公園があれば、おっちゃんも、その子供も、また孫の世代も楽しめる。

ー 「HIROPPA」は10年前から構想があったそうですね。
馬場:2011年に俊太郎くんに話して、当時は「あったらいいな」くらいで考えていたんですけどね。それで4年前くらいからようやく動き出した感じです。自分にも子供ができたのと、焼き物を売るだけじゃなくて、他にも大きなことをやりたいって思ったのがきっかけです。
ぼくは「マルヒロ」に入る前、20代の前半なんですけど、福岡で仕事をしていて。2010年くらいに波佐見に戻ってきて、はじめて焼き物の仕事をしたんです。
ー たしか、そこで自社ブランドを立ち上げたんですよね。

馬場:そうですね。父ちゃんからその仕事を任されて、マグカップをつくったんですよ。それを職人のおっちゃんたちに頼みにいくんですけど、普通なら断られると思うんです。ぼくは美術学校もでてないし、ましてや焼き物の修行もしたことないですから。
だけど、おっちゃんたちは引き受けてくれたんです。彼らはぼくの父ちゃんの同級生で、小さい頃からぼくのことを可愛がってくれていた。それで引き受けるときも「俺らに恩返しする必要はないから、自分たちの子供たちに返してくれて」って言ってくれて。4人の職人に頼んで、4人ともそう言ってくれたんです。
ー それで子供たちと遊べる公園をつくろうと思ったと。

馬場:そうですね。焼き物産業を盛り上げるのはもちろんですけど、公園があれば、おっちゃんたちも、その子供も、また孫の世代も楽しめるじゃないですか。
それにこの町には芝生の公園がないんです。ゲートボール場とか、いわゆるグラウンドのような場所はあるんですけどね。子供たちが遊べる公園も山の上にあったりして、クルマじゃないと行けない。だからあったらいいなと思ってて。
あと、こういう場所があると、友達や新しく知り合った人に「遊びに来てよ」って言いやすいですよね。焼き物のお店だと地元の人は来ないし、長居しづらい。 だけど公園だったらみんなで遊べるし、カフェもあるからゆっくりと話もしやすいと思って。
ー それで、この場所につくったわけですね。

馬場:そうですね。じつは5年前から土地は探してたんです。まえの本店は有田町にあって、波佐見町じゃないんですよ。だから「波佐見に戻りたい」って父ちゃんが言ってて。それでこの開けた土地を見つけたんです。近くには地元の観光スポットである「波佐見やきもの公園」もありますし、そこから歩いて来れるから、なかなかいい場所なんですよ。