当事者たちが語るコラボレーションの経緯と狙い。
今回のコラボレーションはどのようにして実現したのか? 各プロダクトに込められた思いとは? プロジェクトを率いる〈アシックス〉の大堀亮さんと、〈エルドレッソ〉のターザンAQZAWAさんに話を聞きました。
両者が手を組んだ理由とは?
ー そもそも今回のコラボレーションはどういう経緯でスタートしたのでしょうか?
大堀:始まりは2年ほど前のことです。私たちグローバルデザイン部は毎シーズンのスタートにクリエイティブキックオフを主催しており、その中でさまざまな分野の方々の意見を聞くヒアリングの場を設けているのですが、そこにAQZAWAさんにご参加いただいて。
AQZAWA:新型コロナの感染拡大が始まったばかりの頃ですね。ぼくが考えるランニングの魅力や、走ることにまつわるカルチャーやファッションに関して、オンラインでいろいろと話をさせてもらいました。
大堀:AQZAWAさんとやり取りを重ねるなかで、「せっかくなのでいっしょになにかやりたいですね」ということでお互い盛り上がり、コラボレーションに至ったというのがおおまかな経緯です。
AQZAWA:コラボレーションの話をもらったときは、心底驚きました。というか、正直なところ、当初は半信半疑でした(笑)。天下の〈アシックス〉がホントにうちと組んでくれるの? と。
大堀:それから約2年。時間はかかりましたが、なんとかこうしてかたちにすることができましたね。
元競技者が語るアシックスの魅力。
ー AQZAWAさんにとって〈アシックス〉はどのようなブランドですか? エピソードなどあればお聞かせください。
AQZAWA:ぼくは学生時代、競技者として本格的に陸上に取り組んでいました。種目は長距離走です。〈アシックス〉は当時から特別な存在でしたし、自分自身も愛用していました。
とりわけ印象に残っているのは、高3で5000メートルの記録会に出場したときのことです。ぼくは〈アシックス〉のスパイクを履いて出場し、好タイムを記録。それが国士舘大学の陸上部の関係者の目に止まり、声を掛けてもらって大学へ進むことができました。だからぼくにとって〈アシックス〉のスパイクは、人生の道を開いてくれた思い出深いシューズなんです。
大堀:ありがとうございます。いいお話ですね。
AQZAWA:実は今回の取材で、そのスパイクを紹介しようと思って、わざわざ群馬の実家へ取りに帰ったんです。ところが、どんなに探しても見当たらず。おかしいなと思って親に確認したところ、ぼくに無断で捨てていたことが判明して……。当時のスパイク、お見せしたかったな。ああ、悔しい(笑)。
ー それは残念ですね。当時はスパイク以外にも〈アシックス〉のシューズを履いていましたか?
AQZAWA:もちろん。普段の練習用のジョギングシューズも〈アシックス〉を履いていました。「ターサー」とか、「スカイセンサー」とか。〈アシックス〉のシューズは当時から絶大な信頼性がありました。
そしてぼくはいまも〈アシックス〉のランニングシューズを愛用しています。今年3月の東京マラソンでは「メタスピード スカイ」を履いて走り、自己ベストを更新しました。
そんな〈アシックス〉と、長い時を経て、まさかコラボレーションすることになるとは。不思議な縁を感じずにはいられません。
コラボレーションを通して伝えたいこと。
ー 今回のコラボレーションコレクションの製作プロセスについて教えてください。このプロジェクトがスタートした当初、AQZAWAさんはどんなデザインのイメージを頭に浮かべましたか?
AQZAWA:ぼくは企画を考えるのが速いんですよ。あまり悩まず、パパッといくタイプ。だから今回も、ヒネらないほうがいいかなと思って、直球かつシンプルなデザインを即興で考えました。
大堀:打ち合わせをしてから2、3日後にAQZAWAさんからスケッチが上がってきて、あまりの速さに驚きました。そのスピード感はぼくたちも見習わなくてはなりません。
AQZAWA:結局、当初のイメージがほぼそのままかたちになった感じですね。
大堀:はい。AQZAWAさんによるデザインは社内でも評価が高く、個人的にも大満足の仕上がりです。
ー 〈アシックス〉と〈エルドレッソ〉、それぞれがお互いに期待することや、ユーザーへ伝えたいことがあれば教えてください。
大堀:今回のコラボレーションでは、お互いの長所を生かしながら、それぞれが持っていない部分を補完しあえるといいなと思っています。〈エルドレッソ〉が好きな方々には〈アシックス〉のことをもっと知ってほしいし、普段から〈アシックス〉を愛用してくれている方々にも〈エルドレッソ〉さんの魅力を伝えていきたい。そう願っています。
AQZAWA:ぼくも思いは同じです。ランニングはスポーツであるとともに、ぼくらにとってはカルチャーでもある。今回のコラボレーションを通じて、カルチャーとしてのランニングの面白さをより多くの人に伝えていけるといいですね。
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