FEATURE | TIE UP
ストレスフリーなビルケンと、アップサイクルなO.T.A。
Life with BIRKENSTOCK and O.T.A

ストレスフリーなビルケンと、アップサイクルなO.T.A。

自分の身の回りのアイテムに関して、意味のあるモノ選びをする人がここ最近増えてきたように思います。カッコいい、かわいい、きれいというのは、もちろんその意味として十分ではありますが、表層的な部分に加えて本質の部分にもきちんと理由が必要、ということ。足の医学に基づいて開発されたフットベッドを搭載する〈ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)〉と、不要タイヤからアウトソールをつくる〈O.T.A〉。それぞれ“健康”と“アップサイクル”を優先的に考えたものづくりがされていて、どちらもその本質を頼りにデザインが生まれます。今回はそんな両ブランドのアイテムを、鎌倉でセレクトショップ「柿乃葉」を営む柿本陽平さん、段ボール・アーティストである島津冬樹さんに履いてもらいました。

O.T.A with Fuyuki Shimazu タイヤは地面の上を移動するためのものだから靴に合う。

PROFILE

島津 冬樹
段ボール・アーティスト

多摩美術大学卒業後、広告代理店での勤務を経てアーティストへ。2009年の大学生在学中、家にあった段ボールで間に合わせの財布を作ったのがきっかけで、その魅力に惹かれるように。 2018年には、ドキュメンタリー映画『旅するダンボール』(監督:岡島龍介 / 配給:ピクチャーズデプト)が公開。著書として『段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル』(柏書房)、『段ボール財布の作り方』(ブティック社)がある。

ー 島津さんは段ボールで財布やカードケースをつくりつつも、その根底には「段ボールの魅力を伝えたい」という気持ちがあるんですよね。

島津:そうですね。落ちている段ボールって、使われたものじゃないですか。ものによっては海外からやってきて、その過程でシールが貼られたり、傷がついたり、汚れたりする。そこにはなにかしらのストーリーがあります。それ以前にも、箱のパッケージをデザインしている人がいて、その人たちは熱い想いを持って作業に取り組んでいるケースもあって。そうしたストーリーや想いが汲み取られることなく捨てられてしまうのが、なんだか切ないんですよ。それをもっと広く伝えたいというのがぼくのやりたいことで、だからドキュメンタリー映画を撮影したんです。

ー 『旅するダンボール』ですね。段ボールをデザインされた方のご家族が、島津さんのそうした活動に気持ちが報われ、うれしくて泣いているシーンもありました。

島津:やっぱり、そういう想いを持ってデザインされている方がいらっしゃるんですよ。

ー そうした段ボールが生まれた背景について考える人は、なかなか少ないと思います。

島津:必ずしもデザイナーさんがいるわけでもなく、農家の人たちが農作物を出荷するために自分たちでデザインするケースもありますし。とはいえ、そうした想いって大事じゃないですか。

ー そうした制作背景みたいなものを探ることがもともと好きだったんですか?

島津:ぼくが物心ついた頃にハマったのが貝拾いで、拾うだけじゃなくてそれがどういう貝で、どんなところに生息して、どういう生態なのかを図鑑で調べていたんですよ。

ー 貝のストーリーということですね。

島津:そうです。思い返すとそれがぼくの原点なんですよね。その後もキノコとか植物にハマったりして、その都度掘り下げていて。自分で発見することや知ることのおもしろさやよろこびがそこにはあるんです。

ー 世界にはたくさんの企業があって、たくさんの段ボールが存在する。かなり広い世界ですよね。

島津:そうかもしれません。でも、段ボールに興味を持っている人っていないじゃないですか。だから図鑑とかがないわけです。それを開拓するよろこびもありますね。どこになにがあるかまったくわからないから。

ー そうして集めた段ボールを、今度は財布として生まれ変わらせる。そこに島津さんの活動のおもしろさがあると思うんですが、アップサイクルということを意識しながら活動しているのでしょうか?

島津:段ボールって、本来ならリサイクルされるものなんですよね。だから、ぼくがやっていることは、微々たるものだとしても、そうした循環を乱していることになるんです。だから、アップサイクルやサステナブルという言葉は使わないようにしていたし、自分はそういう立場じゃないと思っていたんです。それよりも楽しんでやることのほうが重要だし、それが結果的に社会や人の役に立つことになればいいのかなと。

島津:ぼくの場合、それはモノの価値を知ってもらうことなのかなと思っています。ぼくにとって段ボールは、もうそれ自体が価値のあるものになっていて、そうやって捨てられてしまうものでも自分にとっては宝物であるわけです。だから、どんなものもそうした可能性を秘めていることを知ってもらえたらうれしいですね。

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