バッグで表現するダイバーシティ。

ー そう聞くとデイパック、ロールボストン、トートバッグが7サイズ・12色展開という、金子さんのお家芸といえるサイズの妙がピタッとハマりますね。
金子: サイズというのは道具の究極系かなと思っていて。たとえば一番小さいサイズは、女性がお弁当箱を入れたりするのにも使えますし、大きいサイズであれば車載用にしてもいい。同じ形状だけどサイズが違うだけで、いろんな人のいろんなシーンで使えると思うんですよね。それが今までになかったひとつの肝になっていると思います。


ー 金子さんは「レショップ」のオリジナルレーベル〈エルイー〉のシャツでも12サイズ展開、どんな体型の人でも着られるというコンセプトで展開されています。それはファッションを通じて、ダイバーシティ(多様性)を表現しているんじゃないかと感じています。それは意図して行なっていることなんでしょうか?
金子: んー、どうなんでしょう。でも世の中、多様化が進んでいるなと感じています。もちろんファッションもそうです。〈エルイー〉に関しては、サイズの多様化みたいなところが起点でした。最近はみんながジャストサイズを選ぶ時代じゃなくなってきている。自分はゆったり着たいからLサイズを買うとか、トレンドがタイトなシルエットになってきたらSを買いますという人も増えてきます。これまでであれば「何cm台の人ならMサイズがおすすめです」って提案が出来ていたのにそうじゃなくなってきている。いまは人のサイズって一概に決められないと思うんです。だからこそ、12サイズという展開が必要だったかなと思います。それこそ体型も昔と比べて、いまの若い人たちは手足が長いし、身長も高いですよね。それに、ぼくたちみたいなオジサンは体型も相まって、若い人よりビッグシルエットのほうが嬉しい(笑)。
本当にサイズは人それぞれで、現状のサイズ展開に関しても少し違和感があったのでそういう展開が必然だったと思うんです。今回、バッグという道具に関しても、いろいろな使い道があるし、ライフスタイルも多様化しているのでそこに対応していくと考えたときに、1個1個のデザインというよりは、サイズ展開があるだけでもいろいろな人の道具になりえる可能性があるんじゃないかという発想が、自然と湧いてきました。

ー 確かにサイズがたくさんあるだけで、いろいろな使い方ができますよね。
金子: 特に〈アウトドアプロダクツ〉は中学生から大人の方まで、幅広い年齢層の方が使うので、そういった展開が必然かなと思いました。普段、量販店にて4,800円で売られているデイパックを〈テンベア〉の早崎さんがデザインすることで、これまで〈アウトドアプロダクツ〉を使ったことがなかったオシャレな人の目についたり、表参道という場所で、ちょっとカッコつけることで少しイメージも変わるんじゃないかとか、いろんなフックをつくって、もっともっといろいろな人に見てもらえるものになればいいなという願いもあります。
ー 〈アウトドアプロダクツ〉だからこそできた表現がたくさんあったんですね。それでは最後にオープンしてから、なにか計画していることはありますか?
金子: ある種“変化させない”ということもブランドを長く愛してもらえる理由になると思うんです。もちろんプロダクトはどんどん良くなっていますが、その変化はゆるやかで。そういう部分は継承していきたいところではありますし、長く続けるコツであったり、ヒントでもあると思います。なるべく、ゆる~く続けていくことがいいような気がしますね(笑)。けど、毎回お店に来ればいいものがあるみたいなところを表現するのが、自分の腕の見せ所かなと思っています。


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