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これは不完全な記録です。森田剛と『DEATH DAYS』。

これは不完全な記録です。森田剛と『DEATH DAYS』。

森田剛という存在を、文章と写真に置き換えてしまうのは適切でない。この声の湿度のまま、この体の動作のままに届けたい。ウェブマガジンという手法の限界、不完全性を思い知らされるような実感がそこにありました。

彼の魅力を知る人は多くいます。そして、彼の発する言葉は、私たちの「知っている」を裏切らず、それでいて常に超えていきます。

どこまでも自然で、くつろぐ動物のようで、生まれたての子どものようで、おじいちゃんのようで、森田剛である。全てを透過する水晶のようでもある。このインタビューを読み終えたあなたの心に、彼の魅力がまた新しく刻まれることを願って、文章と写真の力を信じて、記録します。映画『デスデイズ』の劇場公開を記念した、森田剛単独インタビューです。

  • Photo_Tetsuo Kashiwada
  • Hair &make_TAKAI
  • Edit&Text_Taiyo Nagashima

ちゃんと心が動いた状態で作品を作り続けたい

ー 犬を飼われているそうですが、動物がずっとお好きなんですか?

森田:幼い頃からずっと犬が近くにいました。勉強になることが多いですよね。しゃべれないからこそ、こいつは何考えてるのかな?とか、何が欲しいのかな?って想像するし。もちろん全てはわかりっこないけど、犬の気持ちになってみたりして。それは人間同士でも大事なことじゃないですか。僕は犬のことしかわからないけど、色々教わっている感覚です。もちろん一番の癒しでもありますね。

ー 犬の愛情ってすごくまっすぐで透明ですよね。

森田:本当ですよね。余計なものがないですもんね。まっすぐで。

ー 森田さん自身は、自分を愛情深い人間だと思いますか?

森田:どうなんだろう。普通だと思うけどなあ。均等にもできないし、量としては普通な気がする。ただ、うまい飯を1人で食っていても、美味しいって思わなかったりするんです。大事な人といっしょに食べれば普通に美味しいって感じるんだけど。綺麗な景色を見た時も、1人じゃつまらないなって。 1人だと何に対しても興味がなくなってしまう感じで。何を食べるか、どこに行くかを一緒に共有できる仲間がいるから、その先が色々見えるっていうか。1人だったら結構どうでもよくなるんですよ。

ー ストイックに孤独と向き合う、みたいな経験はありますか?

森田:30歳を超えたくらいの時に、お遍路しました。ひとりで四国の山を延々歩いて。なんでもひとりでっていうのを求めていた時期でしたね。でも、今は考えられないなあ(笑)。ただ、人との関わりを広げたいっていう考え方はしないです。それよりは、こういうことがやりたい、こういう人とやりたいとか、そういう考えが先に出てきます。長久さんと次何をやるか、そのことを考える中で、人と関わっていくというか。

ー 素直に自分の好奇心に従って、やるべきこと・やりたいことを一つ一つ選んでいくという。

森田:はい。でも出会いを重ねて広がった先でどういうことができるようになるのかには、興味があります。もっと広がった先のことを経験したいですね。今は自分発信というか、MOSS CHを作って、そこを軸にいろんな作品を世に出したいなと思っていて。役者として映画や舞台に呼んでもらうということもやっていきたくて。それぞれ疎かにせず、ちゃんとできればいいなあって感じです。

ー 新しい環境の中で不安を感じるということはありませんか?

森田:1人じゃないから心強いんです。不安よりワクワクする方が大きいです。環境とかやることは変わったけど、自分自身はあまり変わっていなくて。ただ、周りの人に助けられているっていうのは強く感じますね。健康だし、元気だし、これからやりたいことがたくさんあります。

ー 大人になって、キャリアを積んで、その上で新たなチャレンジをするってすごく素敵なことだと思います。森田さんの決断は、多くの人の背中を押すメッセージでもあるんだなと感じていました。

森田:嬉しいですね。まだまだ出会っていない人がいて、一つの決断が新しい出会いに繋がるんだなって感じるし、その出会いが次の新しい挑戦につながるんだと思います。そういう意味では変化し続けたい。自分が別人になることはないけど、変化を大切にしたいとはすごく思う。

ー その考え方について、もう少し教えてください。

森田:変わらないって退屈じゃないですか。だからいろんな人に会っていきたいです。今回、長久さんの演出方法を知って、めちゃくちゃ刺激になったし、影響を受けました。撮影の期間を経て役者として変われたと思う。それが何より楽しかったですね。 新しい場所に行くと、自分の今までのやり方が通用しない場面とかがいっぱい出てきて。それがきっと次に繋がるし、その連続を楽しめたら無敵なのかなって思います。

ー それは新しい環境を自ら選んだ理由にもつながるのでしょうか?

森田:そうですね。自分の未来が、なんとなくこんな感じだろうなって想像できることが嫌だったんです。もっとやれるし、もっと違う景色を見られるはずだって。自分に正直に、心が動くものを作りたいと思った。いろんな経験があって今の自分があるから、それを踏まえた上で、この先自分ができること、やれることを突き詰めていきたい。ちゃんと心が動いた状態で作品を作り続けたい。芝居をし続けていきたいなって。 そう思っています。

INFORMATION

DEATH DAYS

deathdays.moritago.com

3月12日より渋谷シネクイントを皮切りに『DEATH DAYS』劇場版が全国で順次公開。同映画の制作過程に密着したドキュメンタリー映像『生まれゆく日々』が同時上映される。
劇場上映を記念して企画・製作された写真集「A BOOK ABOUT DEATH DAYS」も発売開始。

www.moritago.com

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