緩やかに凹凸を築き上げ、それを遊び場として転換。

もちろん子供たちが遊べて、大人も感性を刺激されるギミックはまだまだあります。まずはじめに紹介したいのは、こちらの大きなベンチ(?)でしょう。「マルヒロ」ではおなじみのアーティストによる巨大作品なのですが、誰のものかわかるでしょうか?

「アムステルダムのアーティスト、ボリス・テレゲンこと『デルタ』の作品です。こんなに大きな『デルタ』の作品はなかなか見れないでしょう。設計図を送ってもらって、それをもとにセメントを流し込んでつくりました。5層構造になっていて、真上から見ると『HIROPPA』という文字が象られています。本当はこの上から仕上げの塗装をするつもりだったんですけど、雨が降ってセメントにいい感じの雫の跡ができたので、これはこれでかっこいいからそのまま残すつもりです。時間が経ったときにどんな姿になるのかが楽しみですね」


一方でこちらの櫓のような構造物では、隆起した芝生が丘のようになっていて、その頂上にあるハシゴを登ると、綱が格子状に交差して子供達がゆらゆらと歩いたり、ハンモックのように寝そべったりできるスペースになっています。
そしてそのスペースを囲うように、まだ細くて若い樹木が植えられています。馬場さん曰く「これは桜なんですよ」とのこと。

「春になると満開の桜がこの櫓を彩る計画です。ちなみに園内では、秋に咲くジュウガツザクラも植えていて、春と秋で花見ができるようになっていますね。はやく桜が育って欲しいですね~」

櫓の横にあるスペースでは、公園の隅に向かって地面がどんどんくだるような設計に。「ここに水を溜めて、プールのようにするんですよ」と馬場さん。「しかもそのプールには、(竹内)俊太郎くんに絵を描いてもらうんです」とのこと。この日、制作のためにたまたま波佐見に滞在していた竹内さん。さっそく話を聞いてみました。どんな絵を描くんでしょう?

「ウツボを描く予定です。じつはこの話には紆余曲折があって、波佐見には海がないので、当初はここにビーチを連想させるような絵を描こうって話してたんです。でも、それだけじゃ物足りないので、今度は海の生き物を描こうということで、最終的にウツボになりました。長~いウツボがウネウネとしている絵ですね。水を張ると、そのウネウネの下半分が水面に隠されて、海に浮かぶ島に見えるようなイメージ。そのアイデアも馬場ちゃんとここに座りながら話して決めました。彼の発想力ってすごいですよね、この公園も10年前からつくりたいって話してて、それを実現するのもすごいし、ちゃんと時代に合わせて着地させている。本当にリスペクトです!」
このように、園内にはシーソーやブランコといった遊具が存在しないにも関わらず、緩やかに優しく凹凸を築き上げ、その地形を遊び場として利用できるように公園が設計されています。



「この小さな丘もすべり台のように遊べるでしょう。そしてこっちの赤い穴は大人たちが座って休憩できるスペースになっています。あとはちゃんと砂場も用意しましたよ」

「それと、公園の中はぐるりと一周セメントの道で囲まれていて、車椅子の方でもゆっくり園内を回遊できるようにしています。時間帯によってはスケーターたちに開放する予定で、このポールもトリックするために設置してるんですよ」

さらに公園の奥にも子供たちがよろこぶ仕掛けがあります。ヒマワリで埋め尽くされたこの場所は、迷路。ここは馬場さんと会長の汗と涙の結晶でもあります。
「ここはもともと畑と田んぼがあった場所で、この夏、毎日のように朝6時から父ちゃんと草むしりと種まきをして育てたヒマワリ畑です。ものすごく長い迷路になっていますよ。ヒマワリは夏場しか育たないので、オフシーズンはその種をショップで売る予定です。来年の夏は迷路をオープンするので、ぜひ期待していてください!」