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E5eyevanによる美的造形性を排除したデザインのロジック。
Design of the Tool

E5eyevanによる美的造形性を排除したデザインのロジック。

「デザイン」という言葉を聞いたとき、どんなイメージが頭のなかに浮かぶでしょうか? 辞書を引くとこんな意味がヒットします。「製品の材質や機能、そして美的造形性などの要素と、技術、生産、消費面からの各種の要求を検討し調整する総合的造形の計画」。

「着る眼鏡」をコンセプトに生まれた〈アイヴァン(EYEVAN)〉。そこから派生した5つ目のアイウェアブランド〈E5 eyevan〉は、そうしたデザインの「美的造形性」を排除し、道具としての本質を追求することから始まりました。しかしながら誕生したプロダクトは美しく、まさしく“着る”にふさわしい逸品。

この新しいブランドが生まれた背景、そしてそのプロセスは、デザイナーである中川浩孝さんの“デザイン”に対する疑問と挑戦の道のりでもあるのです。今回は、旧知の仲であり、ひとりの〈アイヴァン〉ファンでもある「ムロフィス」の中室太輔さんと共に、その道のりを辿ります。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Komuta

時代にフィットしている道具。

ー 具体的に〈E5 eyevan〉のアイテムはどんな構造になっているんですか?

中川: 〈10 アイヴァン〉では星型のネジ、トルクスネジっていうんですけど、軽い力できつく締められるものを使っていると、さきほど中室さんが説明してくれました。あれは美しい道具ということで、機能性と装飾性がイコールになるような追求の仕方で、それを採用したんです。

中川: だけど、今回は外れにくいということ、あとは外したいときにきちんと外せられるという機能性だけを追いかけました。外れにくいなら、はじめから外れないようにすればいいという意見もあるかもしれません。実際にフロントとテンプルがくっついていて、外せないメガネってあるんです。あれは実際にかけ心地もいいんですが、折りたためないのと、どこかに不具合があった場合、部分的な修理ができない。むかし、テレビとビデオデッキが一体になったやつあったじゃないですか。

中室: ありましたね! テレビデオ!

中川: あれって壊れるじゃないですか。そのときにテレビごと修理しないといけない。それがイヤだったんですよね。ミニコンポとかも同じですけど、全部一体じゃないですか。

中室: コンポって久しぶりに聞きましたよ(笑)。

中川: そこで時代が止まってますね(笑)。ぼくはきちんと後のことまで考えたいんです。壊れたときにその部分だけ修理できるようにするために、外れて欲しいところはちゃんと外れる仕組みが必要だと思って。そうなると、絶対に緩まないネジというのはないので、緩んでしまったときにある程度どこのお店でも対応できるように、今回はプラスネジを採用しています。

ー トルクスネジの場合は星型だから、どこでも修理できるというわけではないんですね。

中川: そうですね、星型の専用のドライバーが必要です。それは美しい道具ということでそうしているのですが、〈E5 eyevan〉の場合はそこに考え方の違いがあります。

ー プラスネジだけど、緩みにくいんですよね?

中川: はい。これは上から見るとネジがなくて、裏から見るとプラスのネジ頭が見えるんです。どうしてネジが緩むかというと、テンプルが動いたときに振動がネジに伝わるからなんです。ようは振動を伝えにくくすればいいわけです。あとは、ネジのギザギザの部分が長いほうが接着面が増えて緩みにくくなります。

中室: この筒状の構造がそうなっているということですか?

中川: そうですね。上から筒が通っていて、下からネジを入れています。筒に守られているから、テンプルが動いてもネジまで振動が伝わらないんです。そしてネジのギザギザ、ピッチというんですけど、それが通常の2倍長くなってます。それによって緩みにくい仕組みになっています。

中室: このL字のデザインも特徴的ですね?

中川: そうですね。特にこだわった部分ですね。このL字の構造は特許と意匠権利の出願をしました。ここをL字にすることで、幅を広げたり狭めたり、耳の高さを合わせたりなど、調整しやすくなっているんです。

それに加えて、顔が小さい方だとテンプルの後ろのほうが余ってしまう人もいると思うんですが、これは余分なところをカットしてシリコンのカバーで詰められるようにしています。このカバーは滑り止めの役割も果たしていますね。

あと、メガネってどうしてもフロントにパーツが集まるので、前が重くなって前下がりになってしまうんです。そこでテンプルの後ろに、スウェーデン語で“重い石”という意味のタングステンというレアメタルを付けています。これ、純金と同じくらい重い金属なんです。

中室: タングステン。かっこいい名前ですね。何度も言いたくなります。タングステン。

一同: (笑)。

中川: 「重い金属」って調べたらヒットして。じつは名前にビビっときて、これに決めました。なんだかミリタリーっぽい響きですよね。

中室: タングステン。強そうですね。だけど、本当にこのメガネをかけててバランスのよさを感じます。めちゃくちゃ軽いかけ心地で、全然疲れない。圧迫感もゼロですし。

ー いまはマスクもする時代だから耳周りのストレスを感じている人も多いと思うんです。それを少しでも軽減できるのはいいですね。

中室: たしかに。頭が痛くなったり、肩が凝ったりしますよね。

中川: ぼくらは慣れてますけど、そうじゃないと辛いでしょうね…。

中室: そういう意味でも時代にフィットしてる道具ってことですね。究極のメガネをつくってしまいましたね。

MODEL:m4 COLOR:MBKWG/WG ¥49,500

MODEL:m2 COLOR:MBRWG/WG ¥49,500

MODEL:m1 COLOR:MBK/ST ¥49,500

MODEL:m3 COLOR:ST/ST ¥49,500

MODEL:p3 COLOR:SM/WG ¥47,300

MODEL:p1 COLOR:SP/WG ¥47,300

MODEL:p2 COLOR:FG/ST ¥47,300

ー フレームはメタルとアセテートの2種類が用意されています。

中川: レンズのデザインって、最終的に遊べる部分なんですよ。そこだけは機能を邪魔しない範囲にいじることができる。今回はベーシックな形にしていますが、今後は機能的な意味合いを込めてそこにデザインを加えてみるのも面白そうだと思っています。だからこれから眼鏡屋さんにアンケートを取って、「こういう機能のメガネが欲しい」っていう意見を聞いて回ろうと思っているんですよ。

ー 可能性を感じられているわけですね。

中川: すごくありますね。そういうことはあまり考えたことがなかったんですよ。いままでは自分でかけるかっこいいメガネをつくりたいということでデザインしていたので。

INFORMATION

EYEVAN PR

電話:03-6450-5300
e5eyevan.com

※12月の一般発売に先駆けて、以下の内容で期間限定のポップアップストアを開催いたします。

日程:9月25日(土)〜 10月24日(日)

EYEVAN 7285 TOKYO

住所:東京都港区南青山5-16-2 2F POP-UP スペース
営業:11:00~20:00(火曜定休)
電話:03-3409-7285(予約制)
※9月25日(土)〜9月26日(日)デザイナー中川氏在店
予約サイト:https://reserva.be/e5

THE EYEVAN 京都祇園

住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-125
営業:11:00〜19:00(水曜定休)
電話:075-561-2300
※10月9日(土)〜10月10日(日)デザイナー中川氏在店

Continuer

住所:渋谷区恵比寿南2-9-2 カルム恵比寿1F
営業:12:00〜20:00(水曜定休)
電話:03-3792-8978

※先行ポップアップストアでは、期間中購入者に「E5 eyevan Concept Book」を進呈いたします。

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