平野太呂にとっての渋谷PARCOと旅。

ー 散策、お疲れ様でした。いかがでしたか?
平野:いいものが見つかったと思います。
ー 選ばれたものはすべて、軽くて収納もしやすいものでしたね。
平野:カメラが重たいから、それ以外のものはなるべく軽くしておきたいんですよね。それとかさばらないもの。そういう意味では、高性能なアウトドアグッズはいいなって思いました。
ー 「渋谷PARCO」は、平野さんにとってどんな場所なんでしょうか?
平野:やっぱり、ぼくの世代だと影響力がでかくて、「渋谷PARCO」に行けば、おしゃれなものと出会えるイメージ。なにも買わないとしても、置いてあるものを見るだけで吸収できる感じはありますよね。渋谷の中心みたいな感じはいまもあります。
ー ほかにも、印象的な思い出があれば教えてください。
平野:大学生のときに「パルコギャラリー」へ行って、写真家の高橋恭司さんがやっていた『THE MAD BROOM OF LIFE』の写真展を見たんです。そこで、結構衝撃を受けて、いつかはぼくもここで展示ができたらなって思ったんですよね。それと、ぼくはファッションはあまりだけど、カルチャーの面ではとても刺激を受けていました。
ー ありがとうございます。そして今日は、私物の旅道具も3点持ってきていただきました。ひとつずつ、紹介をお願いします。

平野:まずはパッカブルの釣竿ですね。
ー コンパクトですね。釣り好きの平野さんならでは。
平野:行く場所と、同行するメンツを見て、ちょっとでも行くかもと思ったらスーツケースに忍ばせてます。
ー どこに持って行きましたか?
平野:アイルランドにも持ってったし、北海道にも持っていきましたね。アメリカのガレージブランドのものです。いいでしょ。
ー そういうときは、別に釣れなくてもいいんでしょうか?
平野:全然釣れなくていいです。キャストするだけで気持ちがいいので。行った先で釣りをすると、より深くその場所にコミットした感じになるんですよ。それが満足感につながるというかさ。
ー お次はなんでしょうか?
平野:ちょっとかぶっちゃうんだけど、〈HOUDINI〉のパッカブルのパーカーです。映り込んじゃいけないときなんかは、ざっとこれを着て。
ー いつ頃のものですか?
平野:10年はいかないけど、結構古いです。雑誌のタイアップで〈HOUDINI〉の本社があるスウェーデンに行ったときにいただいたんですよね。それをいまでも愛用しています。カメラバックに常にいれていて。
ー そして最後が、サコッシュ。

平野:武蔵小山にある「みやがわ」のバッグです。
ー どういうときに使われるんですか?
平野:撮影が終わって、ホテルに帰って、みんなでメシに行くときとかですね。これは必ずスーツケースにいれてます。海外でお酒を飲むってなったらパスポートも必要だし、それと携帯、財布をいれてちょうどいいサイズで。7、8年は使ってるかな。
ー いまだに、店主の方が縫われてるんです。
平野:そうなんだね。残布を使うやり方もいいし、全部がワンオフだから、そんなところも気に入ってます。

ー ここから、ちょっと旅の話に移って行きたいんですが、最後の海外旅行はどこへ?
平野:コロナがはじまった頃に、撮影でオーストラリアのパースに行きました。
ー 行ったことのある国はけっこう多そうですね。
平野:ぼくは同じところにずっと行くから、全然ですよ。インドにも行ったことないし。
ー なんでインドなんですか?
平野:旅好きの人はインドに行くじゃない(笑)。
ー (笑)。でも、たしかに平野さんといえばアメリカのイメージですね。
平野:もう4、5年は行ってないんだよね。それまではちょくちょく行ってたんだけど。
ー アメリカのなかでも、好きな街はありますか?
平野:一番親近感があるのはロサンゼルスかな。でも、街中のおしゃれなところというより、郊外の小田舎が好きで。
ー 国内で次に行きたい場所があれば教えてください。
平野:国内なら、やっぱり北海道。ちなみに直近では、家族旅行だけど、北海道の東川に行きました。息子がスキーをしたいってことで。
ー 北海道が好きですか?
平野:好きです。ここ5年で何度も行ってます。冬も行くし、夏も行くし。去年の夏は、稚内の西にある礼文島にも行きましたね、トレッキングをしに。北海道は場所によって全然違うじゃないですか。ニセコとか函館とかのほうも攻めたいし、網走のほうも行ってみたいし、十勝のほうにあるのんびりした湿地にもまた行きたい。北海道はいつでも行きたいです、オールシーズン(笑)。

ー なぜ、そんなに北海道に惹かれるんでしょう?
平野:それ、考えたんですよ。まず、アイヌの文化と、それが今も継承されているということに興味があります。そして北海道の開拓は明治に入ってからなので、歴史がまだ浅いんですよね。だからなのか、北海道にはまだ素朴で剥き出しの大地が多く残っていますね。その構図はアメリカととても似ています。そういった良い意味でのラフな部分に惹かれているんだと思います。ぼくがヨーロッパよりアメリカに惹かれてしまう理由と同じかもなと思っています。
ー 逆の人もいますよね。
平野:そうですね。歴史の中に自分がいることで満足する人もいますよね。でも自分の思考的にはそっちじゃなかったみたい。

ー ずばり、平野さんにとって旅はどんなものですか?
平野:コロナになった最初のときは、日本にも楽しい場所はたくさんあるし、海外は行かなくてもいいやって思っていたんだけど、最近めちゃくちゃ行きたくなってきちゃって。この気持ちってなんだろうって考えたら、やっぱ単純にインプットが欲しいんですよね。国外に行けば、全然違う人がいて、全然違う文化があるじゃない。自分が想像できないようなものだらけで。でも日本にいると、自分が固まってきちゃうから、そういうのをほぐしたいというかね。街のなかにいて、例えば「なんでこれがここに置いてあるのか」とかでもいいんです。違和感がそのへんに転がっているから、それを感じて、吸収してっていうのをしたいんだなーって。
ー だいぶ規制は少なくなってきましたしね。海外はどちらへ行きたいですか?
平野:ベタだけど、やっぱりロサンゼルスかな。サンフランシスコもいい。クルマでフラフラしたいです、カリフォルニアの小田舎の街を。
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