない仕様だった。35年頃からポケットが付いたデザインになった

(左)アイコンのボールを用いたシンプルなタグは、この年代ではあまり見ないデザイン (中)ハンドウォーマーポケットは、外気に影響されないようボクシンググローブ型になったと思われる (右)大きめのパーカは、首元が重なったデザイン。チンガードの役割を狙ったのだろうか?
20’S TRAINING SHIRTS

前後にV型のガゼットが付いた両Vと呼ばれるディテールを有したトレーニングウエア。このスエットの珍しいところは、起毛した裏毛部分にウールを用いていること。ウールからコットンへ移行する初期のスエットだと思われる貴重な資料。また大きな特徴がV字型に取り付けられたリブ。これも〈AG スポルディング&ブロス〉特有の意匠である

(左)先ほどのダブルフェイスのパーカと比べると複雑なデザインの刺繍タグ(中)前後に鋭角なガゼットが付いているディテールも時代性を感じるところ(右)最大の特徴はV字型に取り付けられたリブ。生産効率を大前提とした戦後の大量生産では考えられない
30 ’S FOOTBALL SWEATER

ウール製のニットを使ったフットボール用のトレーニングウエア。伸縮の少ないウール生地に運動性を持たせるため、ショルダー部分にリブを用いた機能美のあるデザイン。ボディとアームに付いたフェルトは、滑りやすい楕円形のボールをキャッチしやすいように配慮されたもの。同デザインのものが30年代のカタログの表紙を飾った

(左)同じ年代でも様々なバリエーションのタグが存在するのも〈AG スポルディング&ブロス〉のおもしろいところ。(中)運動性を必要とする肩周りには、伸縮性のあるリブを配することで動きやすようにしている。(右)起毛したワッペンは滑り止めの役割を果たす
20~30’S WOOL SWEAT SHIRTS

高校や大学のスクールカラーに対応したウール製のスエット。これがコットン素材に代わり、今のスエットが作られたと思われる。特徴はコットン製のスエットにも引き継がれる首元を補強するガゼットやリブ使い。また運動性を高めるためにショルダー部分にもリブを配している。胸に学校名やチーム名のワッペンが施されたものもある

(左)裾リブの裏にはブランドタグとともにサイズ表記が縫い付けられている。(中)ガゼットとリブの付いたショルダー周り。前後差のない首元の設計も時代を感じる。(右)脇下には接ぎがあり、肩周りの可動性を広げることに一役買っている
過去のアーカイブを見ると、当時、〈AG スポルディング&ブロス〉が限られた素材の中で、様々な試行錯誤を重ねて、最先端のスポーツウエアを作っていたことがわかります。この秋冬に復活する新生〈AG スポルディング&ブロス〉は、ヴィンテージフリークはもちろんのこと、洋服好きであれば琴線に触れる仕上がりになりそうな予感。古きを知り新しきを知るなんて言葉がある通り、昔に苦労して作れた個性的なデザインは、現在だと新鮮に感じますし、タイムレスな魅力があることに気づかされます。この秋冬に復活する〈AG スポルディング&ブロス〉、いまから期待が高まります。
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