永遠の中二って感じですね。

ー 遊戯王以外のパーソナルな興味についても聞いてみたいです。最近好きなもの、気になること、何かありますか?
エディ・レッドメインが今はすごく好きです。『リリーのすべて』という映画を観て、この人はすごすぎる!と感動して、それから別の主演作である『博士と彼女のセオリー』を観て、真似できん!と思って。役へのアプローチの仕方が唯一無二で、ガラスのような繊細さを持ちながら強烈な存在感を放っていて、本当にすごいなと。
ー お芝居に対する興味が強いんですね。
そうかもしれません。ただ、お芝居について常に研究している、みたいなことではないんです。とにかく、エディの独特な眼差し、放つ色気、役として立っている時のなんとも言えない空気感にやられてしまって。単純にファンになってしまったんですよね。
ー 松坂さんが俳優として生きていくと腹を決めた瞬間についても、聞いてみたいです。
色々な出来事が重なって、この仕事を真剣にやっていこうと考えるようになったんですけど、なかでも印象に残っているのは、『僕たちは世界を変えることができない。』という映画ですね。向井理さんが主演で、柄本佑さん、窪田正孝くん、そして僕の4人が大学生役でカンボジアに学校を立てるという実話を元にした物語なんです。実際にカンボジアロケに行ったんですけど、プライベートも含めて、それが初めての海外で。

ー 何歳くらいの頃ですか?
23歳のときですね。2010年の撮影かな。とにかくピヨピヨって感じだったし、「カンボジア?どんなところ?」って浮かれてたんです。実際に現地に入って、ナビゲーターの方に案内してもらって、病院とか、奴隷の収容所とか、いろんな場所を回って、日本では感じられない衝撃を受けたし、その撮影・演出がすごくユニークで。台本のない素のリアクションをたくさん収めていったんです。
ー ドキュメンタリーのような手法が混ざっていたんですね。
そうなんです。とにかくカンボジアを旅しながら、驚いている様子をカメラに映して、自由にリアクションとって、って言われて。「そんな演出方法あるんだ!」って映画の自由さに気づいたんですよね。
それまで僕は戦隊ヒーローをやっていたので、カメラの前で、「変身!」とか、「そこまでだ!」っていうようなキメの撮影を一年以上していたんです。だからこそ、その映画の自由な撮り方は想像もつかないようなもので、映画の魅力とかお芝居の奥の深さを知るきっかけになりました。

ー その時から10年以上経って、今33歳。どのような変化がありますか?
年齢的なことで言うと、今は中途半端だと思っています。40歳くらいになれば父親の役とかも違和感なくできると思うんですけど、そこにはまだ足りていないというか。かと言って20代ではないからフレッシュさもないし。絶妙な狭間の年齢ですね。ただ、文は年齢をまたいで演じていて、今の自分だからこそできた役だと思います。今年演じることができてよかったです。
ー 松坂さん自身は、自分のことを大人だと思いますか?それとも子供だと思いますか?
いや〜……永遠の中二って感じですね(笑)。
ー 中二の自分、ちゃんと残っているんですね。
中二、ちゃんと残っちゃってるんです。例えばラジオとかで、遊戯王の話を、熱くなりすぎて喋っちゃったなって時に、自分をコントロールできなかったなと思って、ちょっと恥ずかしくなったりするんですよ。
ー 中二を感じる瞬間、他にもあったら教えてください。
毎週、週刊少年ジャンプを楽しみにしていますね。『ONE PIECE』、今、本当に熱い展開じゃないですか。あとは『SPY×FAMILY』のアニメをずっと観ています。本当に面白いんですよね。観ちゃうんだよな。
ー よくわかりますよ(笑)。最後に、これから新しく挑戦したいことについて教えてください。
最近の新しい挑戦として、絵本作家の長田真作という方と一緒に、『まろやかな炎』という絵本を作ったんです。一緒に物語を考えて、絵を描いてもらって、一冊の絵本を形作るなかで、自分にできる表現ってお芝居だけじゃないんだなって実感して。この14年間でいろんな役や作品をやらせてもらって、お芝居はもちろん自分の中心にあり続けると思うんですけど、それ以外の表現も形にしていきたいと考えています。
