Answer4と作り上げた、上田瑠偉流レーシングウェア&ギア。

「なので、まずウェアに関しては知人でもある〈Answer4〉の小林大允さんに相談して、一緒にモノ作りすることにしました。
〈Answer4〉は、熱心なトレイルランナーのあいだでは実力派のガレージブランドとして知られています。とくに100マイルレースなどのウルトラカテゴリーに強く、100マイルレースで使えるウェアやギアが多い。
自分の場合は標高差1000mを一気登りするバーティカルや、距離40km前後のスカイレースが主戦場なので、〈Ruy〉の第一弾ラインナップは『レースで使うもの』だけを企画しました」
いわゆるOEMのようなものだろう。でも、トレイルランのコミュニティはスモール・サークル・オブ・フレンズなのがいいところ。ビジネスライクではなく、小林さんも「瑠偉のためなら」と喜んで乗っかった。


「〈Answer4〉の既存アイテムと並べてみると、一部のアイテムは同じ生地を用いているモノもありますが、スリーブレスやTシャツなど、着用頻度の高いモノは、たくさんの生地サンプルを触ってイチから生地を選びました。
一番こだわったのはノースリーブで、生地選びが難航して、実はまだ作り直している途中です(笑)。軽さ、柔らかさは欲しいのですが、でもあまりに薄すぎて強度に不安が生じてしまってはダメ。着心地と、アウトドアでの耐久性も欲しいんですよね。
実は僕、コロンビアに所属していたときも、Tシャツの袖を自分でカットしてノースリーブにしたことがあるくらいのノースリーブ派なんです(笑)。これが肩幅の細いタンクトップでもダメなんですよね。陸上競技っぽいと言いますか、アスレチック感が醸されてしまうと言いますか、バックパックを背負ったときの見た目に違和感がありますから」

〈Ruy〉Race Sleeveless Shirt #1 発売時期未定
素材選びだけでなく、パターンやカラーリングにも上田さんのこだわりが詰まっています。
「実際にフィールドテストでテストを繰り返し、小林さんにとは何度も修正のリクエストをやりとりました。たとえばトップスは汗を吸ったときに首下がダラーンと垂れてしまう点が気になったので、そのバランスを調整していただいて。あとは脇が自分の好みからすると開きすぎだったので、そこも修正を重ねて」

〈Ruy〉”THE SKY IS THE LIMIT” T Shirt #1 ¥6,600

〈Ruy〉5 Pocket Race Short Pants #1 ¥11,800

〈Ruy〉Race Fullzip Hoodie #1 ¥17,800
「Tシャツはノースリーブと同様、最終的には〈Answer4〉のレギュラー生地より一回り薄いものをチョイスしています。ショーツも〈Answer4〉の既存モデルだと筋肉量の問題か食い込みを感じていたので、自分の好きなフィットにカスタマイズしました。脚さばきをスムーズにするための裾スリットも、内側から外側に変更しています。
カラーリングに関しては、ひとつはネイビーでスタイリッシュな上下のセットを作りたかったんです。F1の〈レッドブル・レーシング〉のネイビー感(笑)。
それから、シグネチャーカラーとして『イナホゴールド』を挿し色などに使っています。ゴールドは勝ち色であるというのと、恩師から教わって座右の銘にもしている『実るほど頭を垂れる稲穂かな』という格言から。実家の長野県大町市で米作りをしているという縁もあります」


〈Ruy〉NeoShell® Race Jacket #1 ¥42,900

〈Ruy〉Race Wind Shell #1 ¥20,800
〈Answer4〉のアイテムでは展開が無く、でも上田さんが「どうしても」と企画したアイテムが、ウエストベルト。
「これさえあれば、バックパックを持たずともスカイランニングのレースの必携品がおおよそ収まります。今まで色々なメーカーのウエストベルトを使ってきましたが、500mlのフラスコを入れるとどうしても揺れてしまっていました。でも、小林さんと相談しながら収納の深さを出すことで、〈Ruy〉のレースベルトはかなり揺れにくくなったと思います。
第一弾ラインナップの出来には満足していますが、オリジナルブランドとしてはまだまだ途上。レースも一緒ですが、経験して、ブラッシュアップしていくことでより高みを目指したいですね。生地を選び、テストを重ねて形に仕上げていく作業は思っていた以上に面白かったです。今後も他のメーカーと一緒にモノ作りすることがあるかもしれませんし」


〈Ruy〉Race Wind Shell #1 ¥20,800