PROFILE
1973年生まれ。セレクトショップ「エディフィス」でバイヤーを務めた後に独立し、2015年にセレクトショップ「レショップ」を青山に立ち上げた。20年7月「レショップ渋谷店」をオープン。来たる7月31日(土)にオープンする〈アウトドアプロダクツ〉のオンリーショップ「The Recreation Store」のディレクションを手がける。
Instagram:@keiji_kaneko
パブリックイメージを集約したフラッグシップストア。
ー 約2年前、金子さんには〈アウトドアプロダクツ〉の記事にご出演いただいています。前回は「レショップ」別注のビッグサイズのデイパックを中心に話をお伺いしましたが、2年もの間にはコラボプロダクトや取り組みもかなり増えていますよね。どのような進化を遂げてきたのか少し振り返ってもらえますか?
金子: もう2年も経ったんですね。でも特に進化という進化はしていないんですよね。ぼくらの動きで言うと別注モデルのデザインは変えず、日本製からアメリカ製に変えたり、ミヤシタパークの店舗のオープンに合わせて、これまでの別注モデルを見直して、再販したり。大きく変化させるというより、ディテールを改良したという感じですね。
それと並行して、芹澤純さんがエディトリアルディレクターを務める「トキオン(TOKiON)」と「レショップ」のコラボ企画があって、そこで“90年代の渋谷”というテーマを掲げ、渋谷にあるお店同士でこの街を振り返りながら、新しいプロダクトをつくろうという企画で、一緒に〈アウトドアプロダクツ〉のリュックをつくったりしていました。(8月頭発売予定)
そんななか〈アウトドアプロダクツ〉のほうからフラッグシップストアをつくりたいということで、自分を中心に「ベイクルーズ」でショップを立ち上げるというオファーをいただいて、いまこの「レクリエーションストア」のオープンにディレクターとして参画させてもらっている感じですね。
ー そのオファーを受けたのはいつ頃だったんですか?
金子: 2020年の夏ごろだったので、ちょうど一年前ぐらいですね。振り返ってみると『フイナム』の取材を受けた2年前から、いろいろな出来事がありましたね(笑)。
ー そもそも、「レショップ」で展開していた〈アウトドアプロダクツ〉とのコラボプロダクトはどちらからオファーをかけたんですか?
金子: それはこちらから「やりたい」とお願いしました。「身長190cmの人に合わせた大きいサイズのバッグを一緒につくりませんか?」と。
ー かなり突飛なアイデアだと思うんですが、先方の反応はどんな感じだったんですか?いまでこそあのサイズ感に見慣れましたが、当時かなりの衝撃を受けました。
金子: そうですよね。先方からも「かなり大きいですけど、本当に大丈夫ですか?」みたいな反応で。「大丈夫じゃないかもしれないけど、問題ないと思います!」と返しましたね(笑)。
ー やはり裏ではそんなやり取りが繰り広げられていたんですね(笑)。しかし、当初の不安を払拭するように別注モデルはヒット。〈アウトドアプロダクツ〉とのコラボで、実績を出されている金子さんだからこそ、今回の「ザ・レクリエーションストア」の依頼があったと。金子さん自身は、立ち上げの話を受けてどういったことを考えられたんですか?
金子: 〈アウトドアプロダクツ〉はジーンズの量販店から、大手セレクトショップ、そしてハイファッションも展開するお店まで取り扱われています。それだけでなく、デザイナーズブランドとコラボも展開しています。要するに端から端まで幅広いマーケットで展開するブランド。そこが魅力でもあるんですが、先方からは逆にその幅の広さが悩みだと伺いました。ジーンズの量販店で〈アウトドアプロダクツ〉の商品を見ると、ファミリー向けのバッグだと思われてしまうかもしれない。逆にハイファッションを展開するセレクトショップでも取り扱われているので、どういったブランドなのかがよくわからなくなってしまう。だからこそ〈アウトドアプロダクツ〉はこういうブランドなんだと示せる土台のような役割を持つフラッグシップショップが必要だったんです。その話を聞いたときに確かにそうだなと思ったんですが、そんな大きな役目をぼくが引き受けていいのかなという不安は、正直ありました。
ー それでもなお、依頼を引き受けようと思ったのはどうしてですか?
金子: どうしてだろう。(笑) 簡単な道のりではないことは分かりつつも軽く受けちゃったんですよね。嘘みたいなビッグサイズのバッグをつくらせてもらったこともあるし、いま思えば〈アウトドアプロダクツ〉さんとならおもしろいことができるという期待が持てたからだと思います。いざ、このプロジェクトがスタートしたらスムーズに進んでいったので、それはありがたかったですね。