本場アメリカに学んだモーターホームのある生活。

オーニング(日除け)を出して、テーブルと椅子をセットすれば設営完了という手軽さも、キャンピングカーライフの魅力のひとつ。〈ローンチェアー×ピーエフエスパーツセンター〉チェア 各¥8,500(ピーエフエスパー ツセンター)、〈ブルーリッジ〉ボイジャーテーブル ¥34,000(エイアンドエフ)
実はキャンピングカーというのは和製英語で、アメリカではRV(リクリエーショナル・ヴィークルの略)、もしくはモーターホームと呼ぶのが一般的。だからアメリカではキャンプが目的というよりは、旅のツールとしての要素が強いみたい。家ごと移動してしまえ、という考えは、西部開拓時代の馬車に始まって、アメリカでは根強く残っているメジャーな余暇の過ごし方のひとつ。
今回の撮影にクルマを提供していただいた梶川剛志さんは、古いキャンピングカーモーターホームライフを楽しんでいるひとり。彼の移動手段でもあり宿となっているのは、ウィネベーゴ社の「ブレイブ」というモデルで、1970年代のもの。おそらく国内に数台しか存在しておらず、「これぞアメリカンモーターホーム」を体現したようなルックスです。

キャンピングカーの旅にテレビなんて必要ない。焚き火こそがアウトドアでの最高のエンターテイメント。〈ペトロマックス〉焚き火台 ¥16,000、グローブ ¥5,100(すべてスター商事)、〈ウッドアンドフォーク〉スツール ¥26,800(キャンバス)、〈ス ノーピーク〉火ばさみ ¥1,900(スノーピーク)、〈ファイヤーサイド〉火吹き棒 ¥4,300(ファイヤーサイド)
サーフィン関係のショップを構えている梶川さんは、年に数度は仕事を兼ねてアメリカにサーフィンをしに行っていて、 そこでこの「ブレイブ」と出会ったそう。すぐさま購入を決め、なんとそのまま自分でアメリカを自走して、 LAの港から日本へシッピングしたといいます。もちろん道中は、アメリカ各所を巡り映画さながらのロードトリップも堪能。
アメリカ流の楽しみ方を知っているから、日本での使い方もキャンピングカーというよりは、モーターホームのそれに近いものがあります。目的地を決めず、景色の良い場所に出会ったら、そこをその日の宿とする。気に入ったらそのまま何泊かして、焚き火を眺めながらボーッとするだけで、そのリトリート効果は抜群でしょう。
自由を手に入れる手段としてのキャンピングカーの有用性。

キャンピングカーに年代や色みを合わせたギアを揃えれば、70年代にタイムスリップ。
他にもキャンピングカーを持てば、 アウトドアレジャーの前線基地的な使い方もできます。例えばサーフィンだったら、その日の波の様子に合わせて宿泊場所を移動していけるし、スキーやスノーボード、釣りなども同様です。ホテルのようにチェックイン・チェックアウトなど、時間の制約もないし、移動する家を持つだけで、グッと遊びの幅が広がり、遊べる時間自体も増えていきます。

高い位置に窓が付いているので、室内の日当たりも良好。

車内からの眺めも、キャンピングカーでの旅の楽しみ。梶川さんは毎年お正月には海岸を訪れて、初日の出を眺めるそう。
キャンピングカーのオーナーの多くは自由という言葉を口にします。通常の旅の場合は、どうしても宿泊場所に縛られ、泊まる場所=目的地にせざるを得ないからです。けれど動く家を持つということは、ニッポン丸ごと宿になるということと、ほぼ同義。どこに行くのも自由、いつ行くのも自由。キャンピングカーを所有するということは、さまざまな束縛から解放されるということなんです。動く家に乗り込めば、制約の多い日常から、一気に自由な非日常へと旅立てます。