考えを絞るため、自然に身を置く。
ー クライミングやトレランなどのハードなアクティビティをする一方で、キャンプも頻繁にされているんですよね。
潔:1時間でも時間があれば、ここに来てます。
ー ここでは、どういう過ごし方をされるんですか?
潔:コーヒーを淹れて、焚き火をして、1、2時間くらい考えごとをして帰ったりしますね。考えが捗るというか、絞られるというか。1時間も時間があれば、ここに来ます。
潔:あと、都内にいると決められた時間に電車が来て、決められた時間に音がなって、すべてが人間の作った数字の上で動いていくけど、自然のなかには一定がない。水が滴る音もつねに変化するし、川の流れも鳥のさえずりもそう。焚き火の火のパチパチも。そうしたリズムに、ただ耳を傾ける時間も大好きなんです。
ー ストレス発散の側面もあるんですね。
潔:それは間違いないです。ぼくのストレス発散は運動であり自然のなかに身を置くことなので。それと、今年はまだ行けていないんですけど、滝行をすることもあります。この近くに修験道も来るような滝があるんですけど、そこで無になる時間も好きなんです。台風のあととかは、水圧がすごすぎて首が折れそうになりますからね、冗談じゃなく(笑)。
ー クライマーでもあり、ガイドの仕事もあり、趣味もたくさんあるなかで、いちばんなにしてるときが楽しいですか?
潔:昔はアルパインクライミング一択でしたけど、夏は登山が気持ちいいし、秋はクライミングに最適だし、冬はやっぱりスノーボードに没頭したい。そのときにできるスポーツ、その時期にできる山の遊びをしているときが楽しいですね。
それと最近はイベントも計画していて、このあいだもハイキングとサウナのウィスキング、自力整体(自身の体を使って行う整体)、アニマルフロー(動物の動きを取りいれたエクササイズ)を組み合わせたリトリートツアーをしたんです。最高の自然体験をお客さんに体験してもらえている時間も好きです。ちなみに、お客さんの9割が都内の方で。
ー アウトドアの裾野を広げる活動にも力をいれていますよね。
潔:子供たちが、アウトドアに接する機会を増やしてあげたいんです。ぼくもそうですけど、アウトドアに行きたい気持ちはいきなりは生まれない。小さいときの記憶の断片から来ていると思うんです。
実はいま、シーズンに4回ずつクライミングの講座をやっているんですけど、常に満員で、参加できない子供たちがいるんです。そうした子たちにも平等に機会を与えたいので、NPOを作る計画もあります。
それと、その教室を見ていると、いまの子たちの運動神経の悪さに驚愕したんです。昔はアスレチックのてっぺんに立つのは男の子だったし、ちょっと危ないことをするのが男の子だったけど、いまは女の子のほうが凄かったりして。解消したいっていうと大げさですけど、とにかくみんな平等に、機会を与えたいと思っています。
ー 今回は〈NIKE ACG〉の服を着ていただいてますが、着心地などはいかがでしょうか?
潔:〈ACG〉のパンツもジャケットも、チャックがたくさんついているんです。それがぼくにとっては重要です。こういうアイテムって意外と少ないんですよね。それとやっぱり〈ACG〉は、デザインがどれも好き。
ぼくらが山をはじめたときにも中古で買ったりしてたんですよね。先輩にもスポンサーがついてたりして、ちょっと憧れでもありました。クラシックな見た目で、機能とデザインのバランスもいい。アウトドアのウェアは機能を優先してからのデザインだけど、〈ACG〉はどっちも妥協していない。
ー 潔さんは、自然を心底楽しんで、心底愛しているんだなと感じました。
潔:もちろん大好きなんですけど、言い方を変えたら依存でもありますよね。ぼく、山がなかったら方角もわからないし、時間もわからないし、心身を整えることもできないので(笑)。