ネガティブなコンテンツで溢れるなかで、理想の世界を描き続ける意味。

—ロックやアートのなかには社会に対する怒りや世の中への不満がテーマなこともがありますが、浅井さんは創作物にポジティブなメッセージを込めている印象があります。
歳とともにそうなってきたかな。ネガティブなものが好きな人は好きで良いけど、俺は見たくないな。ホラー映画とかさ。お金出してこんな怖い思いしたくないもんな。映画を観て同じ泣くにしても、すごく感動して泣いて自分が綺麗になった気分がするほうが良いじゃん。お金を払って最悪な気分になって、心の何処かが壊れちゃったみたいのは嫌。
―なるほど。
いまはインターネットのせいで、見る必要のないものまで見えるようになっちゃったんだわ。人生上知る必要もなかったことまで子供の頃から知ってしまうようになって、それで社会全体の心が暗くなっちゃってるんだって。知る必要のないことまで知らされてしまう。そこがインターネットの悪いところ。
―情報が多い現代だからこそ、取捨選択する力が必要になってきていますね。
ネットが出てきてから、音楽の聴き方も変わったじゃん。ずっと続く仕事や産業って無いんだな、って思ったね。もうみんなCD屋さんに昔ほど行かないし、レコードショップに行こう! 町の本屋さんもあんまり見かけないもんね。テレビがYouTubeになって、その内容もゴシップや裏話系だったりして……。世の中が変わって来たな、って思う。
—誰もが発信できるようになったぶん、ネガティブなコンテンツが生まれやすくなったように思います。
でも、若い子とかのめり込むじゃん。そうすると自分の心もどんどん荒んでくると思うわけ。毒だよ。気を付けないと。
—まさに浅井さんの創作物とは対極だな、と思います。最後に読者に向けて『SAME』と『Trans Am』についてコメントをいただけますでしょうか。
セールストークね。『SAME』は久しぶりにSHERBETSのみんなで集まってマジになって、すごい良いものができたと思ってる。絶対心に届くと思うんで、ぜひ聴いて欲しいし、ライブにも来て欲しい。『Trans Am』はここ10年ぐらい作品をつくって来た中で世に出てないものもたくさん載っとるんで、アンド、一緒に載ってる文章を読み始めると画集の中に入っていけると思う。それもなかなか心地いいと思うし、メチャクチャおすすめだからぜひ買ってください。