数あるワークブーツの中でもいちばんスタンダードな存在。



剣星さんがはじめて〈レッドウィング〉を履きはじめたのは、中学生の頃のこと。当時アメカジがブームで、その流れでこのブランドのブーツを手にしたと語ります。
「ずっと憧れていたけど買えない、まさに高嶺の花でした。それで中学のときにはじめて手に入れて、それからいまに至るまで、家の玄関にはつねに〈レッドウィング〉のブーツがあります。履きつぶしては新しいものを買い換えての繰り返しですね。“ザ・アメリカ”っていう感じで、ぼくにとっては数あるワークブーツの中でもいちばんスタンダードな存在なんです」


アメリカが好きでそのカルチャーやライフスタイル、ファッションに影響を受けてきた剣星さん。他のワークブーツもたくさん履いてきたけど、やっぱり〈レッドウィング〉がその象徴であると話します。
「アメリカの雰囲気がプロダクトからバンバン伝わってくるというか。無骨でタフで、それでいてどこかスマートさもあって。長い歴史の中で、パフォーマンス面でのマイナーチェンジはあったとしても、形を変えずにオーセンティックな部分をずっと守っているブランドってやっぱり信頼できます。キャンプギアもそうですけど、こういうアイテムは特定の用途のためにつくられていて、そこに惹かれる部分もあるんですけど、一方では自分のテンションを上げるための道具でもあると思うんです。街ではもちろん、今日みたいにキャンプ場でもその魅力を再発見できますし、履いていてやっぱりいいなと思えるんですよね」


焚き火用の薪をくべながら、剣星さんがそう語ります。最近では完全防水のスニーカーが増え、それを履いてキャンプに行くという人も多い中、彼が話すように、あえて無骨なワークブーツを履くという選択肢があってもいいのではないでしょうか。
「さっきも話しましたけど、やっぱりブーツの安心感ってあるんですよ。ぼくはたまに釣りをするんですけど、ブーツを履いていてよかったというシーンが何度もあって。キャンプ場でも、かっこいいなっていう人はみんなブーツを履いているんです。しかもすごくいい味がでていて、それがものすごく魅力的に見える」


この日剣星さんが履いていた「#1907」も、1日を通してシワが深みを増し、汚れがいい感じに味となってプロダクトの魅力がより強固なものへと変貌していました。
「キャンプに来ると考え方が研ぎ澄まされるし、友達や家族と一緒に行ったときも、余計なことを考えずにフラットに接することができますよね。東京で子供と一緒に遊んでいても、頭の隅っこで仕事のことをぼんやり考えていたりするんですけど、なぜかキャンプ場ではそうしたことを忘れてしまう。それが魅力だと思うんです。だから余計なものは持たずに、荷物をできるだけシンプルにして、そうした時間を楽しめるようにしたいんです。今度リュック一個だけを背負ってバックパック・キャンプにチャレンジしようと思っていて。小さなテントと寝袋、それに必要最低限なギアだけを持っていくミニマルなキャンプなんですけど、そのときも足元は〈レッドウィング〉にしようと思います。この一足があれば本当に安心ですから」


RED WING 6” CLASSIC MOC 「#1907」 ¥42,790 1952年、ハンティング用としてつくられた8インチ丈のブーツ「#877」から派生した、6インチ丈の「#875」。「アイリッシュセッター」の名で親しまれ、その堅牢なつくりと機能性でアメリカのワーカーたちから絶大な支持を得る。「#1907」はそんな「アイリッシュセッター」をベースに、フッドベッドを挿入することを前提にデザインされており、底面部に一定の厚みを設けた専用のラストを用いてつくられている。レザーには「カッパー・ラフアンドタフ」を採用。皮の表面をわずかに擦って起毛させ、オイルとワックスを染み込ませているため、履きこまれたような味わいを最初から楽しめるところも魅力のひとつ。